上 下
10 / 32
隠居生活はじめます。

10.新居探検2

しおりを挟む
【趣味部屋】


   扉を開けた真正面には、壁に反って付けられた作業机、横には道具が置ける収納棚、部屋が暗くならないよう窓が上の方に設置されていた。

「ふむ、こういう…なんだろ~。オシャレ?な部屋素敵だね~」

「ありがとう」

「ここでは、何をする予定なの~?」

「んー、、前世でハマってた石鹸作りとかもいいかな?って思って作ったんだけど…。多分作らない」

「え~?なんで?」

「エナベルからアルヴェルンの魔道具書籍とか貰っちゃったから…石鹸より魔道具の方が造りたくなっちゃったんだ」

「なるほど~、まぁ、セイラには沢山時間があるからやりたい事やった方がいいよ~」

「うん、ありがとう。次は二階を案内するね」


【二階  寝室】


「二階には私の寝室と客間が二つあるんだけど、客間の方は何もしてないから寝室だけでもいい?」

「全然大丈夫よ~」
   
「今は、ベッド、鏡台だけ置いていて…クローゼットの中には服と下着。あっちの扉にユニットバスとトイレ、洗面所につながっているわ」
 
   扉を開けた方が早いだろうと扉を開けると真正面に洗面所、左手にトイレの扉、右手にユニットバスの扉があった。想像通りの出来に満足。

「へぇ~なんか不思議ね~。このトイレもせんめんじょ?ユニットバスもこの世界ではみたことないわ~」

「まぁ、お風呂と言ってもこちらは大衆向けの大きな物しかないわよね…貴族なら1人用バスタブは有り得そうだけど…みたことないのよ」

「そうね…貴族もセイラ見たいに部屋にお風呂があるけど…こんなに広々とした物じゃなくて小さかった気がしたなぁ~」

「へぇ~、そういえばエナベルは人化できなかったのになんで人間の家だったり、魔道具に詳しいの?」

「あぁ~!それはねぇ、固有スキル«守護»のうちの一つ監視を使っているのよ~」

「へ、へぇ、、、私には使わないでね?」

「そうねぇ~、セイラが嫌なら使わないわ~」

「うん、ありがとう…えっと次は最後だね。一階にある露天風呂を案内するね」


【露天風呂】


「最後はここ!」

「お~、湯気がでてるねぇ~」

「露天風呂よ!エナベル、時間があるなら入っていく?」

「そうねぇ~、お風呂って気持ちいいらしいから入っていこうかしら」

「なら、脱衣所で服脱いで…え?なんで服きてないの?」

「ん?あ~、私の服は魔力を纏ったものだから。魔力を分散させたら裸になれるみたいなの~」

「へ、へぇ…」

「セイラ~一緒に入りましょ~」

「うん。私は服脱いでくるから先に入っていていいよ」

「は~い」

   脱衣所に戻った私は【着脱】スキルで服を脱いで、エナベルと一緒に我が自慢の温泉を満喫した。エナベルは水浴びならしたことがあるようだが、温泉は初めてで少し感動していた。今度、ねぐら近くにある湖を温めて温泉じみたことをしようとしたので、湖に住む生物のためにも必死になって止めた。入りたいならいつでも来ていいと言ったら、湖温泉化計画を諦めてくれた。温泉から出たあとは冷たいジュースを二人で飲んでご飯を食べる。

「ん~、このにくじゃが?美味しいわね~」

「でしょ?この料理、私の大好物なの」

「今度また来た時にだしてね~?」

「もちろん!」

   エナベルは、龍であり食事をしなくとも生きていける。けれども彼女は、「美味しいものがあるなら食べてみたい」といって食事をする変わり者だそうだ。私と出会った時も、生で肉を食べたら美味しいのかな?と思い立って生で食べたところ食あたりしたそうだ。それ以外にも美味しそうな草だからと鑑定をしないで食し、毒、痺れ、麻痺などを経験したそうだ。食に関しては雑食…なのかな?

   楽しい時間はあっという間に過ぎる。エナベルが家に来た時は、ゴロゴロする時間が無くなり最悪だと思ったが案外こんな時間も悪くない。

「じゃあ、気をつけてね?」

「え~、また3日後に来るわね~」

「うん、その時まで完成させとくわ」

「は~い。あ、お菓子とご飯ありがとうね~、それにお土産も沢山」

「んーん、私も貴重な物を譲ってもらったし、、今日は楽しかったから/////」
   
「うふふ、じゃあまたね~」

   «人化»を解いたエナベルは龍の姿に戻り、自分のねぐらであるネテル神聖国 大聖堂の裏に広がる樹海へと帰って行った。

「今日はもう寝ようかな……あ、でもその前に魔道具制作の書籍を読もう…」

   家に戻った私は書斎から【魔道具制作 初級~上級】を持ち、二階にある寝室へと向かった。ベッドに書籍を置き、パジャマへと着替える。一息ついた所で、ベッドに上がりエナベルから貰った書籍をまじまじと見る。

「魔法王国アルヴェルンは、1700前に存在した国だから…この本も1700年以上経っているわよね?」

   1700年ものの書籍とは思えないほど保存状態が良い。紙も黄ばんでいなく、どこもほつれていない、破けていない。一番考えられるのは、エナベルが持っていた指輪の魔道具が収納以外にも時間停止付きの効果があったことだろう。

「とりあえず、今は本に集中!」

   セイラは、頬をパチンと少し強く叩くと本に集中し始めた。こうして転生二日目の夜は過ぎていく…


しおりを挟む

処理中です...