オネェに迫られて困ってます！

side アルフレッド

   豊かな森を彷彿とさせる薄緑がかった金髪、光の角度によってライトグリーンや金色に変わる瞳。長くほっそりした手足に、二重なタレ目、整った鼻梁に眉、プルんとした小さな口は木苺みたいで食べてしまいたいと思った。

   それが俺の想い人であるフィリーラだ。



   俺は、彼女がラキッドを好きなのを知っていた。そして、ラキッドはそんな彼女の気持ちを知りながらも良いように使っていたことも知っていた。だから、彼女を守るためにパーティーに入った。
   彼女は、自己肯定感が低い。それをラキッドが目をつけて彼女をパーティーへと引き込んだ。もし、ラキッドより先に俺が彼女と出会っていたら？彼女は俺に恋をしてくれたのだろうか…？そんなどうしようもない後悔を何度したことだろうか。

   だが、ある日、パーティーにスザンナが入って変わった。スザンナは、自分磨きと気に入った男を手に入れるためには手段を選ばない…と黒い噂を聞いた。もちろん、このパーティーに入ったのはラキッド狙いだろう。フィリーラに怖がれないように女っぽくしている俺は、女より男がよってくるのだから。

   ラキッドは、黙っていれば美丈夫だ。それに、俺とフィリーラのおかげでパーティーランクはBでそこそこ高い。

   容姿、金、地位、、、それらを期待してスザンナはラキッドをターゲットにしたのだろう。

    俺は、どうでもよかったがフィリーラの傷つくところを見たくなくて堂々とイチャコラしている2人をフィリーラから隠した。何も知らないフィリーラは、スザンナがきっかけで俺に話しかけるようになった。だからこの好機を逃さず、ゆっくりと彼女の中に自分という存在の場所を作った。ラキッドとスザンナがお盛んにやっている間、俺はフィリーラとの信頼を築いたのだ。


   そしてとうとう、ラキッドの配慮のない発言でフィリーラはキレて晴れてパーティーは解散になった。フィリーラがパーティーを抜ける！


「とりあえず、私はこのパーティー抜けるから。私抜きで話し合って。」

   そう言い切って、背を向けた彼女の手首を掴んだ。

「ちょっと！ラキッ……ど、、え？」

「んもぉ、フィーちゃん待ってよぉ～」

   戸惑っているフィリーラも可愛い。本当は彼女が誰よりも寂しがり屋なのを俺は知っている。だから、フィリーラを1人になんかにさせない

「私もぉ、このパーティー抜けるわぁ。じゃあね、ラキッド、スザンナ、お幸せにぃ～。あ、そうそうギルドにはパーティー解散申請とくわねぇ～。資金の方は、計算して一人一人見合った額で振り分けて後日わたすわ。じゃ、行きましょぉフィーちゃん」

「え？あ、、う、うん？」


   状況が読み込めないフィリーラの手を引いて歩く。
   寂しがり屋で我慢強い彼女の事だ、誰も居ない場所で押し黙って涙をこらえてしまうだろう。だから、彼女が思いっきり泣けるように、ラキッドの恋心が彼女から流れ出るまで甘やかそう。


「フィーちゃん、大丈夫。俺はずっとそばにいるよ…」

   泣き疲れて眠った彼女の額に口付けを落とす。今は、それしか出来ないが、いつか君のその木苺みたいな赤い唇に触れたい。


    いつか、君が俺を見てくれるのを……ただひたすら隣で待っているよ。フィリーラ