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エロフの森

3.腹ぺこエロフに餌付けしよっ!

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   破壊した壁の向こうには、あら不思議良のも珍しい髪色のエロフが~…ってそうじゃない!!

「ちょ!君大事??生きてる??」

   急いで横たわるエルフの子供に近づくと息はしていた。そう、息はしていたのだ。しかし、腕などは枯れ枝のように細く顔色も悪い。

「も、もしかしてこれが…将来エルフをエロフ村に変える主人公…ミスターエロフ!??」

   私は、驚いて抱えていた少年の頭を落としてしまった。

「っ、」

「あ、ごめんごごめんご~」

   私に頭を落とされ、痛みで起きた少年は驚いた顔で私を見つめてきた。

「……だ、、れ、、?」

「私?私は、エルティシルだよ~。天才エルフの魔術師さぁ~」

  本当は魔法使いだけど、この世界に魔法という概念はない。仕方が無いので魔術師と言っておく。

「まじゅつ…し?」

「そうそう、、ほら」

   私は意味がわからないと言った顔をした少年に、1発でわかるように指先に火を灯した。その様子に、少年の目は見開かれキラキラした目で見てきた。ふふふ、私は偉大なのだァ~~。

「これが魔術師さ~」

「す、すごい!……ぼくにも…そんな力があれば……」

「?少年、何かあっ「ぐぅぅぅぅう…」の前にお腹空いてる?」

「ご、ごめんなさい……/////」

「君、明らかに栄養失調だよね?いつから食べてないの?」

「えっ…」

   少年は、私から目線を外して答えてくれない。その様子に私は、村の連中に呆れてしまった。

「たく、村長のゲル爺は何してるんだかっ!」

「ゲルドおじさんを悪く言わないでっ!!」

「おっ?」

「ゲルドおじさんは…気持ち悪い僕にも優しくしてくれたし…ご飯もくれた……で、でも、、ぼくのせいで……うっ、、うぅ、、」

「ちょ、泣かないでよ~。ほらほら、お腹が空いてるんでしょ?これあげるからぁ~」

   突然、泣き始めた少年に私は戸惑いながら、とある映画で出てきた(自称)気持ちを込めて握った塩おにぎりを渡した。

「これをお食べ、これ食べたら元気になるよ(棒読み)」

「ぅ、、うぅ、、ありが、、とうご、ざいます。」

   少年は泣きながらもおにぎりを手に取り、一口、二口と食べ始めた。おにぎりはあっという間に少年の手から消えた。もちろん、私はできる女。少年に新しくおにぎりを渡した。

   ゆっくりお食べ~エロフくん~~。いや、今はエロフじゃなくて腹ぺこエロフかっ!!そいえば、ゲル爺の名前…ゲルドって言うんだ初めて知ったわ…今度ゲルゲルゲルドちゃんってからかってやろっと~。

   泣きながらもご飯を食べる少年の横で、私はくだらないことを考えていた。
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