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敗戦逃亡編
流されてキアオ樹海
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僕とゼンジロウはキアオ樹海?という森の入り口あたりを歩いているらしい。
といっても僕はゼンジロウについていってるだけなんだけど……
「アルバ、とりあえず俺たちは敗残兵ってことで立場がかなり不味い状況だ」
ゼンジロウは森の中を歩きながらそう言った。まぁ僕たち負けちゃったしね……
「おまけに先立つものもないしな、このままじゃ野垂れ死にを待つだけだ」
「先立つもの?」
「金だよ、金、お前金持ってるか?俺はほぼ無一文だ」
いや、僕はさっき漁った死体から金目のものは拾ったけれど。
「甘いぜ、アルバ。そんな出所不明なもん買ってくれる人間がそこらへんにほいほいいると思うか?戦時中に高価な装飾品を買い取ってくれとか商人側も相当リスクがあるからな。下手にお貴族様の死体からはぎ取って売ったってのがばれたら連座で商人側も罰を受けることがある」
ゼンジロウってなにも知らないと思ってたけど物知りなんだなぁ……
「でも、傭兵団にはいっつも変な商人がくっついて回ってたよ。戦場で手に入れたものはなんでも買い取ってくれたんだ。僕あの人たち大嫌いだったけど、探せば今僕が持ってる宝石とかお金にしてくれるかな」
ゼンジロウはう~んと悩んだ顔しながら顎に手を当てた。
「そりゃ闇商人だ、なんでも金に換えてくれる代わりに結構足元を見られる。適正価格の半額以下で買いたたかれるなんてザラさ。ましてお前、ナリはただのガキだからな、相当舐められるだろう。」
なーんだそんなことか。傭兵団についてまわってた商人も時々「交渉」しにくるんだよね。僕たちの足元を見る?ってやつかな。そんなときの対応はいつも僕だった。
「でもそういう商人は爪を二、三枚はがすとすぐペコペコしだすから大丈夫だよ。護衛も大した奴じゃないしね、派手に殺すんだ。そうするとなんでも言うこと聞いてくれるんだよ!」
ゼンジロウはちょっとひきつった顔をしてたけど笑顔だった
「とりあえず、適当な街に行って身の安全の確保と金目の物を金に換えるっての当座の目標にすっか。それにしてもなんて頼もしいんだお前は……」
「えへへ、でしょ?」
「ところでよぉ、アルバ……」
「ん?何?」
「さすが入口とはいえキアオ樹海ってのはヤベェんだが……お前何匹魔物斬り殺した?」
僕はふっと後ろを振り返ると魔物の死体がいっぱいある。さっきからちょくちょく襲い掛かってくるのをどんどん斬り殺してたんだけど、魔物たちもだいぶん僕が強いってことが分かったみたいで、森の中から視線は感じるけど襲ってこなくなっていた。
「ん~わかんない、ここの魔物あんまり強くないから、インショウに残らないよ」
「さいですか……しかしお前本当に強いんだな、まさかここまでとは……」
やっぱり褒められるのはうれしい気持ちになる。でもここの魔物、ほんとにあんまり強くないんだけどなぁ……
「でもゼンジロウも少しは殺してたじゃない?」
「一匹だけな、俺にとっては結構強かったよ……」
「とりあえず樹海の入り口をなぞりながら北のガルガシア街道に出ようぜ、まさか敗残兵がキアオ樹海から生きて出てくるなんて、街道に巡視兵がいても考えないだろうからな。」
「俺とアルバは親子ってことにしよう、実際お前ぐらいの年の娘がいたからな。俺は旅の用心棒で、娘と安住の地を探してるって設定にすっか。泣けるぜこれは」
「え~~~会ったことないけど僕のパパは多分禿げてないよ」
「うるせぇ!俺のは剃ってんの!俺の国では戦士はこんな髪型なんだよ!」
僕は思わず笑ってしまった。そんな変な髪形にする国があるなんて世の中は広いんだなぁ。
ゼンジロウと話すのはなんだかとっても楽しい。なんだかとっても不思議な気持ちになる。
といっても僕はゼンジロウについていってるだけなんだけど……
「アルバ、とりあえず俺たちは敗残兵ってことで立場がかなり不味い状況だ」
ゼンジロウは森の中を歩きながらそう言った。まぁ僕たち負けちゃったしね……
「おまけに先立つものもないしな、このままじゃ野垂れ死にを待つだけだ」
「先立つもの?」
「金だよ、金、お前金持ってるか?俺はほぼ無一文だ」
いや、僕はさっき漁った死体から金目のものは拾ったけれど。
「甘いぜ、アルバ。そんな出所不明なもん買ってくれる人間がそこらへんにほいほいいると思うか?戦時中に高価な装飾品を買い取ってくれとか商人側も相当リスクがあるからな。下手にお貴族様の死体からはぎ取って売ったってのがばれたら連座で商人側も罰を受けることがある」
ゼンジロウってなにも知らないと思ってたけど物知りなんだなぁ……
「でも、傭兵団にはいっつも変な商人がくっついて回ってたよ。戦場で手に入れたものはなんでも買い取ってくれたんだ。僕あの人たち大嫌いだったけど、探せば今僕が持ってる宝石とかお金にしてくれるかな」
ゼンジロウはう~んと悩んだ顔しながら顎に手を当てた。
「そりゃ闇商人だ、なんでも金に換えてくれる代わりに結構足元を見られる。適正価格の半額以下で買いたたかれるなんてザラさ。ましてお前、ナリはただのガキだからな、相当舐められるだろう。」
なーんだそんなことか。傭兵団についてまわってた商人も時々「交渉」しにくるんだよね。僕たちの足元を見る?ってやつかな。そんなときの対応はいつも僕だった。
「でもそういう商人は爪を二、三枚はがすとすぐペコペコしだすから大丈夫だよ。護衛も大した奴じゃないしね、派手に殺すんだ。そうするとなんでも言うこと聞いてくれるんだよ!」
ゼンジロウはちょっとひきつった顔をしてたけど笑顔だった
「とりあえず、適当な街に行って身の安全の確保と金目の物を金に換えるっての当座の目標にすっか。それにしてもなんて頼もしいんだお前は……」
「えへへ、でしょ?」
「ところでよぉ、アルバ……」
「ん?何?」
「さすが入口とはいえキアオ樹海ってのはヤベェんだが……お前何匹魔物斬り殺した?」
僕はふっと後ろを振り返ると魔物の死体がいっぱいある。さっきからちょくちょく襲い掛かってくるのをどんどん斬り殺してたんだけど、魔物たちもだいぶん僕が強いってことが分かったみたいで、森の中から視線は感じるけど襲ってこなくなっていた。
「ん~わかんない、ここの魔物あんまり強くないから、インショウに残らないよ」
「さいですか……しかしお前本当に強いんだな、まさかここまでとは……」
やっぱり褒められるのはうれしい気持ちになる。でもここの魔物、ほんとにあんまり強くないんだけどなぁ……
「でもゼンジロウも少しは殺してたじゃない?」
「一匹だけな、俺にとっては結構強かったよ……」
「とりあえず樹海の入り口をなぞりながら北のガルガシア街道に出ようぜ、まさか敗残兵がキアオ樹海から生きて出てくるなんて、街道に巡視兵がいても考えないだろうからな。」
「俺とアルバは親子ってことにしよう、実際お前ぐらいの年の娘がいたからな。俺は旅の用心棒で、娘と安住の地を探してるって設定にすっか。泣けるぜこれは」
「え~~~会ったことないけど僕のパパは多分禿げてないよ」
「うるせぇ!俺のは剃ってんの!俺の国では戦士はこんな髪型なんだよ!」
僕は思わず笑ってしまった。そんな変な髪形にする国があるなんて世の中は広いんだなぁ。
ゼンジロウと話すのはなんだかとっても楽しい。なんだかとっても不思議な気持ちになる。
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