「ワンだふるライフ」~中二病にトンデモ闇魔法教わって始まる、男1人の異世界学園寮生活~

夏樹 サラダ

文字の大きさ
5 / 11

05話 入学試験!恥じらいを捨てろ

しおりを挟む
「着きました! ここですわ」

「とてつもなくでかいですね⋯⋯」

「ライさん⋯⋯? 何処を見て言っていらっしゃるのですか?」

 表情は笑ってる、けど目が笑ってない気がする⋯⋯こわい

「ご主人⋯⋯!! はっ早くごめんなさいしロ!?」

 バニラが凄く焦っている。どうやらこの表情のセリアはやばいらしい。

「ごめんなさい。つい出来心で」

「ふふ。あ、そうそうライさん? 私にも、もっと砕けた喋り方で大丈夫ですよ?」

「あ⋯⋯そう? それならそうさせてもらうよ。セリアも砕けた感じでいいぞ?」

「いえ、私はこちらの方が楽なのでっ。ささ! さっそく入りましょう!」

 心なしか、セリアはウキウキとしている。

 中に入り、おそらく教師だと思われる人に入学したいという主旨を伝えると、驚いた様子で少し待つように言われた。

    "ヴァルキア魔法学園"

 首都ヴァルキア内にある全寮制の魔法学校。

 ユリアンロッドが言っていたように、この世界では男が魔法を扱える事が稀であり、今在籍中の生徒は女子しかいない。

 首都にある学校なだけあって馬鹿でかく、設備も充実している。

 昔は"世界最難度試験"とまでいわれ、その試験を通った者だけが入学できるエリート学校だったのだが、魔王がいない今となってはかなり緩くなり、金と最低限の魔法能力さえあればいつでも入れるらしい。

 少し平和ボケしすぎな気もするが⋯⋯

「え!? じゃあバニラは、セリアの家に金を出してもらったのか!?」

 セリアに学園の事を質問しながら話を聞いていると、とんでもない事実が判明した。

「いやでもナ? 返すってちゃんと約束したゾ?」

「返すって⋯⋯お前金額分かってるのか?」

「この綺麗なのをいっぱいダ!」

 バニラはポケットから袋を出し、その袋の中から1枚の金貨を見せてきた。

「ちょっちょい見せてみ!!」

 中を見てざっと数えてみると、30枚程の金貨が入っていた。

「⋯⋯頑張って一緒に返そうな」

「おお!? ご主人も一緒に集めるカ!?」

「お前1人じゃ絶対無理そうだからな⋯⋯」

 そもそもよく分かってさえいなさそうだ。

「父は気にしなくていいと言っていたので、返さなくても大丈夫だと思いますよ?」

 身なりや喋りから何となく予想はしていたが、セリアの家はどうやらかなりの金持ちらしい。

「いやでも、2年も世話になった上にこれはさすがに⋯⋯。いつになるかは分からないけど、まずは頑張ってみるよ」

 貯めるのは卒業後になるだろうが⋯⋯。そもそも、俺の金免除は本当に通るのか? 試験には受かるのか? バニラの借金をちゃんと返せるか?

 不安になってきた⋯⋯

「こちらへどうぞ」

 などと考えていると、先ほどの女性に声をかけられ、ついて行くと修練場と書かれた部屋に案内された。

「私はノルエ。雷系統の上級魔法の教師です。今回は私が試験監となりました。ではさっそくですが、試験の説明をしますね」

 金髪の長い髪に眼鏡をした、厳しそうな印象を受ける女性が話し出す。

「あっあのすみません! 特待生といいますか⋯⋯お金が免除されるような制度はあったりしますか⋯⋯?」

「あなたにつきましては、試験さえ合格できれば全額免除されます。学園長も期待していると仰っておられました。我が学園に大きくプラスだろうと。なにしろ、10年ぶりの男性の入学希望者ですからね」

 あーなるほど、男の魔法使いは珍しいから注目をあびれるって事か。広告塔になるから本当に魔法を使えるのならば、是非入れと。

 まぁ金免除で入れるのだったら、広告塔でも何でもなってやるさ。無一文の俺には、他に行く所も無いしな。

「有り難うございます。頑張ります」

「金ってこれの事だったナ? ⋯⋯バニラのこれやろうカ?」

「それだとお前が入学できなくなるだろ? それに、俺は試験にさえ通ればいいから大丈夫だよ」

「そうカ? でも撫でとケ?」

 わしゃわしゃ━━

「えっと⋯⋯いいかしら? 今回は私が試験監なので、雷系統の魔法をテストします。今からあなた方3人の前に、1つずつ魔法抵抗のある球体を出します。サンダーで1分以内に3発当てれば合格。単純な、制度と速度を確認するテストです。落ち着いてやりさえすれば、そんなに難しいテストではないわ。外しても焦らないようにね」

「あの⋯⋯雷系統であれば、サンダーでなくても構いませんか?」

「いいけど⋯⋯当たるかどうかのテストよ? 基本であるサンダーが1番当てやすいし、速いと思うけど」

「他の技の方が自信があるので」

「⋯⋯ならご自由に」

 ノルエは了承すると、掌を前にかざし俺達の前に1つずつ、拳程の大きさをした緋色の球体を出した。

━━よかった⋯⋯。俺はサンダーは使えない。

「はい、壁まで下がってー」

━━あの技名を叫ぶのは、正直かなり恥ずかしいが仕方ない。

「かまえてー」

 バニラ、セリア、そして俺は、掌を前に突き出す。

「よおーい」

 ノルエは、ポケットから懐中時計を取り出す。

「⋯⋯」

━━なぜなら俺が使える雷の魔法は、これしかないのだから⋯⋯

「始めっ!!!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない

仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。 トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。 しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。 先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...