「ワンだふるライフ」~中二病にトンデモ闇魔法教わって始まる、男1人の異世界学園寮生活~

夏樹 サラダ

文字の大きさ
7 / 11

07話 寮!謎のストーカー少女

しおりを挟む
 俺達は、エレベーターを使い1階まで下り、ナナカの案内で寮内を見て回った。

 1階に食堂、医務室、洗濯室、温泉浴場。
 
 2階に修練室、娯楽室、事務室。

「こんな所かしらね。で、3階から私達の部屋の5階までは、全て生徒の部屋があるだけよ」

 2階の修練室まで来た所で、ナナカの説明は終わった。

「部屋にシャワールームがあるのに、温泉浴場があるって凄いな⋯⋯。修練室まであるし、豪華すぎないか?」

「この学校、とにかく見栄っ張りだから」

 ナナカは笑って答えた。

「楽しくなりそうですわ。これぞ私が憧れていた、お父様とお母様の目がない生活⋯⋯!」

 どうやら、セリアの家は厳しいらしい。よくバニラの世話を、2年も受け入れてくれたな⋯⋯。 

「? セリアのお父さんもお母さんも、バニラに凄く優しかったゾ?」

「自分の子には⋯⋯ってやつか」

 それでもすぐに入学せず、バニラと一緒に編入で来た。バニラが言葉と魔法を覚えるまで待っててくれたのだろうか⋯⋯。優しいやつだ。

「あ、そうそう。起床は7時で、消灯は24時だから気をつけてね。あーあと温泉浴場を使う時間も、私達とライで分けないとね 。ま、それはこっちで話し合って決めておくわ。それまでは部屋のシャワー室使って!」

「あ、うん。分かったよ」

 新参者で唯一の男に、当然決定権などはない。

「さてと、私はこれから修練でも⋯⋯あ、ルーイ。ルーイも修練してたの?」

 修練室から、アヒルの絵が描いた可愛らしい髪留めをして、片方の耳を出した短い銀髪の少女が出てきた。

「あ⋯⋯ナナカ」

「ちょうどよかったわ。この3人今日編入して来て、私達と同じ5階の部屋だから」

「!!!!」

 ルーイと呼ばれた少女は、俺達の方を見た瞬間、先ほどまでの気だるそうな目をカッと見開かせた。

「可愛い⋯⋯」

 ぽつりと呟いたその言葉に驚きながらも、釘付けとなっている彼女の視線を追うと、その先には不思議そうな顔をしたバニラがいた。

「なんダ? 友達なるカ?」

「えっ!? うん⋯⋯なる」

 出会って数秒で友達である。こいつのこういう所は、ほんとに羨ましい。

「耳⋯⋯さわっても⋯⋯いい?」

「いいゾ? 優しくナ?」

「ル、ルーイ⋯⋯? こんなルーイ初めて見たわ⋯⋯」

 うちのバニラの可愛さは、半端じゃないからなぁ。うん、仕方ない。

「表情にはあんまり出てないですけど、ルーイさん心なしか嬉しそうですね」

「ルーイ。こっちの2人の事も覚えてね?」

「⋯⋯」

━━うわぁ。滅茶苦茶どうでもよさそうな顔しやがった

「男で魔法を使えるのよ? 珍しくない?」

 ナナカの言葉に、ルーイのバニラの耳をさわる手がピタッと止まった。

「魔法を⋯⋯? どんな魔法?」

「えーと。まぁ、よく分からん魔法だ」

 どんな? と、聞かれて困った俺は適当に答えた。

「でも実際、試験の時のあの魔法は何ですの? あんな魔法、見た事も聞いた事もありませんし、それに凄い威力でしたわ」

「見た事も⋯⋯聞いた事も⋯⋯ない魔法⋯⋯?」

 ルーイは、俺の方をじっと見ながら何かを考え込んでいる。

「へー。凄いじゃない! あたしも見てみたかったなー」
 
「凄いゾご主人」

 バニラが頭を撫でてくる。まぁ、褒められて悪い気はしない。

「あはは。そんな大したものじゃ━━」

       「見せて」

「え?」

 俺の言葉を遮り、ルーイは真っ直ぐに俺を見て言った。

「え? 今? ここじゃ無理だろ⋯⋯」

「なら外で」

「今度でいいだろ⋯⋯。疲れてるし、わざわざ外に出て見せるもんでもないよ」

 正直面倒だった。それに、何故か嫌な予感がしたから⋯⋯

「⋯⋯」

「あっ! ルーイ!?」

 さっきまでの和やかな雰囲気とは対照的に、ルーイは真剣な顔をして去っていった。

「何だったんだ⋯⋯?」

「ナナカさん。ルーイさんってどういう人なんですの?」

「うーん⋯⋯見た通り無口なやつよ? それ以外は⋯⋯正直よく分からないわ。さっきみたいに、何かに強い関心を示している所は初めて見たわ。ルーイもあんた達と同じで編入して来たのよ。半月くらい前にね」

「ナナカとルーイは同室なのか?」

「そうよ。あたし、元々は他の子と同室だったんだけど、あの子が入学したら何故かあたしが同室に移動させられたの。友達もいないみたいだし、あたし以外と喋ってる所もほとんど見た事ないから、何か心配なのよね」

「ルーイ友達いるゾ? バニラと友達ダ」

「アハハそうだったわね。うん、あたしもあの子の事友達だと思ってる」

「でも⋯⋯さっきは、明らかに様子がおかしかったよな?」

「そうね。まぁ、でも本人は聞かれたくない事かもしれないし⋯⋯そっとしときましょ。それじゃ、あたしは修練室でトレーニングするから。また明日ね」

「案内して頂き、有り難うございました」

 修練室へと入っていくナナカに手を振り、疲れていた俺達は、部屋に戻る事にした。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「ふ~。濃い1日だったな⋯⋯。」

 シャワーを浴びて、以前師匠に貰った、いつも使っている寝間着に着替えると、部屋のベッドに寝転がった。

 眠気に襲われながらも、今日1日の出来事を振り替えってみる。

━━2年間を共にした師匠と別れ、獣人に転生した愛犬に再会し、おしとやかなお嬢様と友達になり、試験に合格して寮に入り、活発な女の子と無口な謎の女の子と知り合う⋯⋯。1日でほんとにいろんな事があった。前いた世界での、代わり映えしない日常とは大違いだ。明日は、どんな出来事が俺を待っているのだろう━━

「師匠⋯⋯元気にしてるかな⋯⋯?」

 俺がいなくなったから、話す相手がいなくて、また寂しい思いしてるんじゃないだろうか⋯⋯。ここの生活に落ち着いたら、報告も兼ねて会いに行ってみるか。

「ご主人!!」

 突然ドアが開き、バニラが部屋へと入ってきた。

「うおい! 何だいきなり。ってか鍵閉め忘れてたな」

「そうカ、鍵閉めるナ。ご主人、バニラ今日ここで寝ル」

「いやだからな? 部屋割りの時も言ったけど、それは駄目なんだって」

「なんでダ! やっとまた会えたんダ⋯⋯。ご主人が見えてないと、バニラ不安で眠れなイ」

「うぐ⋯⋯。止めろバニラ、その言葉は俺に効く」

「⋯⋯」

「⋯⋯セリアは何て?」

「セリア寝てル。疲れたからっテ。だから置き手紙してきタ」

「お前字も書けるのか⋯⋯。魔法と言葉と字を2年間で⋯⋯。頑張ったんだな」

「人を探すのに、言葉と字が役に立つってセリアに言われたんダ」

「⋯⋯」

 俺を探す為に。俺にもう1度会う為に⋯⋯

「分かった。でも、今日だけだぞ? 見つかって、入学早々退学なんて洒落にならんからな」

「うン!! ご主人大好きダ!」

「⋯⋯ほんとにお前は、いつもストレートだな。ベッドはそっち使えな?」

 少し、冷たい言い方になってしまっただろうか⋯⋯?

 バニラは、自分の姿が変わった事を気にもしていない感じだが、俺はこういう状況になって、困惑していた。

 頭では、間違いなくずっと一緒にいたあのバニラだと分かっている。でも、目の前の姿は獣耳をした見慣れぬ美少女だ。

「一緒に寝ないのカー。じゃあご主人? バニラの方向いて寝てくレ」

「こうか?」

 俺は、身体を横にしてバニラの方を向いた。バニラもこっちを向いていて、目が合った。

「これで安心ダ⋯⋯。ご主人おやすみなさイ」

「⋯⋯電気消すぞ。おやすみバニラ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

沢田美
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...