わたしのお金を全部使った伯爵サマ...もう許しません。あなたの財産は差し押さえます!

夜桜

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婚約破棄

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「エドナ、すまない……」
「どうして……伯爵サマ、どうしてわたしのお金を全部使っちゃったんですか!!」

「女遊びと……ギャンブルで溶かした」
「酷いですよ!! あれは将来の為にと……貯めていたものですよ……。それを、それを……酷過ぎる」


 オーレルは、わたしに無断でお金を使い果たしていた。それが今日になって発覚。告白を受けた。……酷過ぎてもう言葉も失った。

 もう……別れるしかない。


「か、必ず金は返す。だから待ってくれ」
「当然です! お金は必ずきっちり、耳を揃えて返して戴きます。ですが、婚約破棄もしていただきますよ」

「な、なぜだ!! この俺を捨てると言うのか」
「当たり前です。もうあなたのようなサイテーな人と一緒にいられません。お金だけ返してください」

「それなら話は別だ! エドナ、お前に金は返さん!!」


 逆切れする伯爵サマ。
 なんて態度なの!!
 もう許せない。

 けど、ないものはない。
 結局、わたしは泣き寝入りとなった……。


 怒りのまま伯爵邸を飛び出して、わたしはひとりぼっちに。……悔しい、悔しい、悔しいっ!! どうしてわたしの金をあんなヤツの欲の為に使われなきゃいけないの。そんなの、そんなの間違ってる。


 ショックを受けながら街中を歩いていると、顔見知りの公爵サマがいた。

「あら、公爵サマ。確かアレン様」
「おぉ、エドナ。久しぶりだね。僕を覚えていてくたとは光栄の極みだね。今日は散歩かい」

「いえ、その……実は……」


 わたしは伯爵と婚約破棄した事を細かに話した。こうすれば、少しは気が晴れるかなと思って……。


「なるほどね。伯爵は君のお金を全て使い果たしたのか……真正のクズだな」


 ハッキリと申す公爵サマ。
 こうズバッと口にするところが平民から人気を博しており、わたしも気に入っていた。

「そうなんです。どうにか事件化できないでしょうか」
「う~ん。そうだな、そういうのは民事だろうからね。いいだろう、裁判長も務めているこの僕がなんとかしてあげよう」

「えっ、アレン様は人を裁ける立場なのですね」

「ああ、公爵という地位と同時に裁判長だからね。もちろん、法廷でしっかりと裁判をして……まあ細かいことはいいだろう。難しい事は抜きに、君のお金を使ったという証拠を集めよう。なぁに、聞き回って事実を確認すれば手っ取り早い」

「宜しくお願いします」


 ――アレン様のおかげで、伯爵オーレルがお金を使っていた証拠がどんどん出てきた。いかがわしいお店での複数利用、カジノ通い、大規模なパーティでの資金利用などなど。……でるわでるわ。


「…………」


 わたしはショックで倒れた。


「大丈夫かい、エドナ!」
「支えていただき……ありがとうございます……」
「無理をする必要はない。後は任せろ」

「アレン……様。どうかお願いします……あの悪魔の男・オーレルを法で裁いて下さい……そうでないと、わたし……どうかなりそうです……」


 辛すぎて涙がボロボロ出た。
 もう耐えられない……。


「かわいそうに、エドナ。分かった、ヤツの財産を全て差し押さえる」


 ◆


 ――後日、アレン様に付き添う形で伯爵邸へ向かった。広間には余裕の顔を浮かべるオーレルの姿が。

「なんだ、まだ諦めていなかったのかエドナ。言っておくが金なんてないぞ」
「精々余裕ぶっているといいわ」

「なんだと?」

 アレン様が前へ出て『差し押さえ状』を突き付ける。オーレルは直ぐに顔を青くし、ガタガタと震えはじめた。


「……さ、差し押さえ!? は!? なんだと!?」

「伯爵、貴様の屋敷と隠し財産を全て差し押さえる」

「ば、馬鹿な!! なんの権限があって……」

「僕は公爵であり、裁判長。国より法を任されている立場。君を法の下に裁く」
「なっ……!! そんなのって…………じゃあ、俺はなにもかも失うっていうのかよ」

「当然だ。お前はエドナの全てを奪った。その罪を償え」


「くそおぉぉぉぉ…………」


 号泣して泣き崩れるオーレル。
 その情けない姿を見て、わたしはやっとスッキリした。これで、この屋敷はもう彼のものではない。国の物となった。


 ◆


「ありがとうございました、アレン様」
「いや、僕は裁判長として当たり前の判決を下しただけさ。彼は明らかに犯罪を犯していたから、有罪となった。それだけのこと」

「この御恩は一生忘れません」

「ああ、じゃあ僕は……ん?」


 わたしは彼の手を離さなかった。
 このまま行って欲しくない。


「あ、あの……アレン様。わたし……その」
「……そうか。僕も少し君が気になっていた。いいのかい?」
「……はい。わたし、アレン様が好きになってしまいました……」

「嬉しいよ、エドナ。でも、僕は恋愛に疎くてね……ほら、裁判ばかりで忙しい日々だったからさ。でも、ぜひ僕の屋敷に来て欲しい」
「はい、喜んで」


 アレン様は、わたしの手を握って下さった。優しくて、あたたかくて……正義に満ち溢れた手。


 その後、わたしとアレン様は婚約を結んだ――。
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