転生皇女（12歳）、家出してみました。

皇女と呪い

「お、お姉ちゃん、どこに向かってるの？」
ずっと箒にしがみついてるオオカミ少年が首を傾げた。
「えっとね、大切な場所。」
マシロという名前を聞いて、すぐにその子が誰かわかった。
雪魔法の天才で、狼獣人の少女、マシロ。
彼女はヒロインの友達で、あまり笑わない、辛い過去を持つ、脇役。
確か、原作でもウルフナイトの中に封印されていたよね。
7歳の時に閉じ込められて、そのまま5年間、放置され続けていた。
そして、解放されている時には、瞳から希望が消えていたと、小説に書いてあった。
まだ5年も経ってないはずだから、オオカミ少年としゃべれば、希望を持ってくれるはず。
「ついたよ。」
古い塔の前で二人を下ろした後、私はウルフナイトをオオカミ少年に渡した。
「この中に、マシロがいるの？」
「そうだよ。二人とも、この中に入って。」
私は二人を魔法でできたカゴの中に入れると、塔の中に入って行った。
この中に入っていれば、私が魔法を解くまで誰にも見えないはず。
防音機能もついているから、喋っても大丈夫。
下へ続く階段を降りていくと、一つの扉が見えてきた。
古い扉、ここかしら。
扉を開くと、たくさんの動物の像が見えてきた。
竜、蛇、虎、グリフォン、狼。全て昔人間と共に戦っていた生き物たちだ。
確か、狼の像に刻まれた文字を読めば…
文字を頭の中で読んだ後、私は目を大きく開けた。この世界の字ではないけれど、見たことのある文字、これは、
「日本語だ。」
自分が日本人ではないのは確かだ。
でも、日本語は知っている。
「消えたオオカミはここに戻ってくる。名前は本に刻まれる。」
意味がわからないまま読み終えると、一冊の古い本が現れた。
その代わり、文字が消えてしまった。
ページをパラパラとめくると、『呪い　封印』と、書かれてあるページを見つけた。
『ウルフナイトには、様々な能力がある。誰かを封印する能力、ーーーーする能力、ーーーーーーーーーーだ。もし封印された場合、その封印を解く方法は一つしかない。神聖力と、愛を注いでもらうんだ。誰かに。しかし、ーーーーにーーーを注いでも、意味がなく、ーーーーーのーーーーで、ーーーをしなければならない。』
一番たいせなところの文字が消えてるじゃん！神聖力は現在lv1だから、頑張ってレベルを上げて封印を解けるぐらい極めるしかない！この神聖力と愛をウルフナイトに注いでも、意味がないのかな？
どこかで、違うところで封印されてるってこと？
とにかく、愛は、いらないくらいあげよう。
彼女にまだ希望があることを伝えるために。
助ける方法は大体わかったから、家に帰るか。
本をインベントリに仕舞うと、私は箒を取り出して、二人を前に乗せて家に帰った。
これからは平和な毎日が続きますように。