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人生行路編
4話 エルフ
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アランさんがスライムを倒した後、私たちはひたすら森の中を歩いた。何度か魔物に襲われながらも、魔術や魔法が使えない私の代わりに、アランさんが魔物を倒していき、ついに大きな鉄の門が見え、門番と思われる鉄の鎧を身に着けた二人の騎士が立っていた。その門番たちはアランさんの顔を見るなり、背筋を伸ばし始めた。
「お疲れ様~」
アランさんは門番に手を振ると「お疲れ様です! アラン殿!」と元気よく門番は敬礼をした。そして、門がゆっくりと開いた。私とアランさんは門のその先にある大きな国に足を踏み入れた。すると、人や妖精、様々な種族たちが目の前に飛び込んできた。
「エルフ! 妖精! 獣人にドワーフまでもが存在しているぅ!? やばい! 興奮する!」
「あまり変な行動はしないでくれ給え。あいつに叱られるからね」
「分かっていますよ。私も目立ちたくありませんので、おとなーしくしていますよ」
多分だけど。そう心の中で思いつつ、街の中を歩き回った。市場や宝石店、武器屋などがあちこちにあり、実際に生で見ていることを実感し、心が高鳴る。
「色々みたいのは分かるけど、今日のところはひとまず、あいつのところに向かおうか。衣食住は保証すると思うからね」
「衣食住は保証してもらわないと、大変ですね! 行く当てありませんし私。アランさんは家あると思いますけど」
「家という家じゃないけどね。そのうち分かるさ。さて、もう少しの辛抱さ! 頑張り給え!」
今は、アランさんの親友の元へ行くことを最優先にしよう。なにせよ、エルフ族に会えるのだから! そう思えば、気合が入る!
「エルフに会えるので頑張ります!」
スキップしそうになるのを抑え、アランさんの横を歩いた。すると、背後から『アラン?』とアランさんの名を呼ぶ低い声が聞こえた。私とアランさんは後ろを振り向くと、エルフの特徴である長く尖った耳をした、アランさんと同じ身長くらいある男性がいた。しかもイケメンだ。
「おっと、久しいね! 元気にしていたかい?」
「えぇ。しかし何十年ぶりですかね? アランの顔を見るのは。それに……」
男性は私の顔をじっと見つめ、人間不信である私は『どうも……』と頭をぺこりと下げると、男性はアランさんに真顔でこう言った。
「人攫いですか? しかも、成人の義前の人間じゃないですか。ついに犯罪を犯してしまったのですね……。友人として恥ずかしい限りです。さぁ、出頭しに行きますよ」
「いや、人攫いじゃないからね!? 犯罪も犯したことないしねっ!?」
「アランさん、犯罪者みたいなものでしょ? 初対面で抱き着くし」
私がそう言うと、男性は右手に持っていたバックから、チョコレートみたいなお菓子を取り出した。
「私のアランがどうもご迷惑をおかげしました。お詫びとして、今日私のおやつの予定だったチョコサンドです。受け取ってください」
この世界にもチョコサンドあったんだ!? それにめっちゃいい人!
「いえいえ。良ければ一緒に食べませんか? その方がおいしくなると思いますよ!」
「よろしいのですかッ!? ありがたいです! 今日までの期間限定スイーツだったんですよ。二つあるので、私の家にご案内しますね! 私は、ルイと申します」
「初めまして、ルナと言います! ルイさんよろしくお願いします」
「こちらこそ。ではこちらです」
私たちの会話についていけていないアランをルイさんが、首根っこを掴んで引きずりながら、私はルイさんの家までついていくことになったのだった。
「お疲れ様~」
アランさんは門番に手を振ると「お疲れ様です! アラン殿!」と元気よく門番は敬礼をした。そして、門がゆっくりと開いた。私とアランさんは門のその先にある大きな国に足を踏み入れた。すると、人や妖精、様々な種族たちが目の前に飛び込んできた。
「エルフ! 妖精! 獣人にドワーフまでもが存在しているぅ!? やばい! 興奮する!」
「あまり変な行動はしないでくれ給え。あいつに叱られるからね」
「分かっていますよ。私も目立ちたくありませんので、おとなーしくしていますよ」
多分だけど。そう心の中で思いつつ、街の中を歩き回った。市場や宝石店、武器屋などがあちこちにあり、実際に生で見ていることを実感し、心が高鳴る。
「色々みたいのは分かるけど、今日のところはひとまず、あいつのところに向かおうか。衣食住は保証すると思うからね」
「衣食住は保証してもらわないと、大変ですね! 行く当てありませんし私。アランさんは家あると思いますけど」
「家という家じゃないけどね。そのうち分かるさ。さて、もう少しの辛抱さ! 頑張り給え!」
今は、アランさんの親友の元へ行くことを最優先にしよう。なにせよ、エルフ族に会えるのだから! そう思えば、気合が入る!
「エルフに会えるので頑張ります!」
スキップしそうになるのを抑え、アランさんの横を歩いた。すると、背後から『アラン?』とアランさんの名を呼ぶ低い声が聞こえた。私とアランさんは後ろを振り向くと、エルフの特徴である長く尖った耳をした、アランさんと同じ身長くらいある男性がいた。しかもイケメンだ。
「おっと、久しいね! 元気にしていたかい?」
「えぇ。しかし何十年ぶりですかね? アランの顔を見るのは。それに……」
男性は私の顔をじっと見つめ、人間不信である私は『どうも……』と頭をぺこりと下げると、男性はアランさんに真顔でこう言った。
「人攫いですか? しかも、成人の義前の人間じゃないですか。ついに犯罪を犯してしまったのですね……。友人として恥ずかしい限りです。さぁ、出頭しに行きますよ」
「いや、人攫いじゃないからね!? 犯罪も犯したことないしねっ!?」
「アランさん、犯罪者みたいなものでしょ? 初対面で抱き着くし」
私がそう言うと、男性は右手に持っていたバックから、チョコレートみたいなお菓子を取り出した。
「私のアランがどうもご迷惑をおかげしました。お詫びとして、今日私のおやつの予定だったチョコサンドです。受け取ってください」
この世界にもチョコサンドあったんだ!? それにめっちゃいい人!
「いえいえ。良ければ一緒に食べませんか? その方がおいしくなると思いますよ!」
「よろしいのですかッ!? ありがたいです! 今日までの期間限定スイーツだったんですよ。二つあるので、私の家にご案内しますね! 私は、ルイと申します」
「初めまして、ルナと言います! ルイさんよろしくお願いします」
「こちらこそ。ではこちらです」
私たちの会話についていけていないアランをルイさんが、首根っこを掴んで引きずりながら、私はルイさんの家までついていくことになったのだった。
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