28 / 30
Rainbow〜幸せの国編〜そらの大冒険㉘
しおりを挟むそれから、約1年後
さっきまで降っていた雨が止み、おひさまが顔をだしている。
今日は特別な新しい一日の始まりだ。
サラちゃんが真新しい慣れない制服を着て、髪を二つ結びにして帽子を被って何度も鏡の前で自分の姿を見ている。どうやらポニーテールは帽子が被れないからツインテールにするみたいだ。その様子をママが笑いながら
『とっても似合ってるわよ』
『サラ、お友達いっぱい出来るかな?』
『きちんとご挨拶出来て、ニコニコ笑って、みんなと仲良し出来てたら、きっといっぱい出来るわよ』
『うん、分かった』
サラちゃんが嬉しそうに笑った。すると、
『うんぎゃあぁ』
赤ちゃんの泣く声が聞こえた。
『陽太君。おしめかな?それともお腹すいたのかしら?』
ママが慌てて赤ちゃんをあやし始めた。
僕はすかさずオムツをくわえて、ママの所に行く。
『あら!そらくん。なんで分かるの?』
僕は自慢そうに鼻をフンっと鳴らした。
『さすがお兄ちゃんね!』
ママに褒められて、僕は自慢げにまた鼻をフンっと鳴らした。
そう、サラちゃんに弟が生まれたのだ。
ママが調子が悪かったのもどうやらそのせいらしかったが、無事、元気な男の子が生まれた。
陽太君が泣く度、おっぱいをあげたり、オムツ替えをしたり、ママは寝不足なんかお構いなしに毎日大忙しだ。どうやら赤ちゃんを産むって相当大変な事らしい。でも、ママは陽太君を見る度、トロトロの笑顔になる。
とっても幸せそう。
そんな姿をみているんだもの!
お手伝いなんて当然さ!
なんせサラちゃんの弟って事は、僕の弟でもあるからね!おっぱいの匂いのする柔らかいほっぺが可愛いのなんのって!
準備が出来ると、サラちゃんは僕に言った。
『そらくん、サラ、今日幼稚園の入学式なんだ!お留守番しててね!じゃあ、行ってるね!』
そう言って、パタンと玄関のドアを閉めた。
サラちゃんの居ない初めてのお留守番。突然家の中が静かになった。
サラちゃんが居ないとこんなに静かだったんだ。
僕はちょっと寂しくなってクンクン鳴いた。すると、
『ミィミィ』
小さな声が聞こえた。僕は声を頼りにリビングの窓の外を見ると見慣れない子猫が居た。掌に乗りそうな位小さくて弱々しい。母猫は居ないのか僕はキョロキョロしたが、何処にも居ないので、僕は窓の隙間から鼻を差し込んで、無理矢理窓を開けて外に出る事が運良く出来たので、急いで花壇の所に駆け寄ってみると
1匹の子猫と目が合った。
(あぁ、なんて綺麗な青と黄色の瞳なんだろう!初めて会うのに不思議だな。何だか懐かしい気がする?)
子猫がすり寄ってくる。僕は猫が大の苦手だった。
(あれ?何でだろう?とっても可愛い!)
子猫はおっぱいを探すように僕のお腹を探り始めた。
(僕は男の子だからママみたいにおっぱいは出ないよ。それでもいいの?)
お構い無しに子猫はそのまま僕にくっついて眠ってしまった。僕も何だか眠くなって一緒に横になった。おひさまがポカポカポカしてとても気持ちいい。青空には綺麗な虹が架かっている。
(あれ·····どっかで見た事がような気がする。思い出せないけど、とっても綺麗だな。何だろう?アレ?涙が出てくる·····)
『そらくん、ただいま!』
サラちゃんの声で目が覚めた。
『あれ?猫ちゃんがいる!ママ!ママ!白い子猫がそらくんと一緒にいる!』
『あらあら!なんでこんな小さい子猫がこんな所にいるのかしら?』
『可愛い!お目目の色が右と左で違う!ミィミィ鳴いてる』
ママとサラちゃんは大騒ぎをしているせいか子猫も目を覚ました。僕らは顔を見合わせて、お互いの匂いを嗅ぎ、鼻と鼻を合わせて挨拶して、お互いをぺろぺろ舐めあった。
(相性は抜群!君も僕の家族になるの?)
春のうららかな日差しの中、雨上がりのせいか、草木の匂いが立ちこめる。心地よい風。
僕は大好きな人に囲まれ、新たな家族になるかもしれない予感に幸せな気持ちでいっぱいだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる