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出掛ける神様④
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俺は晴人くんに対して特別な感情は無いし、何かしてあげることで貸しを作る気があるわけでもない。また、晴人くんが俺を邪険に扱ってくることを気にしているわけでもない。
けれど、まぁ少しでも円滑な関係を構築しておくことでこの下界での生活、ひいては下界での天界に関する情報収集がよりスムーズになるのなら、「元」神様の能力を使うことくらいなんてことないだろう。能力が鈍ることも出来るだけ避けたいところだし。
ここはいっちょ「透視」の能力を使って、美鈴ちゃんが欲しがっている限定キャップのくじを引かせてあげよう。これにより晴人くんがそれを美鈴ちゃんにプレゼントすることで、美鈴ちゃんの晴人くんに対する評価が上がり、ひいては晴人くんの俺の評価も上がるだろう。
我ながらいい作戦だ。まさに「神がかった」作戦というべきか。
くじは買いたい番号を店員に申告するというシステムであった。
最初は1から50までの番号が書かれたくじが広めの台の上に番号順に並べられていたが、色んな人が番号の書かれたくじの中から悩みながら選んで購入しているため、今はくじは番号順には並べられていない。
そして、用意されていた50枚ほどのくじのうち、半分以上は買われている。しかも、4等と5等は結構な数が出ており、また3等はまだ出ていなかった。
またとないチャンスだ。なぜなら、3等が出る確率が高い今の状態であれば、透視の結果を教えて実際に3等が当たることにより、晴人くんからなぜ当たりが分かったかと迫られても偶然を装うことに無理はないからである。
俺は天界にいた頃の感覚を研ぎ澄まし、透視を行う。下界という天界とは違う環境だからか、透視の際少し視界がぼやけていたのが少し気にはなったが、その裏に限定キャップが透けて見えてくる数字さえ分かれば十分だ。
その結果、5個用意されている限定キャップのくじ番号が判明した。「7」「18」「24」「29」「42」。このうち……、そうだな、ラッキー7ということで「7番」を晴人くんに教えるか。
「晴人くん、ちょっといいかな?」
「ん?なんだよ、あっち行けよ!」
「す、少しだけでいいから……。晴人くんは「7番」のくじを引くと、お目当てのものが当たるかもしれない」
「あ?なんでこのくじの中に目当てのものがあるって知ってんだよ?さては姉ちゃんだな?べらべら喋りやがって。誰がお前なんかを信じるか!」
「俺は昔から、こういう類のものはハズしたことがない。騙されたと思って引いてご覧。もし当たらなかったら、おじさんが代わりにお金を出して買ってあげるよ。けど、自分で引いたものでそれを当てて、プレゼントした方が格好が付くだろう?」
「……。当たらなかったら恥かくの俺だからな?金欠の学生の身分だから定価で買うの諦めて、その代わりくじで当ててプレゼントしようとしたこと、美鈴と相当話し合ったんだ。だから、これで外したら美鈴の手前、示しが付かなくなる。本当に当たるんだな?」
「大丈夫。「7番」だからね」
渋々、けれどさっきまでの少し緊張した表情を緩めながら、晴人くんはくじを買いにレジに向かった。そして「7番」を申告し、それに該当するくじを受け取った。
恐る恐るくじをめくっている。そして開いたくじを見た晴人くんは驚きか呆然かよく分からない表情で店員に差し出す。すると店員は笑顔で大当たりを知らせる鐘を鳴らす。上手くいった。これが「元」神様の能力だ。きっと晴人くんも恐れおののいていることだろう。
晴人くんが戻ってくる。しかし、俺が想定していた晴人くんの表情ではない。明らかに怒りが込められている、気がした。
晴人くんが手にしていたのは3等の限定キャップ、ではなく、1等の限定Tシャツだった。
けれど、まぁ少しでも円滑な関係を構築しておくことでこの下界での生活、ひいては下界での天界に関する情報収集がよりスムーズになるのなら、「元」神様の能力を使うことくらいなんてことないだろう。能力が鈍ることも出来るだけ避けたいところだし。
ここはいっちょ「透視」の能力を使って、美鈴ちゃんが欲しがっている限定キャップのくじを引かせてあげよう。これにより晴人くんがそれを美鈴ちゃんにプレゼントすることで、美鈴ちゃんの晴人くんに対する評価が上がり、ひいては晴人くんの俺の評価も上がるだろう。
我ながらいい作戦だ。まさに「神がかった」作戦というべきか。
くじは買いたい番号を店員に申告するというシステムであった。
最初は1から50までの番号が書かれたくじが広めの台の上に番号順に並べられていたが、色んな人が番号の書かれたくじの中から悩みながら選んで購入しているため、今はくじは番号順には並べられていない。
そして、用意されていた50枚ほどのくじのうち、半分以上は買われている。しかも、4等と5等は結構な数が出ており、また3等はまだ出ていなかった。
またとないチャンスだ。なぜなら、3等が出る確率が高い今の状態であれば、透視の結果を教えて実際に3等が当たることにより、晴人くんからなぜ当たりが分かったかと迫られても偶然を装うことに無理はないからである。
俺は天界にいた頃の感覚を研ぎ澄まし、透視を行う。下界という天界とは違う環境だからか、透視の際少し視界がぼやけていたのが少し気にはなったが、その裏に限定キャップが透けて見えてくる数字さえ分かれば十分だ。
その結果、5個用意されている限定キャップのくじ番号が判明した。「7」「18」「24」「29」「42」。このうち……、そうだな、ラッキー7ということで「7番」を晴人くんに教えるか。
「晴人くん、ちょっといいかな?」
「ん?なんだよ、あっち行けよ!」
「す、少しだけでいいから……。晴人くんは「7番」のくじを引くと、お目当てのものが当たるかもしれない」
「あ?なんでこのくじの中に目当てのものがあるって知ってんだよ?さては姉ちゃんだな?べらべら喋りやがって。誰がお前なんかを信じるか!」
「俺は昔から、こういう類のものはハズしたことがない。騙されたと思って引いてご覧。もし当たらなかったら、おじさんが代わりにお金を出して買ってあげるよ。けど、自分で引いたものでそれを当てて、プレゼントした方が格好が付くだろう?」
「……。当たらなかったら恥かくの俺だからな?金欠の学生の身分だから定価で買うの諦めて、その代わりくじで当ててプレゼントしようとしたこと、美鈴と相当話し合ったんだ。だから、これで外したら美鈴の手前、示しが付かなくなる。本当に当たるんだな?」
「大丈夫。「7番」だからね」
渋々、けれどさっきまでの少し緊張した表情を緩めながら、晴人くんはくじを買いにレジに向かった。そして「7番」を申告し、それに該当するくじを受け取った。
恐る恐るくじをめくっている。そして開いたくじを見た晴人くんは驚きか呆然かよく分からない表情で店員に差し出す。すると店員は笑顔で大当たりを知らせる鐘を鳴らす。上手くいった。これが「元」神様の能力だ。きっと晴人くんも恐れおののいていることだろう。
晴人くんが戻ってくる。しかし、俺が想定していた晴人くんの表情ではない。明らかに怒りが込められている、気がした。
晴人くんが手にしていたのは3等の限定キャップ、ではなく、1等の限定Tシャツだった。
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