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神様と子供②
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「うー。なんだかやっかいなことになったぞ……」
鳥居家のお母さんに娘たちの喧嘩の仲裁に入るよう懇願されてから、一応自分なりにあれじゃないこれじゃないと色々とシミュレーションをしてみた。
しかし、成功するシチュエーションは全く想像出来なかった。
鳥居家が一堂に会して話し合うのは一週間後。凪沙ちゃんのお姉ちゃんがたまたま実家に帰ってくる日である。表向きは「家族旅行をどうするか」という話し合いなのだが、裏のテーマに「娘たちの仲直り」が存在する奇妙な構図になっている。
しかし、そもそも娘たちが仲直りしなければ家族旅行も何もあったものじゃないので、どう考えても「娘たちの仲直り」が最優先事項であることは間違いない。
その「娘たちの仲直り」の中に何故か俺がいる。仮に仲直りさせることに成功し、無事鳥居家の家族旅行が実現したところで、その家族旅行には付いて行かない俺が、である。
さらにやっかいなのは、凪沙ちゃんも凪沙ちゃんのお姉ちゃんも、一週間後に顔を合わせることを互いに知らないことだ。
実は、凪沙ちゃんと凪沙ちゃんのお姉ちゃんは、一週間後に家族旅行の話し合いが行われることを知らされていない。
なぜなら、もしも事前にそれを話したら、顔を合わせてるのが嫌と理由で、片方あるいは両方が話し合いにすら参加しない可能性があるからである。
つまり、話し合い当日まで二人は何も知らされないまま顔を合わせることになるのだ。絶対修羅場になるだろこれ……。
そうだ。こういう時は、あえて晴人くんに相談してみよう。二人の弟だからこそ、なにか違う視点でアイデアを出してくれるかもしれない。
凪沙ちゃんが不在で、晴人くんが極力暇そうにしてる時を見計らい、呼び出してみる。来てくれるか……。
「なんだよ神山さん。金なら貸さねえぞ」
相変わらずこの坊主は。たしかに金欠だけどさ。
「さすがに30以上も離れた人から金を借りるほど落ちぶれてはいないよ。天界からは落ちてきているけ……ゴホンゴホン。忙しいのにごめんね。実は凪沙ちゃんのことについて相談があるんだ」
「姉ちゃん彼氏いないけど、神山さんじゃ無理だと思うぞ」
まだ神だったらぶん殴ってるぞまじで。
「違う違う!そんなんじゃないんだ。実は……」
晴人くんに一連の流れを話した。大部分は知っていたようなので話は早かった。
「姉ちゃんあの時、信じられないくらい怒ってたなぁ。あの二人あんまり喧嘩しないから珍しいなとは思ったよ。よほどのことがあったんだろうな」
「そうなんだね。俺に仲直りさせられるものなのかな?」
「難しいんじゃない? そもそも、なんで鳥居家の事情にも家族旅行にも関係のない神山さんが仲裁に入るのさ? 神山さんだって、誰かと喧嘩してる時に知らない人が仲裁に入ってきたら、仲直りするどころか意味分からないだろ?」
ド正論を言われてしまった。ここで正論はキツイな。
「僕がここで働き出したことは、お母さんが少しだけ話しているみたい。だから凪沙ちゃんのお姉ちゃんも僕のこと全く知らないわけではなさそうなんだけど、たしかにほぼ初対面で喧嘩の仲裁は意味が分からないよね……」
「じゃあさ、一回会ってみる?俺も間に入るからさ」
「え、いいの?」
晴人くんが俺にここまで優しくしてくれるのは初めてだ。あの時距離を縮めてて良かった! これはもう完全に晴人くんとの溝は無くなったのでは……?
「家族旅行行きたいしね。それが実現するかどうかは神山にかかってるから。失敗したら許さねえからな」
自分が思っていたよりもずっと、晴人くんとの溝は深かった。
鳥居家のお母さんに娘たちの喧嘩の仲裁に入るよう懇願されてから、一応自分なりにあれじゃないこれじゃないと色々とシミュレーションをしてみた。
しかし、成功するシチュエーションは全く想像出来なかった。
鳥居家が一堂に会して話し合うのは一週間後。凪沙ちゃんのお姉ちゃんがたまたま実家に帰ってくる日である。表向きは「家族旅行をどうするか」という話し合いなのだが、裏のテーマに「娘たちの仲直り」が存在する奇妙な構図になっている。
しかし、そもそも娘たちが仲直りしなければ家族旅行も何もあったものじゃないので、どう考えても「娘たちの仲直り」が最優先事項であることは間違いない。
その「娘たちの仲直り」の中に何故か俺がいる。仮に仲直りさせることに成功し、無事鳥居家の家族旅行が実現したところで、その家族旅行には付いて行かない俺が、である。
さらにやっかいなのは、凪沙ちゃんも凪沙ちゃんのお姉ちゃんも、一週間後に顔を合わせることを互いに知らないことだ。
実は、凪沙ちゃんと凪沙ちゃんのお姉ちゃんは、一週間後に家族旅行の話し合いが行われることを知らされていない。
なぜなら、もしも事前にそれを話したら、顔を合わせてるのが嫌と理由で、片方あるいは両方が話し合いにすら参加しない可能性があるからである。
つまり、話し合い当日まで二人は何も知らされないまま顔を合わせることになるのだ。絶対修羅場になるだろこれ……。
そうだ。こういう時は、あえて晴人くんに相談してみよう。二人の弟だからこそ、なにか違う視点でアイデアを出してくれるかもしれない。
凪沙ちゃんが不在で、晴人くんが極力暇そうにしてる時を見計らい、呼び出してみる。来てくれるか……。
「なんだよ神山さん。金なら貸さねえぞ」
相変わらずこの坊主は。たしかに金欠だけどさ。
「さすがに30以上も離れた人から金を借りるほど落ちぶれてはいないよ。天界からは落ちてきているけ……ゴホンゴホン。忙しいのにごめんね。実は凪沙ちゃんのことについて相談があるんだ」
「姉ちゃん彼氏いないけど、神山さんじゃ無理だと思うぞ」
まだ神だったらぶん殴ってるぞまじで。
「違う違う!そんなんじゃないんだ。実は……」
晴人くんに一連の流れを話した。大部分は知っていたようなので話は早かった。
「姉ちゃんあの時、信じられないくらい怒ってたなぁ。あの二人あんまり喧嘩しないから珍しいなとは思ったよ。よほどのことがあったんだろうな」
「そうなんだね。俺に仲直りさせられるものなのかな?」
「難しいんじゃない? そもそも、なんで鳥居家の事情にも家族旅行にも関係のない神山さんが仲裁に入るのさ? 神山さんだって、誰かと喧嘩してる時に知らない人が仲裁に入ってきたら、仲直りするどころか意味分からないだろ?」
ド正論を言われてしまった。ここで正論はキツイな。
「僕がここで働き出したことは、お母さんが少しだけ話しているみたい。だから凪沙ちゃんのお姉ちゃんも僕のこと全く知らないわけではなさそうなんだけど、たしかにほぼ初対面で喧嘩の仲裁は意味が分からないよね……」
「じゃあさ、一回会ってみる?俺も間に入るからさ」
「え、いいの?」
晴人くんが俺にここまで優しくしてくれるのは初めてだ。あの時距離を縮めてて良かった! これはもう完全に晴人くんとの溝は無くなったのでは……?
「家族旅行行きたいしね。それが実現するかどうかは神山にかかってるから。失敗したら許さねえからな」
自分が思っていたよりもずっと、晴人くんとの溝は深かった。
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