人狼と女子高生

くま

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27.食事

「はい。」
 と、差し出される料理に迷うことなくパクつくと、はっと我に返った。
 いやいや、なんであたし食べさせてもらってるの?

 納得いかない状況で部屋に戻ると、食事が2人分準備されていて、当然の様に聖羅と2人で食べる事になってしまってる。
 いや、一応抵抗はした。
 わざとらしいのは承知で「と私の食事、準備してくれたんですね。ありがとうございます。」と水木にお礼を言うと、その水木に裏切られた、「いえ、代木様と聖羅さんの夕食です。」と。
 目で嫌だと訴えるのも虚しく、水木は部屋を出ていってしまうが、2人きりにされてなるものかと追おうとした。
 それが叶うことはなく、幸は聖羅に拘束され、追うことは出来なかったけど。
 しかし、ここから不可解な聖羅の行動に悩まされることになる。

 当然の様に真横に座り、"あ~ん"をし始めた。恋人同士がするあの"あ~ん"だ。
 これがまた悪かった。
 普段から食べさせてもらう事(主に店長)に慣れてる幸はなんの疑問も抱かず条件反射でパクッといってしまった。
 !?なんでこんな事になってるの!?と、すぐに我に返ったが口の中に入ったものを吐き出すなんて事はしない。
 おとなしく咀嚼していると、次の料理が差し出された。
 いやいや、一口食べちゃったけどこれ以上はさすがにしてもらうわけにはいかない。
 簡単に手の届く所にいるから食べさせたくなるのかもしれない。離れれば大丈夫だろう。

 まだ食べてます感を出しながら、座っていた場所からずれる。
 すると聖羅はズレた分だけ近付いてくる。
 もう一度ズレても近付いてくる。
「「……………。」」
 見つめあう事数秒。
 ”!”
 幸は立ち上がると素早く聖羅の正面に回って箸をとるとおかずを聖羅の方に差し出した。
 変化は劇的だった。
 ぱぁという効果音が付いたかと思うほどの笑顔に変わった。
 いや、もともとにこにこはしていたんだけど、本当にうれしいことがあった時の様な無邪気な笑顔になったというか。
 それはさておき、近寄らせない様にするために取った行動の効果はあった。
 聖羅はその後は距離を詰める事はなくなった。
 詰める事はなくなったが……。
 夕飯が食べ終わるまで、食べさせあいは終わらず、テーブルをはさんで正面に座ったことで腰を浮かした無理な体勢でそれを行った事で、幸の腰は夕食が終わるころに……死んだ。

「失礼します…どうされたんです?」
 水木が大広間への移動を伝えるために戸を開けると、腰痛で唸っている幸の腰を聖羅がさするという食事だけなら陥らない事態に一瞬下世話な事が頭をかすめたが、聖羅の微笑みにこれ以上は突っ込んではいけないと察知した。
「……社長が大広間に集まるようにとのことです。」
「わかった、すぐに行くよ。」
 幸が涙目でこちらを見ていたが、水木はそれに気が付かないふりをしてそっと戸を閉めた。
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