TS転生悪役令嬢ですが、フラグを壊しすぎて別のフラグが立ってしまいました

於田縫紀

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第3章 予定外? な夏休み

第33話 事件の説明

 銘柄肉オークのカツ丼は美味しかった。お風呂は完成まであと僅か。そしてリリアはやっぱり可愛い。

 そんな訳で翌日。まずは冒険者ギルド兼ミセン迷宮ダンジョンの受付へ。すぐに2階の会議室へと案内される。以前借りたのと同じ部屋だ。
 案内してくれたのは調査隊長兼副ギルド長のワレンティーナさん。
 普通の人なら20代前半程度の外見だけれども、明らかにエルフなので実年齢は不明。

 エルフはこの国でも冒険者ギルド、商業ギルド等では時折見かける。獣人と違い特に差別等される事もない。
 なお美形で長寿命というところはいわゆるファンタジーな世界のお約束。胸はあまり無いが一晩お願いしたい感じだ。経験豊かなお姉さんにあれこれされたいというのはやはり(一部の)異世界愛好家の夢だろう。
 そんな本音はとりあえず隠した状態で、彼女から昨日の調査結果を聞く。

「結論から言いますと、昨日の事案は人為的かつ作為的なものです。おそらくはそちらのパーティを狙った犯行だと思われます」

 予想通りの結論を言われてしまった。

「それでどのような方法を使ったのでしょうか。犯人は特定できたのでしょうか」

「それではまず方法から御説明致しましょう。階層主の部屋、いわゆるボス部屋は中に冒険者が入り扉が閉まる事で起動して階層主を魔素から生成します。通常は階層主の部屋に蓄積される魔素は毎回同質かつ同量ですので同じ魔物が同じ数、生成される事になります。ここまでは宜しいでしょうか」

「ええ」

 その辺は書物で読んで知っている。
 なお魔素から魔物を生成する事は通常の魔法では不可能で、その辺は迷宮ダンジョン独特の性質があるらしい。
 でもまあそんな余談は置いておいて。

「魔力探知を極限まで微細なものまで反応するようにして調べた結果、階層主の部屋の奥に大量の魔石を蔵置した痕跡を確認しました。おそらくこのせいで生成の際に普段以上の魔素が供給された結果、コボルトリーダーではなくコボルトマスター、それも5頭が生成されたものと思われます。なお既に魔石から魔素は放出済で、目に見える痕跡は残っていません。今後についても影響は無いものと判断されます」
 
 なるほど。でもそれならばだ。

「私達のパーティを狙うなら、より多くの魔石を使用してより強大な魔物を生成するようにした方が良かったのではないでしょうか?」

 ワレンティーナさんは頷いた。

「ええ。本来は犯人もそのつもりだったでしょう。犯人は一昨日の午前中に魔石を蔵置しています。その日の午後に第5階層主の部屋を攻略した場合、おそらく地竜アースドラゴンクラスの魔物が生成される事になったと思われます。ですが実際に攻略されたのが昨日午前中でした。その間に蔵置した魔石から魔素が流出して、結果コボルトマスター5頭という事になったものと推測されます」

「本来は一昨日の午後に攻略する予定でした。予定が変わったのが幸いしたという訳ですね」

 流石に地竜アースドラゴンクラスでは、私達に勝ち目はない。瞬殺とは行かないにせよ、10半時間12分程度で全滅しただろう。
 この世界に生き返る魔法は無い。だからおそらく……

「ええ。この季節、この辺の冒険者はこの迷宮ダンジョンではなく、グンゼンの迷宮ダンジョンを主に攻略しています。競技会もありますし、出現するアイテムもこちらより豊富です。ですからこのミセン迷宮ダンジョン、その特に浅い階層を攻略する冒険者はほとんどいません。ですから第5階層の階層主の部屋に仕掛けておけばそちらのパーティを倒せると判断したのでしょう」

 状況は理解した。では次だ。

「蔵置時間がわかったという事は、犯人も判明したという事でしょうか?」

 私が聞くより先にリリアが尋ねる。

「ええ。先程申しましたようにこの時期にこの迷宮ダンジョンを攻略する冒険者は多くありません。その中から該当時間に迷宮ダンジョン内へ入った冒険者となると絞られます。
 迷宮ダンジョン規模維持の為に定期的に中に入っている地元の冒険者パーティを除けば、該当するパーティは1組しかありませんでした。現在、ギルド手配して行方を追っています。おそらく数日中には確保される事でしょう。
 ですがこのパーティは他にも活動歴があるパーティです。若干素行に問題がみられもしますが、暗殺等の活動を直接請け負う程のパーティではありません。
 おそらくこのパーティは依頼されただけでしょう。単に階層主の部屋に魔石の入った箱を置くように。この件については本日中にギルド本部を通じて衛視庁にも被害届を提出する予定ですが、真犯人へとたどり着けるかは不明です」

 なるほど。おそらくその通りだろう。この事件を企んだ張本人は判明しない。多分きっと。
 ならそれなりに対策を考える必要がある。
 その為に、とりあえずの確認だ。

「この迷宮ダンジョン内に、他に何か仕掛けられている可能性はありますでしょうか」
 
 ワレンティーナさんは首を横に振った。

「昨日第1階層から第20階層の階層主部屋までを踏破し、無い事を確認しました。ですのでおそらくこの迷宮ダンジョンには他にそういった仕掛けは無いと思われます」

 今の処はこの迷宮ダンジョンは安全という訳か。
 無論暗殺者とかが入れば別だろうが、その辺は管理側でも注意するだろう。
 こういった事案があったばかりだし、元々迷宮ダンジョン内で他の冒険者を襲撃した際には出る際にわかるようになっているらしいし。

「わかりました。調査結果の説明、ありがとうございます」

「いえ、こちらの管理下であるミセン迷宮ダンジョン内での事案ですから。それで本日はどうされますか」

「とりあえず第5階層終わりの地点まで転送陣で飛んで、第6階層から第8階層付近でレベル上げをしようと思います」

 つまり中断した迷宮ダンジョン攻略を再開するという事だ。
 この方針は、全員と話し合って事前に決めている。

「わかりました。こちらでも当分の間、受付時等に注意しますが、お気をつけて」

「ありがとうございました」

 礼を言って部屋を出る。
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