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第5章 魔法大会と発情期
第52話 御前試合の予選前
今日から3日間は魔法大会。
中のおっさん的には、人混みや騒がしいのは苦手。なのだがこれも授業の一環である以上、出ないわけにはいかない。
それに1日目、開会式の直後から御前試合の予選が始まる。
リリアとナタリアを出す以上、私も無視するわけにはいかない。
開会式が終わると同時に、いつもの皆さんと合流。
殿下が混じっているのは残念ながら仕方ない。どうも私以外は本人含めて同じパーティと見なしているようだ。
私としては大変不本意だが異を唱える訳にもいかない。階級差は絶対だから。
「こうなると緊張しますわ。出場者も上級生ばかりですから」
若干震えているリリアの手を軽く握る。
「心配いりませんわ。エルダーオークと闘った経験があるような生徒は。他にこの学園にはいないと思いますから」
「エルダーオークなら倒していいけれど、生徒だと倒したらまずいよね」
こらリュネット、洒落にならない事を言うな。
「敵を倒さない程度の攻撃魔法を練習したから大丈夫です」
ナタリアにはにゃんこ大戦争の他にも、101匹わんちゃん大行進とぷよぷよをおぼえてもらった。だから問題無い。
でもこういった非致死性魔法、実は案外と使い勝手がいいかもしれない。少なくとも対人戦の時には。
なお作った私は全ての魔法を使える。にゃんこ大戦争も101匹わんちゃん大行進もぷよぷよも。
正式名はそれぞれ猛獣追牙、群狼猛襲、粘怪魔集だけれども。
「でも油断はしない方がいいだろう。専任の家庭教師をつけて訓練しているパーティも結構いるようだ。中には元宮廷魔導士を雇って魔法を練習しているパーティもあると聞いた」
「マリアンネ様のところですわね」
マリアンネ・レラ・イルツァーレ。2年生でイルツァーレ侯爵の御令嬢だ。
あそこもうちと同じくらい権力を持っていて、同じくらい真っ黒な御家柄。
しかしマリアンネ自身は大貴族らしい厭らしさこそあるものの、真っすぐでくそ真面目な努力家だ。
なおかつ今の私と違い、家の先兵として頑張っている。
以前、学年が違うのにエンリコ殿下目当てでうちの教室に毎日来ていた時期があったほどだ。
夏くらいまではお茶会のお誘いが毎週来ると、殿下がこぼしていた。
ちなみにゲームでのマリアンネ様初登場は1年目の秋。出会う場所は第2魔法演習場。
魔法大会に向けて練習後のリュネットとナージャに『その程度の魔法では私どころかアンフィ―サ様にも勝てませんわよ』と告げるシーンだ。
しかしまあその辺は、今は重要ではないから別の話として。
「学年が上でも、今のリリアの魔力を越える方はまずいないと感じますわ。ですからよほどの事をしない限り、六聖獣絶対防護魔法を破れるとは思いません。魔法で作ったものではない巨大な氷や岩を落とすような魔法の場合は防げませんが、その場合は不滅都市障壁魔法で対処できるでしょう。双方を起動した状態でもリリアなら1時間程度は持つ筈ですわ」
可愛いリリアを出すのだ。だから対策は徹底した。その分リリアとナタリアには頑張っておぼえてもらった。
これらの魔法を使えれば、相手が魔物だろうと悪意のある人間だろうとまず安全な筈。
「アンなら私以上に魔力もある筈ですのに」
リリア、それは言わないでくれ。
「私は目立ち過ぎましたわ。それにせっかくの機会ですから、リリアがこれだけ出来るという事を皆様に見て頂きたいのです」
どっちも本音だ。
「戻ってくれば体力も魔力も回復させるからね。思い切りやって大丈夫だよ」
これはリュネットのおかげだ。
他の組は高くてまずい魔力ポーション等を用意しているのだけれど。
なおこの学園の生徒でこの御前試合に出るような生徒は、ポーション位気にせず買って使えるだろう。
だからこそ世間知らずや甘ちゃんが大勢いるわけだけれども。
そういう学園なのだ、ここは。
さて、今回の出場は全部で20組。本選は8組からなので予選で12組を落とすわけだ。
うち3年生の9組と2年生のうち3組は、予選で1回勝てば決勝へ。
2年生の残り7組と1年生のうちの組は、予選で2回勝たないと決勝へ進めない。
この辺の選考区分とか年功序列とか色々考えたくなる。
それでも実力的には、リリアとナタリアは余裕で勝てるだろう。
なお舞台となる第1演習場は全体に防護魔法をかけた上、審判を兼ねる教官5人が囲んでいる状態だ。
だから部外からの邪魔は考えなくていいだろう。
教官全員を買収したりしていれば別だけれども。
「それでは僕は貴賓席の方へ行っている。本当はこっちにいたいんだけれど」
「それは仕方ないですわ」
予選での主賓は皇太子殿下と第二王子殿下。つまりエンリコ君は向こう側へ行かなければならない。
これで邪魔者が……と思っても、口に出してはいけない。
たとえそれが本心であってもだ。
観客と参加者と全員整列して、皇太子殿下からのお言葉を頂いた上で試合開始。
第一演習場は広くて平らな長方形のグラウンド。
その外側6箇所に、攻撃魔法を外部に飛ばさない為の結界柱が立っている。
更にその外側長辺方向に観客席や貴賓席、出場チーム用のベンチがあるという造りだ。
「第4試合だからもうベンチ入りだね」
「中で他の試合を見ていましょう」
リリアやナタリアと一緒に私、ナージャ、リュネットも8番のベンチへ入る。
ちなみに今日は予選の為、ベンチスペースが細かく区切ってある。この区切りは動くので、クラス対抗のチーム戦形式でやる時等は大きいスペースにすることも可能だ。
まずはベンチに入ってすぐ、情報秘匿魔法を起動。これで内部で何を話しても問題ない。
なにせ無詠唱だの手順込み魔法だの使っているのだ。
これくらいの対処は必要だろう。
さて最初の試合は2年生どうし。すぐにお互い長い呪文の詠唱からはじまる。
「実際に魔物が出た時には、とても間に合わないよね、あんな呪文を唱えたりしたら」
「そうですわね。でも前に剣士なり騎士がいて時間を稼いでもらえるかもしれません。そういう意味では無駄というほどはないでしょう」
「でもまどろっこしくてみていられないにゃ」
ナージャのいうことはよくわかる。他ならぬ私もそう感じているから。
「呪文を唱えるにしても余分な修飾が多過ぎますわ。イメージを強く念じればそれだけですみますのに」
「無詠唱は効果が低い。呪文は口に出してこそ効果を発揮する。そういう間違った考えがまだ根深く残っているようですから」
「バルビット教官あたりが言いそうなのにゃ」
「実際に言っていますわ」
かなり辛辣な事を言いながら、私達は試合を観戦。
お互い長い長い呪文を唱えた結果は、連射型小火球魔法の打ち合いとなった。
しかしどっちも防護魔法がそれほど得意では無かったようで、双方直撃しそうになった時点で教官が介入。
出した火球が多い方のチームが勝ちあがった。
観戦しているこちら側としては、逆に少し冷静になってしまう状態だ。
「これでもクラスの中では、攻撃魔法が得意な方なのでしょうね」
「だにゃ。確かに私もここに来た頃はそんなもんだったにゃ」
「それに気づいたのも、アンに迷宮に連れて行って貰ったおかげです」
私の名を余分なところで出すんじゃない。
あくまで今回はリリアとナタリアの魔法披露なのだから。
「この程度の相手ばかりなら楽勝なのにゃ」
「それでも注意はしておきましょう。万が一の事もありますから」
「でもリリアの六聖獣絶対防護魔法は、エンリコ殿下の真・神雷球破も無効化出来るにゃ。まさかあれ以上の攻撃魔法はそうそう無いと思うのだにゃ」
真・神雷球破は、エンリコ殿下が現時点で使える最強の攻撃魔法。リリアの永久極寒風雪波と同等の超級だ。
私ですら超級攻撃魔法は使えない。器用貧乏の貧乏部分が邪魔をしているのだ、きっと。
そんなとんでもない攻撃魔法であっても、六聖獣絶対防護魔法は無効化可能だった。
勿論直撃しないように方向を変えて実験した。
この結果リリアは自分の魔法に自信がついたし、殿下は逆にちょっと落ち込んだ。
『王家に伝わる最強の攻撃呪文が……』だそうである。
だから相手が攻撃魔法で攻めてくる限り問題はない。
そしてこの御前試合は基本的に魔法大会の一環で、魔法での戦闘を行うもの。
だから大丈夫な筈だ。
中のおっさん的には、人混みや騒がしいのは苦手。なのだがこれも授業の一環である以上、出ないわけにはいかない。
それに1日目、開会式の直後から御前試合の予選が始まる。
リリアとナタリアを出す以上、私も無視するわけにはいかない。
開会式が終わると同時に、いつもの皆さんと合流。
殿下が混じっているのは残念ながら仕方ない。どうも私以外は本人含めて同じパーティと見なしているようだ。
私としては大変不本意だが異を唱える訳にもいかない。階級差は絶対だから。
「こうなると緊張しますわ。出場者も上級生ばかりですから」
若干震えているリリアの手を軽く握る。
「心配いりませんわ。エルダーオークと闘った経験があるような生徒は。他にこの学園にはいないと思いますから」
「エルダーオークなら倒していいけれど、生徒だと倒したらまずいよね」
こらリュネット、洒落にならない事を言うな。
「敵を倒さない程度の攻撃魔法を練習したから大丈夫です」
ナタリアにはにゃんこ大戦争の他にも、101匹わんちゃん大行進とぷよぷよをおぼえてもらった。だから問題無い。
でもこういった非致死性魔法、実は案外と使い勝手がいいかもしれない。少なくとも対人戦の時には。
なお作った私は全ての魔法を使える。にゃんこ大戦争も101匹わんちゃん大行進もぷよぷよも。
正式名はそれぞれ猛獣追牙、群狼猛襲、粘怪魔集だけれども。
「でも油断はしない方がいいだろう。専任の家庭教師をつけて訓練しているパーティも結構いるようだ。中には元宮廷魔導士を雇って魔法を練習しているパーティもあると聞いた」
「マリアンネ様のところですわね」
マリアンネ・レラ・イルツァーレ。2年生でイルツァーレ侯爵の御令嬢だ。
あそこもうちと同じくらい権力を持っていて、同じくらい真っ黒な御家柄。
しかしマリアンネ自身は大貴族らしい厭らしさこそあるものの、真っすぐでくそ真面目な努力家だ。
なおかつ今の私と違い、家の先兵として頑張っている。
以前、学年が違うのにエンリコ殿下目当てでうちの教室に毎日来ていた時期があったほどだ。
夏くらいまではお茶会のお誘いが毎週来ると、殿下がこぼしていた。
ちなみにゲームでのマリアンネ様初登場は1年目の秋。出会う場所は第2魔法演習場。
魔法大会に向けて練習後のリュネットとナージャに『その程度の魔法では私どころかアンフィ―サ様にも勝てませんわよ』と告げるシーンだ。
しかしまあその辺は、今は重要ではないから別の話として。
「学年が上でも、今のリリアの魔力を越える方はまずいないと感じますわ。ですからよほどの事をしない限り、六聖獣絶対防護魔法を破れるとは思いません。魔法で作ったものではない巨大な氷や岩を落とすような魔法の場合は防げませんが、その場合は不滅都市障壁魔法で対処できるでしょう。双方を起動した状態でもリリアなら1時間程度は持つ筈ですわ」
可愛いリリアを出すのだ。だから対策は徹底した。その分リリアとナタリアには頑張っておぼえてもらった。
これらの魔法を使えれば、相手が魔物だろうと悪意のある人間だろうとまず安全な筈。
「アンなら私以上に魔力もある筈ですのに」
リリア、それは言わないでくれ。
「私は目立ち過ぎましたわ。それにせっかくの機会ですから、リリアがこれだけ出来るという事を皆様に見て頂きたいのです」
どっちも本音だ。
「戻ってくれば体力も魔力も回復させるからね。思い切りやって大丈夫だよ」
これはリュネットのおかげだ。
他の組は高くてまずい魔力ポーション等を用意しているのだけれど。
なおこの学園の生徒でこの御前試合に出るような生徒は、ポーション位気にせず買って使えるだろう。
だからこそ世間知らずや甘ちゃんが大勢いるわけだけれども。
そういう学園なのだ、ここは。
さて、今回の出場は全部で20組。本選は8組からなので予選で12組を落とすわけだ。
うち3年生の9組と2年生のうち3組は、予選で1回勝てば決勝へ。
2年生の残り7組と1年生のうちの組は、予選で2回勝たないと決勝へ進めない。
この辺の選考区分とか年功序列とか色々考えたくなる。
それでも実力的には、リリアとナタリアは余裕で勝てるだろう。
なお舞台となる第1演習場は全体に防護魔法をかけた上、審判を兼ねる教官5人が囲んでいる状態だ。
だから部外からの邪魔は考えなくていいだろう。
教官全員を買収したりしていれば別だけれども。
「それでは僕は貴賓席の方へ行っている。本当はこっちにいたいんだけれど」
「それは仕方ないですわ」
予選での主賓は皇太子殿下と第二王子殿下。つまりエンリコ君は向こう側へ行かなければならない。
これで邪魔者が……と思っても、口に出してはいけない。
たとえそれが本心であってもだ。
観客と参加者と全員整列して、皇太子殿下からのお言葉を頂いた上で試合開始。
第一演習場は広くて平らな長方形のグラウンド。
その外側6箇所に、攻撃魔法を外部に飛ばさない為の結界柱が立っている。
更にその外側長辺方向に観客席や貴賓席、出場チーム用のベンチがあるという造りだ。
「第4試合だからもうベンチ入りだね」
「中で他の試合を見ていましょう」
リリアやナタリアと一緒に私、ナージャ、リュネットも8番のベンチへ入る。
ちなみに今日は予選の為、ベンチスペースが細かく区切ってある。この区切りは動くので、クラス対抗のチーム戦形式でやる時等は大きいスペースにすることも可能だ。
まずはベンチに入ってすぐ、情報秘匿魔法を起動。これで内部で何を話しても問題ない。
なにせ無詠唱だの手順込み魔法だの使っているのだ。
これくらいの対処は必要だろう。
さて最初の試合は2年生どうし。すぐにお互い長い呪文の詠唱からはじまる。
「実際に魔物が出た時には、とても間に合わないよね、あんな呪文を唱えたりしたら」
「そうですわね。でも前に剣士なり騎士がいて時間を稼いでもらえるかもしれません。そういう意味では無駄というほどはないでしょう」
「でもまどろっこしくてみていられないにゃ」
ナージャのいうことはよくわかる。他ならぬ私もそう感じているから。
「呪文を唱えるにしても余分な修飾が多過ぎますわ。イメージを強く念じればそれだけですみますのに」
「無詠唱は効果が低い。呪文は口に出してこそ効果を発揮する。そういう間違った考えがまだ根深く残っているようですから」
「バルビット教官あたりが言いそうなのにゃ」
「実際に言っていますわ」
かなり辛辣な事を言いながら、私達は試合を観戦。
お互い長い長い呪文を唱えた結果は、連射型小火球魔法の打ち合いとなった。
しかしどっちも防護魔法がそれほど得意では無かったようで、双方直撃しそうになった時点で教官が介入。
出した火球が多い方のチームが勝ちあがった。
観戦しているこちら側としては、逆に少し冷静になってしまう状態だ。
「これでもクラスの中では、攻撃魔法が得意な方なのでしょうね」
「だにゃ。確かに私もここに来た頃はそんなもんだったにゃ」
「それに気づいたのも、アンに迷宮に連れて行って貰ったおかげです」
私の名を余分なところで出すんじゃない。
あくまで今回はリリアとナタリアの魔法披露なのだから。
「この程度の相手ばかりなら楽勝なのにゃ」
「それでも注意はしておきましょう。万が一の事もありますから」
「でもリリアの六聖獣絶対防護魔法は、エンリコ殿下の真・神雷球破も無効化出来るにゃ。まさかあれ以上の攻撃魔法はそうそう無いと思うのだにゃ」
真・神雷球破は、エンリコ殿下が現時点で使える最強の攻撃魔法。リリアの永久極寒風雪波と同等の超級だ。
私ですら超級攻撃魔法は使えない。器用貧乏の貧乏部分が邪魔をしているのだ、きっと。
そんなとんでもない攻撃魔法であっても、六聖獣絶対防護魔法は無効化可能だった。
勿論直撃しないように方向を変えて実験した。
この結果リリアは自分の魔法に自信がついたし、殿下は逆にちょっと落ち込んだ。
『王家に伝わる最強の攻撃呪文が……』だそうである。
だから相手が攻撃魔法で攻めてくる限り問題はない。
そしてこの御前試合は基本的に魔法大会の一環で、魔法での戦闘を行うもの。
だから大丈夫な筈だ。
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