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エピローグ? 疫病神は見逃さない
第91話 指名依頼即解決
簡素な応接室風の部屋には中年の男が待っていた。
「話を聞いて頂きありがとうございます。私はヒルモント南本部の冒険者ギルド長を務めていますイヌトリサールと申します」
お約束でこちらも自己紹介をさせていただく。
なお名前と魔法使いという事だけで、元実家の話とか出てきた事情とかは当然オミットだ。
どうぞお座りくださいというので妙に座り心地のいいソファーに座り、ギルド長の話を聞く。
「実はつい先ほど隣国であるアルヴェッタ教国で何か異変があったようなのです。魔性と呼ばれる怪物が複数出現し、その関係で当ギルドからも半数近くが応援に向かって下ります」
魔性は奴だけじゃなかったのか。
マリと思わず視線があってしまう。
どうやらマリも同じ事を考えていたようだ。
「それで今、当ギルドをはじめとしてヒルマウント全体、いやキルビ国全体で冒険者の数が不足しています。ここ数日は定期依頼だけでもやっとという状態です」
定期依頼が出来るならいいじゃないかとは思わない。
つまり突発で何か起きた場合は対処できないという事だからだ。
そしてギルド長の表情や今までの経緯を見るに、どうも突発で何かあったようだ。
それは何なのだろう。
「ですが魔性がヒルマウントにも出現してしまいました。しかも街の中になります。現在衛士や冒険者で囲んで犠牲者を出さないようにしている状態です。ですが今は当ギルドのA級冒険者は全員アルヴェッタ国へ入っており、B級冒険者すら数人程度しかいないのが現状です」
その程度で囲んで何とかなっているのか。
ならあの元枢機卿だった魔性より数段弱いのだろうか。
センガンジー山での状態と同じなら、その程度の包囲網は魔物の数に任せて突破してしまうだろうから。
ならば状況をもう少し詳しく聞いてみよう。
「今までの概要や現在の状況、包囲網の配置及び人数等、ここでわかる範囲でいいので教えていただけますでしょうか」
「勿論です。現状はこのような形になります」
最初から説明するつもりだったようだ。さっと図が出てきた。
「現場は王城にも近いリンハラにあるイルースタ中央教会キルビ本部教会です。ここの大聖堂に魔性がいます。
第一報は昨日午前10時過ぎ、中央教会大聖堂に魔物が発生し……」
説明を大雑把にまとめるとこんな感じだ。
① 発生したのは昨日午前10時頃で
② 大聖堂に魔物を出現させる大型の魔物がいるとの証言があり
③ 騎士団が魔道部隊を伴って出動し敵を魔性と確認。
攻撃魔法が通じず接近戦も内部の狭さにより困難で撤退。
④ 現在も魔物が間欠的に教会外へ出てくる状態が継続。
概ね1時間にオーク2匹、ゴブリン十数匹程度。
⑤ ④の魔物は周囲を警戒する衛士と冒険者でその都度倒している。
⑥ 現在は⑤でこれ以上攻める方策も無いという状態
なるほど。魔性という種族特性は同じだけれど、私達が戦ったものよりは大分弱いようだ。
マリの方を見る。彼女は頷いた。
よし、ならばだ。
「案内して頂けますでしょうか。私達はこの街は来たばかりでよく知らないので」
「私が案内致します」
ギルド長自ら案内してくれるようだ。
「あと依頼としてはどの程度になるでしょうか」
おっとそれを確認するのを忘れていた。
マリがいてくれて助かった。
「受けて頂けるなら指名依頼のA級討伐で、正金貨10枚となります。また場所が場所ですし近衛騎士団が撤退したという事もありますので、国の方でも報奨金を正金貨10枚をかけております。これはこちらで手続きさせていただきます」
よしよし。これを確保できれば当分遊んで暮らせる。
「依頼を正式に受けるのは一度現場で敵の強さを確認してからで宜しいでしょうか」
マリは私よりも冷静だ。
マリアンネ様ってこんなキャラだっただろうか。
それもとアニー様がいないから、今は意識してそういう役をやっているのだろうか。
いずれにせよありがたい。
「勿論それで結構です。それではすぐご案内致しましょう。ここから歩いて5半時間もかからない場所ですから」
ギルド長は立ち上がった。
◇◇◇
『どうでしょうか、アン?』
中央教会前。
魔物対策で周囲を囲んでいる衛士や冒険者の輪から内側に入ってすぐのところでマリが私に尋ねる。
もちろん音声ではなく伝達魔法でだ。
『あの魔性と比べると雑魚ですわ。2人でも問題ありません。中へ入ったらマリの魔法で雑魚敵を一掃して下さい。あとは私が防御魔法をかけながら攻撃をかけますから』
『ならこの場で片付けてしまいましょうか』
『その方が楽ですわね』
相談はまとまった。私達はギルド長の方を向き直る。
「依頼を受けさせていただきますわ」
おっと、明らかにギルド長の表情が変わった。
「おお、やっていただけますか。それではどのような準備をすれば宜しいでしょうか。補助のパーティ等は現状で出来る限り協力させていただきます」
「2人で大丈夫ですわ」
「えっ……」
ギルド長が固まった。
それほどまでにこの魔性からプレッシャーを受けていたようだ。
ならばさっさと解決してやるとしよう。
「それでは依頼の件と報償の手続き、宜しくお願い致しますわね」
そう言ってマリと私は歩き出す。どよめく周囲。
ふふふ、こんな程度の敵で動けなくなるなんて君達甘いな。
そんな事を思いながら私は常時展開自動防御魔法に魔力をいつでも注げるようにしておく。
私の魔力というかMPは、この前の戦いでかなり上がった。
最大MPはなんと1352、今は遠隔移動魔法で減っているけれど、それでも965は残っている。
一方敵である魔性は僅か395。DEFはたった98しかない。
もちろん人間に比べれば無茶苦茶高いけれど、あの魔性の3割以下だ。
これでは10式は必要ないだろう。
ブッシュマスターで充分だ。一応魔銃も用意しておこう。
あと最後のとどめの呪文も必要かな。
これはあの時のリュネットの呪文を簡略化したものを使えばいいか。
目の前の大聖堂の扉は壊れている。
「入る前に雑魚を片付けましょう。星の屑」
マリの台詞から一泊遅れて、大聖堂の中から連続的に轟音が響いてきた。
多数あった魔物の反応がどんどん消え、たった1つになる。
こういう一対多に有効な魔法は、私には使えない。非常に羨ましい。
一応マリの魔法を参考に、呪文分解と手順込み魔法で考えてはいる。
しかし魔力の効率が悪すぎて、今のところ実用化には至っていない。
やはりこういった魔法は血族遺伝のなせるチート、そうそう真似できない様だ。
「では中に入りますわ」
私が先頭になって入る。
いきなり攻撃魔法が襲ってきた。
しかし問題無い。この程度の魔法、常時展開自動防御魔法にMPを100も与えてやれば無効化出来る。
「失礼致しますわ」
わざとらしく挨拶。
探すまでも無かった。敵は大聖堂の祭壇前にいた。
私が前に戦った魔性よりかなり小さい。人間より一回り大きい程度だ。
「戦う前に貴方の言い分を聞いて差し上げましょう。何故にそのような姿形になったのでしょうか」
「神ノ断罪モノリコエ永遠ノ命ヲ得タ我ガ偉大サヲ理解セヌ者ヨ。死スガヨイ」
魔性はマリの台詞にそう応える。
同時にオーク2匹とゴブリン10匹が出現した。
どうやら更正の見込みは無い模様。なら心置きなく倒させていただこう。
「ブッシュマスター! 魔銃!」
私は2種類の魔砲少女ユニットを呼び出し、無詠唱でぶっ放す。
あっさり奴に穴があいた。
背後にあった礼拝堂の壁にも穴があいたけれど、これは無視しよう。
さて、魔力だけが残ったところでとどめだ。
「ラ・ヨーダ・スタセッラ!」
リュネットが使った『ラ・ヨダソウ・スティアーナ』を私が使えるようにした呪文だ。
効果は半分程度だけれど、この魔性なら充分だ。
案の定残った魔力も消え失せ、完全に無となる。
「終わりましたね」
何か随分簡単だった気がするのは、あの魔性と比べているからだろう。
実際はこれでも充分に凶悪な敵だ。
ただ私達は倒し方を知っていて、有効な攻撃方法を持っていた。
それだけだ。
「それでは魔石を拾って帰りましょうか」
「そうですね」
マリの台詞に私は頷く。
「話を聞いて頂きありがとうございます。私はヒルモント南本部の冒険者ギルド長を務めていますイヌトリサールと申します」
お約束でこちらも自己紹介をさせていただく。
なお名前と魔法使いという事だけで、元実家の話とか出てきた事情とかは当然オミットだ。
どうぞお座りくださいというので妙に座り心地のいいソファーに座り、ギルド長の話を聞く。
「実はつい先ほど隣国であるアルヴェッタ教国で何か異変があったようなのです。魔性と呼ばれる怪物が複数出現し、その関係で当ギルドからも半数近くが応援に向かって下ります」
魔性は奴だけじゃなかったのか。
マリと思わず視線があってしまう。
どうやらマリも同じ事を考えていたようだ。
「それで今、当ギルドをはじめとしてヒルマウント全体、いやキルビ国全体で冒険者の数が不足しています。ここ数日は定期依頼だけでもやっとという状態です」
定期依頼が出来るならいいじゃないかとは思わない。
つまり突発で何か起きた場合は対処できないという事だからだ。
そしてギルド長の表情や今までの経緯を見るに、どうも突発で何かあったようだ。
それは何なのだろう。
「ですが魔性がヒルマウントにも出現してしまいました。しかも街の中になります。現在衛士や冒険者で囲んで犠牲者を出さないようにしている状態です。ですが今は当ギルドのA級冒険者は全員アルヴェッタ国へ入っており、B級冒険者すら数人程度しかいないのが現状です」
その程度で囲んで何とかなっているのか。
ならあの元枢機卿だった魔性より数段弱いのだろうか。
センガンジー山での状態と同じなら、その程度の包囲網は魔物の数に任せて突破してしまうだろうから。
ならば状況をもう少し詳しく聞いてみよう。
「今までの概要や現在の状況、包囲網の配置及び人数等、ここでわかる範囲でいいので教えていただけますでしょうか」
「勿論です。現状はこのような形になります」
最初から説明するつもりだったようだ。さっと図が出てきた。
「現場は王城にも近いリンハラにあるイルースタ中央教会キルビ本部教会です。ここの大聖堂に魔性がいます。
第一報は昨日午前10時過ぎ、中央教会大聖堂に魔物が発生し……」
説明を大雑把にまとめるとこんな感じだ。
① 発生したのは昨日午前10時頃で
② 大聖堂に魔物を出現させる大型の魔物がいるとの証言があり
③ 騎士団が魔道部隊を伴って出動し敵を魔性と確認。
攻撃魔法が通じず接近戦も内部の狭さにより困難で撤退。
④ 現在も魔物が間欠的に教会外へ出てくる状態が継続。
概ね1時間にオーク2匹、ゴブリン十数匹程度。
⑤ ④の魔物は周囲を警戒する衛士と冒険者でその都度倒している。
⑥ 現在は⑤でこれ以上攻める方策も無いという状態
なるほど。魔性という種族特性は同じだけれど、私達が戦ったものよりは大分弱いようだ。
マリの方を見る。彼女は頷いた。
よし、ならばだ。
「案内して頂けますでしょうか。私達はこの街は来たばかりでよく知らないので」
「私が案内致します」
ギルド長自ら案内してくれるようだ。
「あと依頼としてはどの程度になるでしょうか」
おっとそれを確認するのを忘れていた。
マリがいてくれて助かった。
「受けて頂けるなら指名依頼のA級討伐で、正金貨10枚となります。また場所が場所ですし近衛騎士団が撤退したという事もありますので、国の方でも報奨金を正金貨10枚をかけております。これはこちらで手続きさせていただきます」
よしよし。これを確保できれば当分遊んで暮らせる。
「依頼を正式に受けるのは一度現場で敵の強さを確認してからで宜しいでしょうか」
マリは私よりも冷静だ。
マリアンネ様ってこんなキャラだっただろうか。
それもとアニー様がいないから、今は意識してそういう役をやっているのだろうか。
いずれにせよありがたい。
「勿論それで結構です。それではすぐご案内致しましょう。ここから歩いて5半時間もかからない場所ですから」
ギルド長は立ち上がった。
◇◇◇
『どうでしょうか、アン?』
中央教会前。
魔物対策で周囲を囲んでいる衛士や冒険者の輪から内側に入ってすぐのところでマリが私に尋ねる。
もちろん音声ではなく伝達魔法でだ。
『あの魔性と比べると雑魚ですわ。2人でも問題ありません。中へ入ったらマリの魔法で雑魚敵を一掃して下さい。あとは私が防御魔法をかけながら攻撃をかけますから』
『ならこの場で片付けてしまいましょうか』
『その方が楽ですわね』
相談はまとまった。私達はギルド長の方を向き直る。
「依頼を受けさせていただきますわ」
おっと、明らかにギルド長の表情が変わった。
「おお、やっていただけますか。それではどのような準備をすれば宜しいでしょうか。補助のパーティ等は現状で出来る限り協力させていただきます」
「2人で大丈夫ですわ」
「えっ……」
ギルド長が固まった。
それほどまでにこの魔性からプレッシャーを受けていたようだ。
ならばさっさと解決してやるとしよう。
「それでは依頼の件と報償の手続き、宜しくお願い致しますわね」
そう言ってマリと私は歩き出す。どよめく周囲。
ふふふ、こんな程度の敵で動けなくなるなんて君達甘いな。
そんな事を思いながら私は常時展開自動防御魔法に魔力をいつでも注げるようにしておく。
私の魔力というかMPは、この前の戦いでかなり上がった。
最大MPはなんと1352、今は遠隔移動魔法で減っているけれど、それでも965は残っている。
一方敵である魔性は僅か395。DEFはたった98しかない。
もちろん人間に比べれば無茶苦茶高いけれど、あの魔性の3割以下だ。
これでは10式は必要ないだろう。
ブッシュマスターで充分だ。一応魔銃も用意しておこう。
あと最後のとどめの呪文も必要かな。
これはあの時のリュネットの呪文を簡略化したものを使えばいいか。
目の前の大聖堂の扉は壊れている。
「入る前に雑魚を片付けましょう。星の屑」
マリの台詞から一泊遅れて、大聖堂の中から連続的に轟音が響いてきた。
多数あった魔物の反応がどんどん消え、たった1つになる。
こういう一対多に有効な魔法は、私には使えない。非常に羨ましい。
一応マリの魔法を参考に、呪文分解と手順込み魔法で考えてはいる。
しかし魔力の効率が悪すぎて、今のところ実用化には至っていない。
やはりこういった魔法は血族遺伝のなせるチート、そうそう真似できない様だ。
「では中に入りますわ」
私が先頭になって入る。
いきなり攻撃魔法が襲ってきた。
しかし問題無い。この程度の魔法、常時展開自動防御魔法にMPを100も与えてやれば無効化出来る。
「失礼致しますわ」
わざとらしく挨拶。
探すまでも無かった。敵は大聖堂の祭壇前にいた。
私が前に戦った魔性よりかなり小さい。人間より一回り大きい程度だ。
「戦う前に貴方の言い分を聞いて差し上げましょう。何故にそのような姿形になったのでしょうか」
「神ノ断罪モノリコエ永遠ノ命ヲ得タ我ガ偉大サヲ理解セヌ者ヨ。死スガヨイ」
魔性はマリの台詞にそう応える。
同時にオーク2匹とゴブリン10匹が出現した。
どうやら更正の見込みは無い模様。なら心置きなく倒させていただこう。
「ブッシュマスター! 魔銃!」
私は2種類の魔砲少女ユニットを呼び出し、無詠唱でぶっ放す。
あっさり奴に穴があいた。
背後にあった礼拝堂の壁にも穴があいたけれど、これは無視しよう。
さて、魔力だけが残ったところでとどめだ。
「ラ・ヨーダ・スタセッラ!」
リュネットが使った『ラ・ヨダソウ・スティアーナ』を私が使えるようにした呪文だ。
効果は半分程度だけれど、この魔性なら充分だ。
案の定残った魔力も消え失せ、完全に無となる。
「終わりましたね」
何か随分簡単だった気がするのは、あの魔性と比べているからだろう。
実際はこれでも充分に凶悪な敵だ。
ただ私達は倒し方を知っていて、有効な攻撃方法を持っていた。
それだけだ。
「それでは魔石を拾って帰りましょうか」
「そうですね」
マリの台詞に私は頷く。
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偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。
一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。
そう思っていたんだけど、俺、弱くない?
希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。
剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。
おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!?
俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。
※カクヨム、なろうでも掲載しています。