病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀

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第11章 冬合宿・おかわり ~冬休み合宿編・下~

第92話 これさえ無ければ美味しい夕食

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 逆転器もつけ動作も確認した。速度調整も停止も逆転も出来るし、模型としてはほぼ完成。
 あとは複式機関にするかどうかだが、自動車用なら単式がいいだろう。若干効率は劣るがコンパクトな方がいい。
 強いて言えばピストンの排気でタービンを回し発電機を繋げるべきだろう。電気が使えれば色々便利なはずだ。

 そんな事をシモンさんと相談しているところで。
「夕ご飯ですよ」
 今回はナカさんが呼びに来た。

 行ってみるとこれまたこの世界で見た事が無い料理が並んでいた。多分小麦粉等の生地で出来た何かだとは想像出来るけれど。
 一番雰囲気が近いのは肉まんや蒸かしまんじゅうだろうか。

「昔いた場所の郷土料理。作ったのは久しぶり」

「私達も手伝ったんだよ」

 ミド・リーに手伝わせるとは危険な真似をしたものだ。過去の経験からそう思ってしまうけれど、もちろん口には出さない。

「これをこの汁につけてたべる。汁は酸っぱ辛いから少しだけで試して欲しい」

「中に何か入っているのか」

「それはお楽しみですわ」

 どうやら上にいた皆で作ったようだ。
 なお他には卵スープと野菜炒めがあるだけ。つまりメインはこの白い塊という訳だ。

 中に何が入っているのかはわからないのが非常に不安だ。何せミド・リーも手伝っていると聞いているし。
 しかしだからと言ってどれを誰が作ったかなんて聞けない。見かけもほとんど同じ感じだし。
 とりあえずひとつとって、皆が食べているのと同じように褐色のタレをつけて食べてみる。
 
 食べた瞬間理解した。
 これはおやきだ。しかも野沢菜の。
 勿論世界が違うから野沢菜のおやきと全く同じ訳では無い。表面は軽く焼いてあって中の皮部分は割とふかふか。そして具にチーズなんてのも入っているし菜っ葉も軽く肉といためてある。
 でも全体的な雰囲気は間違いなく野沢菜のおやきだ。菜っ葉の味までそっくりな気がする。

「美味いな、これは」

 俺としたことが夢中で1個食べてしまった。

「良かった」

 フールイ先輩は先輩だけれども微笑むと可愛い系。それなりに整った顔立ちで美人でもあるけれどそれ以上に可愛いという感じが強い。

「以前住んでいた北西部の鉱山町でよく作られていた料理。片手で食べられてお腹がふくれる」

「美味しいよね、これ」

「確かに」

 皆さん美味しそうな食べている。

 俺も2個目に挑戦。今度は大分違う味だったが、何処か微妙に懐かしい味。
 そう、これは餃子だ。肉の他タマネギやニラのような野菜がいい感じで入っている。じんわり肉汁が出る感じがなんとも言えず美味しい。

「これも美味しいな。中身だけじゃない。外側ももちもちとパリッがいい具合だ」

「蓋をして焼きながら蒸して、最後蓋を取って表面を焼いてパリッとさせる」

 だからもちもちとパリッが両立している訳か。ただ巨大な餃子だときっと途中で飽きるのだが、この皮のおかげで気分良く食べきれるのだ。
 優しい鶏出汁味の卵スープで口をリセット。胃袋の残容量と相談して、悩んだ末に3個目に挑戦。

 今度も味が違った。ピザ風というか、チーズと塩漬け肉とトマトの味。無論美味しくない訳はない。

「これは何種類の味があるんだ?」

「基本は2種類。辛菜塩漬の野菜炒めと挽肉の香味野菜和え。今回はそれに各自のオリジナルが入っている」

 つまり今食べたピザ風は誰かのオリジナルか。

「基本のもすごく美味しかったけれど、今食べているのも美味しいぞ。チーズと塩漬け肉とトマトの奴」

「あ、それ私が作った奴」

 えっ、ミド・リーが! 途端に不安になる。何か落ちがありそうで。
 何せ今までの実績がある。この中では僕の他に知っているのはシンハ君だけだろうと思うけれど。だから油断出来ない。

「ヌクシナでミタキが平たいパンに色々乗っけた料理を作っていたよね。あれをイメージしたの」

 それなら大丈夫か。そう思いつつ最後の一口分をかじって……うっ!!!
 口の中が炎爆発ファイアーした。慌ててスープで口の中をリセットするがまだ駄目だ! 水を、水をくれ!

 コップの水をがぶ飲みし、更に日常魔法で水を出して飲んで……

「ミド・リー、何を入れたんだ!」

「何ってこの前の料理と同じよ。チーズと塩漬け肉、輪切りトマトにちょっとあの辛い調味料を入れただけで」

 水では辛さが落ちない。それでもコップ5杯ほど飲んでやっと少し脳みそがまわる。
 そうだ、カプサイシンは脂溶性だ! 水では溶けない。かと言って脂を飲むなんてのは無理だ。なら……牛乳か!
 キッチンへダッシュで駆け込み食品ストックを漁る。あった、牛乳が。コップに入れて口の中へ。やっと落ち着いた。

「どうしたの、ミタキ?」

 張本人が俺にそう尋ねる。

「辛いのが端に偏っていたぞ! 大量に!」

「スプーン1杯分しか入れなかったけれど」

 タバスコをスプーン1杯分か。しかも今回入手した唐辛子の種類のせいかかなり辛めの、豆板醤みたいな辛さに仕上がった奴を。

「充分すぎる!」

「そうかなあ」

 やはりミド・リーの料理は信用できない。俺はそう再認識してしまったのだった。
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