病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀

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第11章 冬合宿・おかわり ~冬休み合宿編・下~

第94話 合宿の終わり

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 おまけ合宿修了前日の夕刻。何とか蒸気自動車の模型が完成した。蒸気機関はもちろんハンドル、ブレーキ、サスペンション等必要な機構はほぼ組み込まれている。

 車体は3人乗り3列プラス運転席プラス助手席。助手はライトや蒸気機関の給炭操作担当だ。
 その気になれば運転席でも全部操作する事は可能ではあるけれど、どうせ皆で移動するのだからこの方がいい。

 運転席はアクセルの場所で蒸気圧調整。ブレーキペダルはブレーキの位置。左手の位置にパーキングブレーキと逆転器、給炭機をつけた。
 メーターパネルは実装していないが、実車には距離計と速度計、蒸気圧計と電圧計をつける予定だ。更に背後に牽引フックをつけ、荷車を牽引できるようにもする。

「これが出来れば水路が無い処も行けるな」

「本当の意味で自由に何処へでも行けますね」

「イーツクシマにも楽に行けるぞ」

 あの馬車で酔ってミド・リーに強制睡眠をかけられたような事はもう無い訳だ。でも今の身体なら馬車だってもうだいじょうぶかもしれない。試す気はないけれど。
 そして馬車といえば思い出す事がある。

「乗り心地はどうだろう」

 俺が思ったのとほぼ同じ事をヨーコ先輩も考えたようだ。

「空気入りタイヤとバネとダンパーで大分ましになっていると思うよ。後は走らせながら改良しよう」

 そう、今の俺達にはそういった技術がある。だからきっと問題無い。

「楽しみ」

「だね」

 そしてそのまま夕食へ。メインは鹿魔獣チデジカスネ肉の煮込み。これがめっぽう美味しい。
 肉そのものは脂が少なくさっぱり気味。これが口の中でほどよくとろける位に柔らかい。コラーゲンも多めで本当にとろとろという感じだ。

「美味しいな、この煮物」

「今日はナカさんが作ったのよ」

「牛か鹿で作るのですが、鹿魔獣《チデジカ》でも同じように出来ました」

 味つけそのものは軽い塩味だけだろう。しかしタマネギや人参、それに肉がトロトロになっていてさっぱりだけれどコクがある深い味わいになっている。
 そのままでも、パンを少し浸しても美味しい。

「こうやって人に作って貰うのもいいな。知らない美味しいものが食べられる」

「大体はミタキ君に作って貰っていましたから。今回は私とフールイ先輩で交互に作ってみたんです」

「合宿はこれが楽しい」

「確かに家で食べるより美味しいし楽しいな」

 確かにそうだなと感じる。
 更に今回はデザートまで出来ていた。クレープ風だけれど大分卵っぽい生地でしかもパリッとしている。そして中にはバターたっぷりで焼いた林檎入り。
 これもまたいい感じで美味しい。これはフールイ先輩作だそうだ。

「今日で合宿終わりなのが何か寂しいな」

「また来ればいい」

「そうだよね。ボートでも今度出来る車でも」

「宜しければ次は我が家の領地にご案内しますわ」

 そういえばシンハの家の領地、ヨーコ先輩の家の領地と回ったんだな。

「うちの領地は夏は暑いので春がお勧めです。南ですので春から海で泳げますし、フルーツも南国特有の色々なものがありますわ」

 いいなそれは。身体も健康になったし、少し泳げるようになりたい。

「でも1月2月は試験が山のようにあるし、結構辛いよな」

 3学期は基本的に試験と今までの復習の期間だ。ここで落第すると進級できなくなるし、最悪の場合は退学コース。
 しかしだ。

「私も進学試験があります。でも試験なんて間違わなければまず大丈夫ですわ」

「そうそう。ケアレスミスだけは気をつけないとね」

「見直しても1問か2問は間違うんだよな。我ながら注意力が足りない」

 世の中にはこういう人達もいる。全部わかっていて当然としか思っていない人達が。勿論多数派では決してないのだけれど。
 シンハ君が大きくため息をついた。その気持ちはよくわかる。
 世の中恵まれた人々には理解できない事もあるのだ、きっと。

 ◇◇◇

 翌朝。まずは家と温泉の掃除から始まる。

「お湯を抜くの勿体ないよね。この広いお風呂気持ちよかったし」

「何なら研究室に常設するか。ボイラーがあるなら作るのも簡単だろう」

 おいヨーコ先輩何という事を言うのだ。

「気持ちよさそう」

「いいね、それ」

 ほら賛同者が出てしまった。皆さん快楽方向の誘惑に弱いのだ。製作担当のシモンさんが賛同した時点できっと建築は決定してしまったのだろう。ああ目の毒がまた増えてしまう。

 家の掃除の後はボートの荷物整理。ウージナを出た時と比べてかなり荷物が増えている。模型だの毛皮だの革だの肉入り保冷箱だの魔石利用器具だのだ。
 これだけ増えても何とか載るのがボートのいいところ。ただその分前の方の座席は圧迫されている模様だ。俺の専用席である機関士席はその辺あまり関係ないけれど。

 なお途中カーミヤに寄って昼食を食べ、買い物をしてから帰る予定だ。もっと荷物が増えそうな気がするのは気のせいだろうか。

「それじゃ出発するよ」

「また此処にも来ましょうね」

「そうだな。その時はまた父にかけあってみるよ」

 蒸気ボートはゆっくりと別荘の地下スペースから出航した。
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