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第13章 リゾートモードの筈なのに
第106話 板ガラス試作中
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この付近は標高200腕《400m》程度の高原が多い。ドバーシやアージナのような低地の方が少ないのだ。そんな訳で高原野菜とか酪農の産物とかが豊富に手に入る。
中でも名物というか特産なのがビーフパストラミ。要は牛肉の味付け燻製なのだがこれが美味い。ハムに比べると柔らかく、あっさりさっぱりしている。
これと高原キャベツの酢漬けとチーズをパンに挟んで食べるのがドバーシ地方のソウルフードらしい。市場のおいちゃんの言う事を信じるならば。
コンビーフとか塊のチーズとか、この地方風だというフランスパンのような長いパンも買ってきた。
そんな訳で本日の昼食は、市場のおいちゃん言う処のこの地方風サンドイッチだ。
「うん、これも美味しいね」
「キャベツの酢漬けが強烈だけれど、チーズでマイルドになっている」
「この肉さっぱりしていて幾らでも食べられるぞ」
こいつら何でも美味しいと食べまくるよなと思う。俺も美味しいと思うけれど、そこまで食べまくる程の胃の容量はない。
そしてこのサンドイッチ、確かにソウルフードと言えるだけの味がある。それぞれ方向性が違うのにあわせるときれいにまとまっているのだ。
ただパストラミよりコンビーフの方が俺は好みかなとも感じる。少なくともサンドイッチ用としては。
さて、本日の夕食は焼き肉予定だ。だから採取無しで海で遊ぶつもりだが、その前に試してみたい事がある。
必要なのはさっき買った素材一式と魔法担当。具体的にはシモンさんとアキナ先輩。
そんな訳で2人に声をかける。
「アキナ先輩、シモンさん、食後ちょっとお願いしていいですか。試しに作りたい物がありまして。1時間もかからないと思います」
「いいですわ」
「勿論だよ。で何を作るんだい?」
「向こうが見えるような透明なガラス板。車の前につけて風よけにしたいんだ。ただ今日は材料をいっぱい買ってこなかったからあくまでお試し。本格的に作るのは明日以降になるけれど」
「ガラスって窓に使っている奴だよね。あれって色がついているし、向こう側もなんとなく見える位だと思うけれど」
ミド・リー、確かに今までのガラスはそうだった。しかしこれから作るものは違う。
「ちょっと作り方を変えるんだ。上手くいくかわからないけれど」
「面白そうだね」
シモンさんは基本的に新しい物を作るのが大好きだ。もう早く作りたくてうずうずしているのが見てわかる。普通に話しているようでも手が何かを作り他そうに動いてしまうから。
◇◇◇
今回の材料は玉ガラス、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、それに錫。
炭酸ナトリウムは重曹を熱処理して作った。炭酸カルシウムはシモンさんの工作系魔法で石灰石をパウダー状になるまで細かくして作成。
更に彼女に耐熱レンガで太めの壺とプールの模型のようなへこみのある平たい台を作成して貰う。平たい台の中のへこみ部分は横60指、縦40指、深さ5指くらい。中には錫のインゴットを少量置いてある。
なお壺を掴んで動かせる金具も作って貰った。この辺は今回限りの道具だがまあいいだろう。
「まずはガラスの材料をこの壺に入れてと」
壺に玉ガラス、炭酸ナトリウム、石灰石の粉を入れる。鑑定魔法を使うと適正な量が出てくるのでそれにあわせて。
「次にアキナ先輩、この錫を熱で溶かして下さい。この中全面に広がる位に」
「わかりましたわ」
錫は金属としては融点が低い。アキナ先輩の魔法であっという間に液状化して枠一杯に広がった。
「次はこの壺の中です。これもトロトロになる位まで熱して下さい。壺が割れないよう、ある程度ゆっくりお願いします」
ガラスや材料が溶ける。更に熱を帯びて赤から黄色に輝き始めた。鉄の棒でかき混ぜて中の粉末状の材料を溶かす。
中がほぼ均一に溶けたところから少し待つ。不純物がある程度沈殿したら、作業開始だ。
「もう一度同じように、錫とガラスを加熱お願いします」
アキナ先輩に加熱して貰って作業開始。壺を金具でよいしょとつまみ、中のガラスをゆっくり錫の上へと垂らす。
ここは俺の腕力だとぎりぎりの作業だった。本番ではシンハ君にやってもらった方が安全だな。そう思いながら不純物がまざらない程度まで溶けたガラスを注ぎ入れた。
「あとは冷えるのを待ってカットして取り出すだけです。その辺はまたシモンさんの魔法でお願いします」
「これ凄いね、水面や鏡よりこっちがよく映っている」
「この状態のものも欲しいですわね。自分の姿を確認するのにちょうどいいですわ」
言われて俺も気がついた。そうか、鏡も作れるのだなという事を。鏡の場合は錫じゃなくて銀を使うんだったか。
ただ銀は錫と比べると段違いに高価だ。こうやって溶かしてなんて事は勿体ない。何か銀を節約する方法を考えた方がいい気がする。
なおこの世界にも鏡は一応存在する。ただそれは鉄や銀などの金属を磨いただけのものだ。ここまで綺麗には写らないしすぐに写りが悪くなる。
でもこの方法ならそんな鏡より遙かに質がいい物が作れる筈だ。
中でも名物というか特産なのがビーフパストラミ。要は牛肉の味付け燻製なのだがこれが美味い。ハムに比べると柔らかく、あっさりさっぱりしている。
これと高原キャベツの酢漬けとチーズをパンに挟んで食べるのがドバーシ地方のソウルフードらしい。市場のおいちゃんの言う事を信じるならば。
コンビーフとか塊のチーズとか、この地方風だというフランスパンのような長いパンも買ってきた。
そんな訳で本日の昼食は、市場のおいちゃん言う処のこの地方風サンドイッチだ。
「うん、これも美味しいね」
「キャベツの酢漬けが強烈だけれど、チーズでマイルドになっている」
「この肉さっぱりしていて幾らでも食べられるぞ」
こいつら何でも美味しいと食べまくるよなと思う。俺も美味しいと思うけれど、そこまで食べまくる程の胃の容量はない。
そしてこのサンドイッチ、確かにソウルフードと言えるだけの味がある。それぞれ方向性が違うのにあわせるときれいにまとまっているのだ。
ただパストラミよりコンビーフの方が俺は好みかなとも感じる。少なくともサンドイッチ用としては。
さて、本日の夕食は焼き肉予定だ。だから採取無しで海で遊ぶつもりだが、その前に試してみたい事がある。
必要なのはさっき買った素材一式と魔法担当。具体的にはシモンさんとアキナ先輩。
そんな訳で2人に声をかける。
「アキナ先輩、シモンさん、食後ちょっとお願いしていいですか。試しに作りたい物がありまして。1時間もかからないと思います」
「いいですわ」
「勿論だよ。で何を作るんだい?」
「向こうが見えるような透明なガラス板。車の前につけて風よけにしたいんだ。ただ今日は材料をいっぱい買ってこなかったからあくまでお試し。本格的に作るのは明日以降になるけれど」
「ガラスって窓に使っている奴だよね。あれって色がついているし、向こう側もなんとなく見える位だと思うけれど」
ミド・リー、確かに今までのガラスはそうだった。しかしこれから作るものは違う。
「ちょっと作り方を変えるんだ。上手くいくかわからないけれど」
「面白そうだね」
シモンさんは基本的に新しい物を作るのが大好きだ。もう早く作りたくてうずうずしているのが見てわかる。普通に話しているようでも手が何かを作り他そうに動いてしまうから。
◇◇◇
今回の材料は玉ガラス、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、それに錫。
炭酸ナトリウムは重曹を熱処理して作った。炭酸カルシウムはシモンさんの工作系魔法で石灰石をパウダー状になるまで細かくして作成。
更に彼女に耐熱レンガで太めの壺とプールの模型のようなへこみのある平たい台を作成して貰う。平たい台の中のへこみ部分は横60指、縦40指、深さ5指くらい。中には錫のインゴットを少量置いてある。
なお壺を掴んで動かせる金具も作って貰った。この辺は今回限りの道具だがまあいいだろう。
「まずはガラスの材料をこの壺に入れてと」
壺に玉ガラス、炭酸ナトリウム、石灰石の粉を入れる。鑑定魔法を使うと適正な量が出てくるのでそれにあわせて。
「次にアキナ先輩、この錫を熱で溶かして下さい。この中全面に広がる位に」
「わかりましたわ」
錫は金属としては融点が低い。アキナ先輩の魔法であっという間に液状化して枠一杯に広がった。
「次はこの壺の中です。これもトロトロになる位まで熱して下さい。壺が割れないよう、ある程度ゆっくりお願いします」
ガラスや材料が溶ける。更に熱を帯びて赤から黄色に輝き始めた。鉄の棒でかき混ぜて中の粉末状の材料を溶かす。
中がほぼ均一に溶けたところから少し待つ。不純物がある程度沈殿したら、作業開始だ。
「もう一度同じように、錫とガラスを加熱お願いします」
アキナ先輩に加熱して貰って作業開始。壺を金具でよいしょとつまみ、中のガラスをゆっくり錫の上へと垂らす。
ここは俺の腕力だとぎりぎりの作業だった。本番ではシンハ君にやってもらった方が安全だな。そう思いながら不純物がまざらない程度まで溶けたガラスを注ぎ入れた。
「あとは冷えるのを待ってカットして取り出すだけです。その辺はまたシモンさんの魔法でお願いします」
「これ凄いね、水面や鏡よりこっちがよく映っている」
「この状態のものも欲しいですわね。自分の姿を確認するのにちょうどいいですわ」
言われて俺も気がついた。そうか、鏡も作れるのだなという事を。鏡の場合は錫じゃなくて銀を使うんだったか。
ただ銀は錫と比べると段違いに高価だ。こうやって溶かしてなんて事は勿体ない。何か銀を節約する方法を考えた方がいい気がする。
なおこの世界にも鏡は一応存在する。ただそれは鉄や銀などの金属を磨いただけのものだ。ここまで綺麗には写らないしすぐに写りが悪くなる。
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