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第14章 今度こそリゾートだ!
第110話 楽しい制作品
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嵐は去った。しかし非常に疲れた。時間的にはまだ朝なのに気力が消耗して動けない。
皆でぐったりとしたまま半時間程度が経過。そして。
「ねえ、そろそろ海にでも遊びに行こうよ。多分もう予期せぬイベントなんてものは起こらないと思うしさ」
「そうだな。全部忘れて採取活動でもしよう」
ミド・リーとヨーコ先輩が立ち上がる。
「そうですね」
「賛成」
「確かに」
皆のろのろと起き上がった。着替えて、そしてのろのろと外へ。
出てしまえば今日もいい天気だ。空も青いし海も綺麗。
魚はまだまだいるだろうし二枚貝や巻き貝もいる。牡蠣は大分剥がしてしまったけれど。それでも水中にはまだまだ剥がしていない奴もいるだろう。よく見れば……
そこで俺は思いついた。透明なガラスがあれば作れるかもしれない、水中相手に便利なアレを。ゴムが無いのでうまく固定ができるかはわからない。それでもシモンさんの腕ならカスタムフィットする代物を作れる可能性がある。
「シモンさん頼む。ちょっとこういう物を作ってくれ」
そう、水中眼鏡だ。
「確かにこれはガラスがあれば作れるね。ここの部分は布で肌に添うようにすればいいかな」
アイディアと材料を渡したら、あとはシモンさん任せの方が早い。あっさりと俺用とシモンさん自身用の水中眼鏡が出来あがる。
ゴムが無いのでひもで縛る形になるし、顔に当たる部分もゴムでは無く布製。密着具合がどうなるかわからないが、取りあえず試してみる。
うん、布が水を吸った状態でちょうど顔にフィットするな。微妙な隙間もあるけれど、鼻で息を出せば水は逃げていく。
そして何より海の中が段違いによく見えるぞ。これはいい物が出来た!
「ねえ、シモンさんとミタキが使っているそれ、何なの?」
ミド・リーが早速反応した。なかなか目ざといな。
「海の中がよく見える道具だよ。ちょっと使い方や呼吸が難しいけれど」
シモンさんが説明。
「何か面白そうですわね」
ぞろぞろと皆さん集まってきた。毎度お馴染みいつものパターンだ。
とりあえず俺やシモンさんの分を使って試して貰う。
「これ凄い。海の中がよく見える。でもすぐ海水が入ってきちゃう」
という事は、つまり……
「やっぱりそれぞれの顔の形に合わせて作らないと駄目みたいだね。なら皆の分を作るよ」
そんな訳で玄関前で再び水中眼鏡の練成を開始。例によってシモンさんのカスタム魔法杖と凶悪な工作魔法を使用。だから作るのはほぼ一瞬だ。
なお今ではシモンさん、この魔法杖で材料から透明な板ガラスを作る事が可能だ。最初は作れなかったところを見ると、シモンさんの工作魔法は材料の加工方法だの性質だのを理解していないと使えない模様。その代わりそれを理解できればいくらでも練成出来るらしい。
そんな訳であっさりと全員分の水中眼鏡が完成。
「顔につけてきっちり後ろで紐で縛る。一度水に濡れれば布部分もしっかり顔にくっつくようになるよ。眼鏡の中に入った水が多くなったら、鼻で息を吐いてやれば布から水が出ていくから。逆に鼻で息を吸おうとすると、息が吸えないだけで無く水も入ってきてしまうからね。それだけ注意すれば大丈夫だよ」
シモンさんによる使用上の注意の後、早速全員で試してみる。
「うん、今度は大丈夫。これくらいの浸水は魔法や呼吸で何とか出来るし」
「やっぱり段違いに海の中がはっきり見えるな、これは楽しくていい」
「曇ったら日常魔法でガラス面を温めてやればいいです」
そんな訳で水中眼鏡を装備して、全員再びそれぞれの遊びへ。
俺は砂浜で歩きながら下を向いて水中を見て歩く。これでも時々底にへばりついているメゴチっぽい魚がいるのがはっきり見える。泳げない俺でさえこれだけ楽しめるんだ。なら他の皆様はどうだろう。
顔を上げて回りを見てみる。皆様既に水中で遊泳なり何なり楽しんでいた。
さて、それでは俺も採取活動にいそしむ事にしよう。砂浜に所々岩場がある場所へと移動。いざとなったら足の着く場所へすぐ戻れる位のところで探索開始だ。
何か美味しそうな物は無いかな。アワビでもあれば楽しいのだけれど。
おっと、全長10指くらいのそれっぽい貝を発見。一度呼吸をした後、再び顔を海面につけて確認。
『地球のアワビとほぼ同じ貝。ただし水っぽいのでソテー等にした方が美味しい』
俺の鑑定魔法、大分実用的な判定をしてくれるようになった模様。そんな訳でありがたくこの貝をいただく。
それでは他に獲物は無いか。サザエは高級なイメージがあるけれど苦くて苦手なんだよな。
おっと、ちょうどいい大きさのウニ発見。そうやって獲物を捕っては近くに置いたバケツに入れる。
周りを見ると皆さん採取活動に余念が無い模様だ。俺以外は皆さん泳げるらしい。
まあウージナの初等学校には海で水泳なんて授業もあるしな。俺は健康状態がヤバいという事で不許可だったのだけれども。
シンハやヨーコ先輩はかなり沖合いで網を使って直接魚等と対峙している模様。
いくらあの2人だって水中専門の動物相手では不利だろう。そう思いつつも案外いいのがとれるかも、なんて期待もしたりする。
皆でぐったりとしたまま半時間程度が経過。そして。
「ねえ、そろそろ海にでも遊びに行こうよ。多分もう予期せぬイベントなんてものは起こらないと思うしさ」
「そうだな。全部忘れて採取活動でもしよう」
ミド・リーとヨーコ先輩が立ち上がる。
「そうですね」
「賛成」
「確かに」
皆のろのろと起き上がった。着替えて、そしてのろのろと外へ。
出てしまえば今日もいい天気だ。空も青いし海も綺麗。
魚はまだまだいるだろうし二枚貝や巻き貝もいる。牡蠣は大分剥がしてしまったけれど。それでも水中にはまだまだ剥がしていない奴もいるだろう。よく見れば……
そこで俺は思いついた。透明なガラスがあれば作れるかもしれない、水中相手に便利なアレを。ゴムが無いのでうまく固定ができるかはわからない。それでもシモンさんの腕ならカスタムフィットする代物を作れる可能性がある。
「シモンさん頼む。ちょっとこういう物を作ってくれ」
そう、水中眼鏡だ。
「確かにこれはガラスがあれば作れるね。ここの部分は布で肌に添うようにすればいいかな」
アイディアと材料を渡したら、あとはシモンさん任せの方が早い。あっさりと俺用とシモンさん自身用の水中眼鏡が出来あがる。
ゴムが無いのでひもで縛る形になるし、顔に当たる部分もゴムでは無く布製。密着具合がどうなるかわからないが、取りあえず試してみる。
うん、布が水を吸った状態でちょうど顔にフィットするな。微妙な隙間もあるけれど、鼻で息を出せば水は逃げていく。
そして何より海の中が段違いによく見えるぞ。これはいい物が出来た!
「ねえ、シモンさんとミタキが使っているそれ、何なの?」
ミド・リーが早速反応した。なかなか目ざといな。
「海の中がよく見える道具だよ。ちょっと使い方や呼吸が難しいけれど」
シモンさんが説明。
「何か面白そうですわね」
ぞろぞろと皆さん集まってきた。毎度お馴染みいつものパターンだ。
とりあえず俺やシモンさんの分を使って試して貰う。
「これ凄い。海の中がよく見える。でもすぐ海水が入ってきちゃう」
という事は、つまり……
「やっぱりそれぞれの顔の形に合わせて作らないと駄目みたいだね。なら皆の分を作るよ」
そんな訳で玄関前で再び水中眼鏡の練成を開始。例によってシモンさんのカスタム魔法杖と凶悪な工作魔法を使用。だから作るのはほぼ一瞬だ。
なお今ではシモンさん、この魔法杖で材料から透明な板ガラスを作る事が可能だ。最初は作れなかったところを見ると、シモンさんの工作魔法は材料の加工方法だの性質だのを理解していないと使えない模様。その代わりそれを理解できればいくらでも練成出来るらしい。
そんな訳であっさりと全員分の水中眼鏡が完成。
「顔につけてきっちり後ろで紐で縛る。一度水に濡れれば布部分もしっかり顔にくっつくようになるよ。眼鏡の中に入った水が多くなったら、鼻で息を吐いてやれば布から水が出ていくから。逆に鼻で息を吸おうとすると、息が吸えないだけで無く水も入ってきてしまうからね。それだけ注意すれば大丈夫だよ」
シモンさんによる使用上の注意の後、早速全員で試してみる。
「うん、今度は大丈夫。これくらいの浸水は魔法や呼吸で何とか出来るし」
「やっぱり段違いに海の中がはっきり見えるな、これは楽しくていい」
「曇ったら日常魔法でガラス面を温めてやればいいです」
そんな訳で水中眼鏡を装備して、全員再びそれぞれの遊びへ。
俺は砂浜で歩きながら下を向いて水中を見て歩く。これでも時々底にへばりついているメゴチっぽい魚がいるのがはっきり見える。泳げない俺でさえこれだけ楽しめるんだ。なら他の皆様はどうだろう。
顔を上げて回りを見てみる。皆様既に水中で遊泳なり何なり楽しんでいた。
さて、それでは俺も採取活動にいそしむ事にしよう。砂浜に所々岩場がある場所へと移動。いざとなったら足の着く場所へすぐ戻れる位のところで探索開始だ。
何か美味しそうな物は無いかな。アワビでもあれば楽しいのだけれど。
おっと、全長10指くらいのそれっぽい貝を発見。一度呼吸をした後、再び顔を海面につけて確認。
『地球のアワビとほぼ同じ貝。ただし水っぽいのでソテー等にした方が美味しい』
俺の鑑定魔法、大分実用的な判定をしてくれるようになった模様。そんな訳でありがたくこの貝をいただく。
それでは他に獲物は無いか。サザエは高級なイメージがあるけれど苦くて苦手なんだよな。
おっと、ちょうどいい大きさのウニ発見。そうやって獲物を捕っては近くに置いたバケツに入れる。
周りを見ると皆さん採取活動に余念が無い模様だ。俺以外は皆さん泳げるらしい。
まあウージナの初等学校には海で水泳なんて授業もあるしな。俺は健康状態がヤバいという事で不許可だったのだけれども。
シンハやヨーコ先輩はかなり沖合いで網を使って直接魚等と対峙している模様。
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