病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀

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第15章 新学期を迎えて

第121話 2階部分作成中

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 まずは今現在の建物の構造等を俺とシモンさんで調べる。
 主に確認するのは舟の吊り上げ用の支柱の強度。壁や柱の構造と耐久性。それにシャワー室等小部屋の屋根と柱の構造だ。

 強度とか材質、劣化場所等は俺の鑑定魔法で調査。補強すべき箇所や新たに組む構造、必要な資材等をシモンさんが見て確認する。

 調べてメモった後は俺とシモンさんで概念図の作成だ。

「全部を2階建てにすると不便だから、手前部分は今のままでいいよね」

「それでいいと思う。高さが必要なものを造る可能性もあるし、気球を吊る場所も必要だしさ」

 それに全部に天井を張ったら圧迫感がありそうな気がする。天井の高さによる解放感も残しておきたい。

「舟用の支柱は全部使えるね。あとはいくつか筋交を入れればいいかな」

「そうだな。浴槽とか重量物は基本的に舟用の支柱で支えれば大丈夫だろ」

「あと上の窓ガラスは全部透明なガラスに変えようよ。のぞかれる心配も無いしその方が明るくなるよきっと」

「そうだな。でも直射日光が入るとまぶしいからその辺は角度と場所を考えよう。全部透明なガラスにすると造るのが面倒だしさ」

 まずい、この作業が結構楽しい。
 俺自身は仮にも学校の研究室に展望風呂を増設するなんて問題だと思うのだ。でもこうやって案を考えて設計したりする作業は無茶苦茶楽しい。
 光の加減や費用の事も考えつつ色々考える。
 
 何とかデザートの時間までには案がまとまった。ヨーコ先輩とシンハ君も含めて全員揃った処で発表と確認を開始する。
 なお今日のお茶菓子は生どらだ。

「なるほど、ボートの上部分やシャワー室・トイレ等の上を有効活用する訳か」

「ボートの上は基本的にお風呂の場所にするよ。着替える場所なんかも造ってさ。そうすれば見晴らしもいいし、他から見える事も無いしね。
 あとは今ある小部屋の上部分を活用する感じかな」

 2階を造るのは蒸気ボートの上部分と、シャワー室や仮眠室の上の空いている部分だけにした。研究室内が暗くならないように、かつ今の広さの感覚を損なわないように。

 更に利便性等も考えて、作業場所は基本的に今と同じにした。要は邪魔ものだけを上に逃がした感じだ。

「上のガラスを透明にするのは賛成ですわ」

「これなら下もあまり暗くならないね。強いて言えば右奥くらいだけれど、あそこも一応窓はあるし困るほど暗くはならないと思う」

「資材や今すぐ使わない物を置く場所が出来るのはいいと思います」

「展望風呂、気持ちよさそう」

 案は概ね好評の模様。

「それで材料はどれくらい必要でしょうか」

「ガラスの材料はまだまだたくさんあるからね。必要なのは柱の強化用の鉄と2階の床になる木材かな。手すりとか階段なんかも含めて、
 ○ 長さ2腕4mの標準丸太が35本
 ○ 鉄が180重1.08t
という処だね」

 鉄が結構かかるな。俺はそう思ったのだけれど。

「それくらいなら予算で何とかなります」

 あっさりナカさんの許可が下りた。

「なら注文をかけて届いたらすぐに改築だね」

「この時期だとどれくらいで資材が届くかな」

「今なら3日もあれば届くよ。木材も鉄材も倉庫街にあると思うしね。何なら台船ごと研究室の外につけてもらえれば、そのまま中に入れて作業できるし。帰りに事務室寄って注文票を出しておくよ」

 学校内、それも研究院に入れる業者は指定業者だけ。そして注文は事務室で一括して受付している。

「新人さんが来るまでに間に合うかな」

「来るとすればおそらく来週5の曜日以降ですわ」

「何故かな」

「魔術学会の分科会が第1研究棟の大教室で開催されますから」

 なるほど。学会経由で通行許可証を請求してもいいし、用済みの通行許可証を回収してもいい。いずれにせよ通行許可証を手に入れやすい日という訳だ。

「でも通行許可証を手に入れてすぐは難しくないですか。通行証を手に入れた後、僕らの誰かを追跡する等した後でないと」

「学会は朝からやっていますわ。ですから放課後までに通行許可証を手に入れられればその足で確認することも可能だと思われます。むしろ通行許可証の使用期限を考えたらそうすると思いませんか。追跡そのものは1階の廊下と2階の廊下をうまく使えば難しくはありませんし」

 そうか、通行証の期限を考えるとその日のうちが一番やりやすいのか。

 ◇◇◇

 予定通り次の週1の曜日には材料がごっそりと揃った。なお運ぶのが大変だからか外の水路に台船を係留した状態のままである。
 事務に問い合わせたら、荷物を運んだらそのまま係留しておけばいいそうだ。後ほど業者が取りに来るとのこと。

 さて今回の作業、前半戦の2階作成作業についてはほとんどの人は戦力外になる。なにせ材料が重すぎる。通常人では引きずって歩くことすら困難だ。
 そんな訳で蒸気ボートを端に寄せ、台船を研究室内に引っ張って入れた後。シンハ君とヨーコ先輩、それにシモンさんの3人による作業になる予定だ。

「材料は面倒だから基本積んだままでいいよ。魔法で仕上げられる部分をまず一気に造ってしまうから」

 シモンさんの工作系魔法アンテナはまたもやパワーアップ。素子が更に増え6つになっている。反射器も上下2つずつに増えた。
 どうも簡単にパワーアップできるような構造になっている模様。ただ見た限りでは今回のがおそらく最大サイズ、フルオプションだろう。構造的に

「まずは鉄によるフレームとその補強からいくよ」

 今回購入した鋼材は長さ2腕4m、幅と高さが15指15cmで断面がH型をしている。それがすっと自動的に動いてボート周りの柱の上に固定された。

「先にこっちを仕上げるね、次は木製部分」

 樹皮をむいて長さを揃えただけの丸太が真っ二つになったり板材になったりしながら柱なり床材なりに変形し、あるべき場所に動いていく。それにしてもこんな魔法ってアリなんだろうか。
 前からシモンさんの工作系魔法はチートだと思っていた。でもここまで大きく重い材料も自由自在に動かせるなんてとんでもなさ過ぎる。材料さえ揃えばシモンさんと魔法アンテナだけで家一軒建ってしまいそうだ。

 あれよあれよといううちに階段まで完成。

「ふうっ、今日の僕の作業はここまでかな。浴槽とか配管。あと反対側の2階部分は明日以降だね。ちょっと魔力が足りない。鍛え足りないね、まだまだ」

「いや、これだけ出来れば充分チートだろ」

「本当ですわ」

「同意」

 全くもって俺もそう思う。

「材料は全部使うまで台船に載せたままでいいですわ。終わってから事務へ連絡すればいいだけですから」

「なら次は窓ガラスつくりだね」

「その前に2階部分がどんな感じか確認しようよ」

「そうだな」

 そんな訳で皆で出来たばかりの階段を上へ。一般教室2部屋分くらいの空間が広がっていた。
 床は綺麗に磨かれた純天然木仕上げ。裸足で歩いても気持ちよさそうだ。

「ここは完成したら裸足で歩くようにする予定だよ。ただ窓ガラス入れ替えとか工事が終わるまでは面倒だから土足でいいけれどね」

 そういえばそんな設計だった。

「いい場所ですね。それなりに開放感もあって」

「窓の外はどんな景色だろ」

「モトヤス川があってその向こうはウージナの街かな。窓の位置そのものは普通の2階建てよりちょっと高いから、多分見えるのは空だけじゃないか」

「だったら水着でのんびり浸かっても外から見えないですね」

「夏だとあえて水風呂にして、ここに浸かっているのもいいかも」

 おいおいおい。俺を惑わすような案を出すな。

「ここに面した窓は透明なガラスにして、あと手動で開くことも出来るようにする予定だよ。そうすれば外の風も入るしもっと気持ちいいと思う」

 確かに快適そうな気がするのが悔しい。まあ俺もシモンさんと一緒に考えたんだけどさ。冷静になってみると色々自分の首を絞めているような……

 いや、目の保養にはなると思うんだよ。でもだからと言ってじっと見ていちゃただの変態だろう。その辺のさじ加減が色々難しいのだ。
 まあ出来てからの話だけれども。

「それでは材料をここに持って来て透明な窓ガラスつくりをしましょうか」

「了解」

 それぞれ材料や道具を運びに階段をおりる。
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