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第18章 めでたく夏合宿
第150話 のんびりした午後
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昼食中、ヨーコ先輩からこんな話が出た。
「そう言えば明日は登山をしてみないか。ここからオソラカン山まで普通の人でも半日で行って帰ってこれるらしい。景色が最高にいいらしいぞ」
登山か。俺には縁の遠い話だ。そう思ったがふと思い直す。
そうだ、俺にはさっき開発した万能魔法杖がある。あれさえあれば普通の人以上の体力で動くことが可能だ。
「それも楽しそうだな」
「珍しいね。ミタキが身体を動かすことに乗り気だなんて」
ふふふミド・リー、俺は生まれ変わったのだ。
ただ持ち歩き用ならもっと小型で軽い方がいいだろう。なら今日の午後はさっきの万能魔法杖の改良作業だ。
コンデンサも板部分を魔法銀の銀箔で作ればもっと薄く軽くなる。箔だけだと脆いが布か何かで補強すれば大丈夫だろう。
「ご飯とかはどうする?」
「作って持っていってもいい。でも山で温かい汁物を食べるのも美味しい」
「なら主食はフールイ先輩にお任せしようか」
「承知」
「いいね」
この世界だと水は生活魔法で作れる。だから持って行く必要はない。
「後で商店街に買い出しに行ってくる。この辺の味を入れたものにしたい」
「どうせ午後も皆買い物に行くんでしょ。まだお店全部回っていないし」
そんなにあそこの商店街は大きくなかった筈だ。なら皆、どんな速度で店を回っているのだろう。考えるだに恐ろしい。
「俺は午後はパスするわ。ちょっとトレーニングをしたい」
「俺もそうしよう」
「俺もまだ製作する物があるしさ」
俺を含めた男子3名は流石に買い物には行かないようだ。午前中一緒に回っただけでも2人は偉いと思う。
「それとミタキ君にお願いがあります。さっきの万能魔法杖、私にも作って頂けませんでしょうか。出来ればもう少し軽い方が嬉しいのですけれど」
アキナ先輩、明日の登山で俺と同じように使う気だろう。
「いいですよ。どうせ午後はあれを改良しようと思っていたんです」
「それではお願いしますね」
「あと夕食はどうする?」
「残った男子一同で作っておく」
この返事は俺では無くタカス君だ。
そんな訳で午後は別行動。シンハ君は外へ独りで出かけ、タカス君は読書。俺は万能魔法杖の製作にとりかかる。
改良すべき点と方法論がわかっているから作るのはたやすい。ただ魔法銀《ミスリル》の在庫が少ないので最初に作った試作品は分解。
やっぱり4半重だと量が少なすぎる。2人分の万能魔法杖を作るともう残りが少ない。あとひとつ万能魔法杖をつくれるかどうかの量だ。
ただミスリル、これでも正金貨2枚する。だからおいそれとは買えない。
しかしもし魔法銀《ミスリル》が無いと作れない物を思いついたら。在庫がないと間違いなく困る。
帰りに他の銀産地を寄ってみるか。俺のポケットマネーを使ってでもある程度購入しておいた方がいいかもしれない。
俺は専用工作系魔法アンテナを使ってもシモンさんのように製品練成は出来ない。この辺は魔法の強さでは無く『どこまで製品を細かい所までイメージ出来るか』の能力の違いだそうだ。
だから俺が作るときは色々段階を踏んでやる必要がある。今回の場合は魔法銀の銀箔を作って、次に薄くてかつ頑丈な布を作って……
シモンさんなら一瞬で錬成するところを2時間以上かけてやっと完成した。でも万能魔法杖の出来は満足だ。
重さも大きさも標準的なA4ノートパソコン大。もちろんそんなものこの世界にはないけれど。
あとは万能魔法杖に記載した記述魔法の一覧も作っておくかな。この辺は紙に書くだけなので簡単だ。
なお工作系魔法を使えば手書きより遥かに早くて綺麗。なので2セットほど一覧を作る。
さて、完成した新型万能魔法杖はディパック本体では無くポケット部分に入る。この状態で外で試してみよう。
出る前にタカス君に一声かけておこうかな。そう思ったがさっきの場所には見当たらない。しかし本が置いてあるからすぐに戻ってくるだろうと判断。
それにしてもどんな本を読んでいるのだろう。特に何の気なしに見てみる。
おお。漫画だ。俺はあまり読まないけれど面白い事は面白いんだよな。そう思ってついつい読んでみる。
主人公は中等部に入学したばかりの女の子。それがこの学校に入るきっかけになった先輩女子に憧れていて……
ちょっと待ってくれ。これはひょっとして日本で言うところの百合な漫画ではないだろうか。しかし絵もなかなか可愛いし話も良く出来ている。なのでつい引き込まれて読んでしまう。
主人公は憧れの先輩(女子)の所属する女子剣術研究会に入会。でも研究会は先輩狙いの新人と後輩狙いの先輩達の魔窟だった。
同じ先輩を狙う同級生女子。そして主人公が好みのタイプだと狙う先輩女子。ほのかな恋心を抱きつつ主人公を見守る妹。
主人公の恋(百合)は実るのか! それとも別の先輩(女子)に食われてしまうのか! そして妹の想いは!
そして運命の新人合宿、最初のお泊まり行事で……
ついつい夢中になって読み進めて気がつくと1巻が終わってしまった。さて次の巻はと思ってふと気づく。
横でタカス君がジト目で俺の事を見ていた。
うっ、まずい!
この場合はどう反応するのが正解なんだ!
「そう言えば明日は登山をしてみないか。ここからオソラカン山まで普通の人でも半日で行って帰ってこれるらしい。景色が最高にいいらしいぞ」
登山か。俺には縁の遠い話だ。そう思ったがふと思い直す。
そうだ、俺にはさっき開発した万能魔法杖がある。あれさえあれば普通の人以上の体力で動くことが可能だ。
「それも楽しそうだな」
「珍しいね。ミタキが身体を動かすことに乗り気だなんて」
ふふふミド・リー、俺は生まれ変わったのだ。
ただ持ち歩き用ならもっと小型で軽い方がいいだろう。なら今日の午後はさっきの万能魔法杖の改良作業だ。
コンデンサも板部分を魔法銀の銀箔で作ればもっと薄く軽くなる。箔だけだと脆いが布か何かで補強すれば大丈夫だろう。
「ご飯とかはどうする?」
「作って持っていってもいい。でも山で温かい汁物を食べるのも美味しい」
「なら主食はフールイ先輩にお任せしようか」
「承知」
「いいね」
この世界だと水は生活魔法で作れる。だから持って行く必要はない。
「後で商店街に買い出しに行ってくる。この辺の味を入れたものにしたい」
「どうせ午後も皆買い物に行くんでしょ。まだお店全部回っていないし」
そんなにあそこの商店街は大きくなかった筈だ。なら皆、どんな速度で店を回っているのだろう。考えるだに恐ろしい。
「俺は午後はパスするわ。ちょっとトレーニングをしたい」
「俺もそうしよう」
「俺もまだ製作する物があるしさ」
俺を含めた男子3名は流石に買い物には行かないようだ。午前中一緒に回っただけでも2人は偉いと思う。
「それとミタキ君にお願いがあります。さっきの万能魔法杖、私にも作って頂けませんでしょうか。出来ればもう少し軽い方が嬉しいのですけれど」
アキナ先輩、明日の登山で俺と同じように使う気だろう。
「いいですよ。どうせ午後はあれを改良しようと思っていたんです」
「それではお願いしますね」
「あと夕食はどうする?」
「残った男子一同で作っておく」
この返事は俺では無くタカス君だ。
そんな訳で午後は別行動。シンハ君は外へ独りで出かけ、タカス君は読書。俺は万能魔法杖の製作にとりかかる。
改良すべき点と方法論がわかっているから作るのはたやすい。ただ魔法銀《ミスリル》の在庫が少ないので最初に作った試作品は分解。
やっぱり4半重だと量が少なすぎる。2人分の万能魔法杖を作るともう残りが少ない。あとひとつ万能魔法杖をつくれるかどうかの量だ。
ただミスリル、これでも正金貨2枚する。だからおいそれとは買えない。
しかしもし魔法銀《ミスリル》が無いと作れない物を思いついたら。在庫がないと間違いなく困る。
帰りに他の銀産地を寄ってみるか。俺のポケットマネーを使ってでもある程度購入しておいた方がいいかもしれない。
俺は専用工作系魔法アンテナを使ってもシモンさんのように製品練成は出来ない。この辺は魔法の強さでは無く『どこまで製品を細かい所までイメージ出来るか』の能力の違いだそうだ。
だから俺が作るときは色々段階を踏んでやる必要がある。今回の場合は魔法銀の銀箔を作って、次に薄くてかつ頑丈な布を作って……
シモンさんなら一瞬で錬成するところを2時間以上かけてやっと完成した。でも万能魔法杖の出来は満足だ。
重さも大きさも標準的なA4ノートパソコン大。もちろんそんなものこの世界にはないけれど。
あとは万能魔法杖に記載した記述魔法の一覧も作っておくかな。この辺は紙に書くだけなので簡単だ。
なお工作系魔法を使えば手書きより遥かに早くて綺麗。なので2セットほど一覧を作る。
さて、完成した新型万能魔法杖はディパック本体では無くポケット部分に入る。この状態で外で試してみよう。
出る前にタカス君に一声かけておこうかな。そう思ったがさっきの場所には見当たらない。しかし本が置いてあるからすぐに戻ってくるだろうと判断。
それにしてもどんな本を読んでいるのだろう。特に何の気なしに見てみる。
おお。漫画だ。俺はあまり読まないけれど面白い事は面白いんだよな。そう思ってついつい読んでみる。
主人公は中等部に入学したばかりの女の子。それがこの学校に入るきっかけになった先輩女子に憧れていて……
ちょっと待ってくれ。これはひょっとして日本で言うところの百合な漫画ではないだろうか。しかし絵もなかなか可愛いし話も良く出来ている。なのでつい引き込まれて読んでしまう。
主人公は憧れの先輩(女子)の所属する女子剣術研究会に入会。でも研究会は先輩狙いの新人と後輩狙いの先輩達の魔窟だった。
同じ先輩を狙う同級生女子。そして主人公が好みのタイプだと狙う先輩女子。ほのかな恋心を抱きつつ主人公を見守る妹。
主人公の恋(百合)は実るのか! それとも別の先輩(女子)に食われてしまうのか! そして妹の想いは!
そして運命の新人合宿、最初のお泊まり行事で……
ついつい夢中になって読み進めて気がつくと1巻が終わってしまった。さて次の巻はと思ってふと気づく。
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うっ、まずい!
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