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第25章 加速する情勢
第215話 巨大な輸送戦闘艦
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海軍基地に来たのは久しぶり。あの蒸気ボートを手に入れた時以来になる。まあ一般人はあまり基地に用事は無いしな。当たり前と言えば当たり前。
車が進んでいく方向は以前とは違い南東側。何処を目指しているのかはすぐわかった。
昨日魔法で見たあの大型船。あの船がまさに後部ランプを開いて待っている。
蒸気自動車は前の蒸気トラックと共にランプをそのまま進んで蒸気船の中へ。中は明るくてかなり広い。俺の知らない方式の照明魔法を使っているようだ。
蒸気自動車が他にも数台載っているのが見える。全部前の車と同じ濃緑色のトラックだ。
個々の車には隠蔽魔法や逆鑑定魔法がかなり厳重にかかっている。だから機構その他は良くわからない。おそらくは前のトラックと同じ仕様だろうけれど。
殿下達が蒸気自動車から降りる。
「ここからは歩きになる。だから降りてくれ」
俺達も全員蒸気自動車から降りた。
「まさか車で出迎えていただけるとは思いませんでした」
「これは簡易生産型。だから残念ながらそっちの程性能は良くないけれどね」
殿下はそう言って、そして言葉を続ける。
「ところでどうだいこの船は。これから案内するけれど大きいだろう」
確かに大きい。
「これも蒸気で動くのですよね」
「ああ。原理そのものは改良してもらった蒸気ボートとほぼ同じだ。大きい分蒸気の圧力を無駄なく使うよう工夫しているけれどね。あとはスクリューの片方が逆回転するところまで同じだ」
この辺かなりハイテクだ。この世界は工作系魔法のおかげで製造加工水準が異常に高いからな。こういった細工は得意だ。
それにしても昨日夜話題になった後にこの船の披露か。ここで俺は盗聴以外の可能性を思いついた。まさか、ひょっとして。
「アキナ先輩、昨日夜の話題はひょっとして」
「すみません。殿下にある程度予習させておくように言われたものですから」
なるほど、予習だった訳か。まあ俺達の様子を透視盗聴されているよりはましだな。とりあえずそう思って納得しておく。
「それでは案内しよう。まずは上へ」
端にある螺旋階段で上の甲板へと上る。
「この艦は蒸気機関以外にも最新の技術を使って作られている。例えば主要部分の素材は全て金属だ。そこのタカモさんが考案した錆びない鋼をほぼ全体に使っている。船の形も以前から研究していた大型船用構造を初めて使用した。多少ダメージを受けてもよほどの事が無い限り沈まない。波と風に強くて速度もまあまあ出る。よほど天候が悪くない限りブーンゴ国のオイターまで1週間以内で行けるはずだ」
それってこの世界ではとんでもないよな。
「ブーンゴと本格的な交易をはじめるのですか」
「そのつもりさ。あと軍関係をはじめとする色々な協力もね」
階段を上り終えて甲板上へ。ここは構造物は割と少ない。艦橋の他には高さをそれぞれ変えている魔法アンテナらしきものがあるだけだ。
「あれは大型魔法杖ですよね」
「そう。この船の目や武器だね。一番上が生物系魔法用と風魔法用のアンテナで、あれで回りを哨戒する。その下が誰でも使える仕様の空間系魔法用でこれは航海用だな。他に自衛用に炎熱魔法用と雷魔法用のものを前後に搭載している。
国外へ行く船だから機能等の保秘対策は徹底している。だから魔法で解析は出来ないようになっている訳だ。魔法や魔法陣やらで色々とね」
下は輸送艦だけれど上だけ見ると戦艦だなこれは。この世界というかここの海域には大型船が無いので事実上最大最強の艦だ。
広い平らな甲板を前に向かって歩いていく。
「これらの大型魔法杖も全部そこの部屋の中で操作できるようになっている。回転させる機構とかは苦労したけれどね。その辺の説明はジゴゼンだな」
「後程権利関係を含めて説明させていただきます。この船に必要な人員を減らすため、事後承諾になりますがある技術を使わせていただきました」
何だろう。機器類には全て隠蔽魔法や逆鑑定魔法等がかかっているので解析できない。
「本当は中の指令室も案内したいところなんだけれどね。あそこはあそこでまた別の秘密が色々詰まっていて案内出来ないんだ。すまないね」
「船全体の操船、位置把握、哨戒、運航指揮、戦闘動作ほぼすべてが出来るようになっています。接岸だけは監視員等が必要ですけれど」
機関が蒸気という事以外はもう色々ハイテクな船だよな。電子技術が無い代わりに魔法を色々組み合わせてそれに近い事をやっている。
広い甲板を後ろまで歩いて、そして再び下へ。
ここも貨物室らしい。積んであるものは……。隠蔽魔法がかかっていても俺にはわかる。
「ここも貨物室。後ろのさっきの場所から通路があって、蒸気自動車でここまで来ることができるようになっている。ここに並んでいるものは全て隠蔽魔法がかかっているけれど、これが何なのかミタキ君はきっとわかるよね」
「蒸気機関、ボート用より少し大きい物ですね」
殿下は頷く。
「ほぼ正解かな。厳密には蒸気機関だけじゃなく他にも色々な部品を積んでいるけれどね。これは高速蒸気船用の部品一式さ。ブーンゴもイーヨの私掠船には悩まされているからね。既にうちのと同じ形式の高速蒸気船を十隻派遣しているのだけれど、その予備部品だ。秘密にしている以上向こうで細かい修理をやるわけにはいかないからね。その辺は故障した部分をユニット交換して対応することになる。その辺は秘密に触れないで交換できるように設計段階で作ってあるからね」
「その分だけブーンゴ向けは設計段階で色々簡略化してあります。以前改良していただいた船のような性能はありませんが、その分故障しにくくて頑丈です」
なるほどな。
車が進んでいく方向は以前とは違い南東側。何処を目指しているのかはすぐわかった。
昨日魔法で見たあの大型船。あの船がまさに後部ランプを開いて待っている。
蒸気自動車は前の蒸気トラックと共にランプをそのまま進んで蒸気船の中へ。中は明るくてかなり広い。俺の知らない方式の照明魔法を使っているようだ。
蒸気自動車が他にも数台載っているのが見える。全部前の車と同じ濃緑色のトラックだ。
個々の車には隠蔽魔法や逆鑑定魔法がかなり厳重にかかっている。だから機構その他は良くわからない。おそらくは前のトラックと同じ仕様だろうけれど。
殿下達が蒸気自動車から降りる。
「ここからは歩きになる。だから降りてくれ」
俺達も全員蒸気自動車から降りた。
「まさか車で出迎えていただけるとは思いませんでした」
「これは簡易生産型。だから残念ながらそっちの程性能は良くないけれどね」
殿下はそう言って、そして言葉を続ける。
「ところでどうだいこの船は。これから案内するけれど大きいだろう」
確かに大きい。
「これも蒸気で動くのですよね」
「ああ。原理そのものは改良してもらった蒸気ボートとほぼ同じだ。大きい分蒸気の圧力を無駄なく使うよう工夫しているけれどね。あとはスクリューの片方が逆回転するところまで同じだ」
この辺かなりハイテクだ。この世界は工作系魔法のおかげで製造加工水準が異常に高いからな。こういった細工は得意だ。
それにしても昨日夜話題になった後にこの船の披露か。ここで俺は盗聴以外の可能性を思いついた。まさか、ひょっとして。
「アキナ先輩、昨日夜の話題はひょっとして」
「すみません。殿下にある程度予習させておくように言われたものですから」
なるほど、予習だった訳か。まあ俺達の様子を透視盗聴されているよりはましだな。とりあえずそう思って納得しておく。
「それでは案内しよう。まずは上へ」
端にある螺旋階段で上の甲板へと上る。
「この艦は蒸気機関以外にも最新の技術を使って作られている。例えば主要部分の素材は全て金属だ。そこのタカモさんが考案した錆びない鋼をほぼ全体に使っている。船の形も以前から研究していた大型船用構造を初めて使用した。多少ダメージを受けてもよほどの事が無い限り沈まない。波と風に強くて速度もまあまあ出る。よほど天候が悪くない限りブーンゴ国のオイターまで1週間以内で行けるはずだ」
それってこの世界ではとんでもないよな。
「ブーンゴと本格的な交易をはじめるのですか」
「そのつもりさ。あと軍関係をはじめとする色々な協力もね」
階段を上り終えて甲板上へ。ここは構造物は割と少ない。艦橋の他には高さをそれぞれ変えている魔法アンテナらしきものがあるだけだ。
「あれは大型魔法杖ですよね」
「そう。この船の目や武器だね。一番上が生物系魔法用と風魔法用のアンテナで、あれで回りを哨戒する。その下が誰でも使える仕様の空間系魔法用でこれは航海用だな。他に自衛用に炎熱魔法用と雷魔法用のものを前後に搭載している。
国外へ行く船だから機能等の保秘対策は徹底している。だから魔法で解析は出来ないようになっている訳だ。魔法や魔法陣やらで色々とね」
下は輸送艦だけれど上だけ見ると戦艦だなこれは。この世界というかここの海域には大型船が無いので事実上最大最強の艦だ。
広い平らな甲板を前に向かって歩いていく。
「これらの大型魔法杖も全部そこの部屋の中で操作できるようになっている。回転させる機構とかは苦労したけれどね。その辺の説明はジゴゼンだな」
「後程権利関係を含めて説明させていただきます。この船に必要な人員を減らすため、事後承諾になりますがある技術を使わせていただきました」
何だろう。機器類には全て隠蔽魔法や逆鑑定魔法等がかかっているので解析できない。
「本当は中の指令室も案内したいところなんだけれどね。あそこはあそこでまた別の秘密が色々詰まっていて案内出来ないんだ。すまないね」
「船全体の操船、位置把握、哨戒、運航指揮、戦闘動作ほぼすべてが出来るようになっています。接岸だけは監視員等が必要ですけれど」
機関が蒸気という事以外はもう色々ハイテクな船だよな。電子技術が無い代わりに魔法を色々組み合わせてそれに近い事をやっている。
広い甲板を後ろまで歩いて、そして再び下へ。
ここも貨物室らしい。積んであるものは……。隠蔽魔法がかかっていても俺にはわかる。
「ここも貨物室。後ろのさっきの場所から通路があって、蒸気自動車でここまで来ることができるようになっている。ここに並んでいるものは全て隠蔽魔法がかかっているけれど、これが何なのかミタキ君はきっとわかるよね」
「蒸気機関、ボート用より少し大きい物ですね」
殿下は頷く。
「ほぼ正解かな。厳密には蒸気機関だけじゃなく他にも色々な部品を積んでいるけれどね。これは高速蒸気船用の部品一式さ。ブーンゴもイーヨの私掠船には悩まされているからね。既にうちのと同じ形式の高速蒸気船を十隻派遣しているのだけれど、その予備部品だ。秘密にしている以上向こうで細かい修理をやるわけにはいかないからね。その辺は故障した部分をユニット交換して対応することになる。その辺は秘密に触れないで交換できるように設計段階で作ってあるからね」
「その分だけブーンゴ向けは設計段階で色々簡略化してあります。以前改良していただいた船のような性能はありませんが、その分故障しにくくて頑丈です」
なるほどな。
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