病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀

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第27章 3学期の合間に

第239話 合宿の計画

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 春合宿は昨年と同様アージナで、2週間の日程で行われる事になった。

「あの別荘も少し改築して大分いい感じになっていますわ。20人までは個室もありますし、場所的にも国の南端で安全だと思います」

 確かにイーヨの脅威が消えた今、国の南側は最も安全な地域だ。夏合宿の時のように襲われては洒落にならない。

「今回は人数も多いですし移動魔法で行きましょう。向こうの別荘は私達しかいませんし問題ないですわ」

 確かにそうだろう。それでも問題がないわけではない。

「それだと買い出しの時に不便じゃないかな。街まで移動魔法で動くのは人数が多いと面倒だし、万が一もあるし」

「お買い物用には新型の自動車を持っていくよ。実は前々から1台作ろうと思っていたんだ」

 シモンさんがそんな事を言う。

「自動車って、蒸気自動車か?」

「今考えているのはミタキ君専用の小さいのより少しだけ大きい位のものだよ。5人乗り位で大きさは小型馬車のワゴン部分程度。やっぱりバッテリーを積んで基本はその電気で走る仕組み。ただバッテリーがある程度減ったら小型の蒸気機関で発電するようにするつもりなんだ。これならフールイ先輩の大型魔法杖を使わなくてもアージナ程度までは移動魔法で持っていけるしね」

 ちょっと待って欲しい。シモンさん、ついにレンジエクステンダー式電気自動車まで作る気のようだ。
 技術水準がどんどん訳わからなくなっていく。しかしもはや俺には止められなさそうだ。
 まあレシプロエンジンよりターボプロップの飛行機が先に出来てしまった世界だしこれくらいはいいか。なんて考えると色々俺のせいのような気もするけれど無視しよう。

「向こうではどんな事が出来るのでしょうか」

「基本的に海遊びだな。色々楽しいぞ。魚を捕ったり貝を捕ったり。あの板で波に乗る遊びも面白いしさ」

「そういえば昨年の新人歓迎合宿以来なのだ。色々楽しみなのだ」

「あの時ミタキ君が作った小魚の塩漬け、あれを今年はもっと作りませんか。帰った後ピザやパスタに使ったらとても美味しかったですから」

 そんな話が出た後ふと気になって尋ねてみる。

「そういえばタカモ先輩はもう大丈夫なんですか。色々忙しかったようですけれど」

 先輩は微笑んで頷く。

「あの杖のおかげで素材精製のノルマはほぼ終わりました。軽量金属も耐熱金属もかなり作りましたから。今はむしろミナミの方が忙しいでしょうか。魔力クレソンの件で色々と注文を受けているようですから」

「研究機関以外でも育てられるよう、特殊な栄養素が無くても育つようにしました。あとは元々やや冷涼な気候を好む性質があったのですが温暖な環境に順応させて成長速度を倍程度まで早めました。既に元となる株は大量栽培済ですので、ここからは国にお任せですね」

 つまり春合宿には問題ないらしい。
 それにしても相変わらずとんでもない魔法だよなと思う。21世紀の地球なら大規模な施設とそれなりの人員でやっているバイオテクノロジー。それを個人の魔法でやっているのだから。

「でも万が一外に漏れて大量繁殖してしまったら大変ですね」

 あの魔力クレソン、繁殖力が洒落にならない植物だとミド・リーに聞いた記憶がある。

「特徴ある魔力を少量ずつ放出する性質を付与しました。ですので漏れた際はその魔力を頼りに根絶作業を行うことになります」

 そんな目印マーカーまで付与しているようだ。色々隙が無い。流石専門家だ。

「なら全員でのんびり海を楽しめるな。久しぶりだから楽しみだ」

「海と言うと日光浴を楽しむとか近場を泳いでみる位しか想像できませんけれど」

「色々面白い道具とかあるからさ。その辺は期待して欲しいな」

 面白い道具とは水中眼鏡やボディボード、スピアフィッシングセットの事だろう。ただ今回は日程が長いから他の遊び道具も考えておきたい。
 ゴムが使えるようになったから浮き輪なんて作ってもいいかもしれないな。あとビーチボールなんてのも作れる。水中眼鏡もゴムで改良できるぞ。
 ならばゴムは多めに用意して貰っておこう。ミナミ先輩に頼めばいいかな。そう思うとかなり楽しみになってきた。

「休みの日程はオマーチの学校もウージナも同じだよね」

「ええ。北部の学校は春休みが短く夏と冬が長いそうですけれど」

 北部は北側に高い山脈を背負っているせいか、夏暑く冬寒いらしい。なのでその分夏休みと冬休みが長いのだそうだ。

「そうとなれば早速合宿の準備なのだ。あと1週間しか無いのだ」

「フルエ、期末試験は大丈夫だよな」

「問題なしの余裕のよっちゃんなのだ。卒業までにはタカスに一矢報いてやるのだ」

 卒業までには、というところに微妙な弱気を感じる、

「自信があるのか無いのか微妙だね」

「何やかんや言ってもタカスは高い壁なのだ。一服盛るくらいしないと勝てそうに無いのだ」

 おいおい。一服盛るのは流石に反則だろう。しかし気持ちはわからないでもない。
 俺だってミド・リーやナカさんに試験で勝てる気がしない。それと同じだ、きっと。
 おそらくはシンハ君に腕力で勝つのと同じくらい難易度が高い。つまり絶望的に不可能……。までではないかもしれないけれど。
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