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第5章 香緒里の護身具製作記
20 たまには少し息抜きも
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香緒里ちゃんの語寝具製作は、かなり危険な方向に向かっている。
何せ香緒里ちゃんが作業しているのは俺の工房だ。
だからすぐに分かる。
今、香緒里ちゃんがやっているのは必要な理論の収集。
バネに魔法をかける作業をやりながら、合間にネットで情報を収集している。
ちらっと見るとHEAT弾の構造とかAPFSDS弾の構造とか、そんな物騒な内容が表示されていた。
ちなみに高価な魔力貯蔵合金や濃縮魔力粉末、タングステンの棒材等も通販で届いている。
更に関係あるのかわからないが色々な化学剤まで。
一体何を作る気だ。
俺は見なかったことにしよう。いやしたいけれど。
「香緒里ちゃん、一体何を作るつもりなんだ?」
間違って事故でも起きたら大変だから一応聞いてみる。
「まだわからないです。取り敢えず可能性のあるものを一通り調べて、必要そうなものを揃えているんです」
まだ方針は決まっていない、と。
「それにしては色々高価なものまで買い過ぎじゃ?」
「お金に糸目をつける必要はないですから」
そうだった。
「一応核爆弾も考えたのですが、近距離だとどう制御してもこっちにも被害が出るので諦めたんです。あと戦車用徹甲弾の方式は汎用性が今ひとつ。由香里姉や鈴懸台先輩の魔法くらい汎用性がないと対抗できないです」
何に対抗する気だ一体。
由香里姉や鈴懸台先輩は敵じゃないだろう。
「とにかく、今一つの調査と研究が必要です」
そう言って香緒里ちゃんは自分用パソコンに向き直る。
まあ、夏休みなのに外泊も旅行もできないんだ。
いい暇つぶしの種が出来た位に思うのが正解かも。
そう思いつつ俺は自分の趣味の電子工作に戻る。
◇◇◇
翌朝9時、学生会幹部3人が俺と香緒里ちゃんがいる工房に現れた。
「せっかくの夏休みなのに工房と学生会室と寮の往復だけじゃつまらないだろ。遊びに行こうぜい!」
鈴懸台先輩がそう切り出す。
「でも私が危険だから学園外には極力出ないほうが良いって言われているんじゃないですか。まあ私が危険なら、私を置いていけばいいだけなのですが」
「香緒里さんを一人残すのもそれはそれで危険なのですわ。ですから行くのは皆一緒ですわよ」
「自衛隊の基地司令に話をつけてきたわ。可愛い女子高生3人で差し入れ持ってお願いしたら、簡単にOKしてくれたの」
由香里姉はそう言ってウィンクして見せる。
まさか魔力で脅迫していないよな。
ふとそう思ったが取り敢えずそれは言わない。
俺もいい加減この生活に飽きていたからだ。
「修はそのままで良いわね。香緒里の水着は取り敢えず用意したわ」
水着とは? それに自衛隊と話をつけてきたとは?
「久しぶりにこの車を動かすけれど大丈夫?」
「勿論、強いて言えばそろそろ軽油を使い切って新しいのを入れておいた方がいいです」
「わかったわ。帰りに入れればいいでしょ」
俺は頷く。
◇◇◇
「それじゃあ乗るわよ」
との事で皆でキャンピングカーに乗り込む。
例によって俺は助手席で由香里姉が運転席。
俺はリモコンで工房のシャッターを開ける。
「それでは、出発!」
香緒里姉はエンジンをかけた。
かつての金曜夕方のように学校を出る。
今回は坂をおりて港方向へ。港の岸壁で加速してから急上昇。
港の外れの大岩を超えてから、進路をやや左に向ける。
「今日の行先は」
「司令には聟島諸島内で許可を貰っているけどね、とりあえず今日は北之島かな。航空写真で見るとちょうどいい砂浜があるみたいだし」
既に北之島は見え始めている。
直線距離では10kmない。
なお聟島列島は魔法特区の聟島以外は全て無人島。
当然北之島にも住民はいない。
5分もしないうちに車は北之島に到着。
南西を向いた細長いビーチに駐車する。
「ここなら安全でしょ」
由香里姉の意見に俺は頷く。
背後は30m近い崖。左右は大岩。海側は岩が点在していて大きな船では接岸不可能。
来るなら小型ボートか俺達のように空からかしか方法がない。
運転席を出て後部スペースへ出るなり由香里姉は服を脱ぎだす。
「由香里姉、何を」
「ビーチなら水着でしょ」
だからといって俺の前で着替えないでくれ。
俺は慌てて外に逃走。
そこには笑っちゃうくらい手付かずの白い砂浜。
そして南国らしい水色に近い海が広がっていた。
既に由香里姉以外の3人は水着に着替えてそれぞれ海を楽しんでいる。
岩場のあちこちを見回しているのは月見野先輩。
黒のシンプルなワンピースの水着だが、細かいところに色々装飾的な穴があいているのがちょっと微妙に下着っぽくてエロい。
砂浜の手前でバチャバチャやっているのが香緒里ちゃん。
由香里さんが用意したと聞いてとんでもない水着の可能性も考慮していたが、普通に可愛らしい白地に水色の花模様が散りばめられたビキニだ。
ビキニと言っても肉感的な奴でなく、上も下もひらひらな布がついた可愛い系。
かなり遠い所で潜ったり息をしに水面に出たりしているのが鈴懸台先輩だろう。
常に水に浸かっているので水着は不明。
以前食糧難で魚捕りをした時、皆から海に入れない理由を色々聞いた気がする。
あれは俺の聞き違いだったのだろうか。
皆、海を楽しんでいるようにしか見えない。
まあ深く追求する必要はないけれど。
何せ香緒里ちゃんが作業しているのは俺の工房だ。
だからすぐに分かる。
今、香緒里ちゃんがやっているのは必要な理論の収集。
バネに魔法をかける作業をやりながら、合間にネットで情報を収集している。
ちらっと見るとHEAT弾の構造とかAPFSDS弾の構造とか、そんな物騒な内容が表示されていた。
ちなみに高価な魔力貯蔵合金や濃縮魔力粉末、タングステンの棒材等も通販で届いている。
更に関係あるのかわからないが色々な化学剤まで。
一体何を作る気だ。
俺は見なかったことにしよう。いやしたいけれど。
「香緒里ちゃん、一体何を作るつもりなんだ?」
間違って事故でも起きたら大変だから一応聞いてみる。
「まだわからないです。取り敢えず可能性のあるものを一通り調べて、必要そうなものを揃えているんです」
まだ方針は決まっていない、と。
「それにしては色々高価なものまで買い過ぎじゃ?」
「お金に糸目をつける必要はないですから」
そうだった。
「一応核爆弾も考えたのですが、近距離だとどう制御してもこっちにも被害が出るので諦めたんです。あと戦車用徹甲弾の方式は汎用性が今ひとつ。由香里姉や鈴懸台先輩の魔法くらい汎用性がないと対抗できないです」
何に対抗する気だ一体。
由香里姉や鈴懸台先輩は敵じゃないだろう。
「とにかく、今一つの調査と研究が必要です」
そう言って香緒里ちゃんは自分用パソコンに向き直る。
まあ、夏休みなのに外泊も旅行もできないんだ。
いい暇つぶしの種が出来た位に思うのが正解かも。
そう思いつつ俺は自分の趣味の電子工作に戻る。
◇◇◇
翌朝9時、学生会幹部3人が俺と香緒里ちゃんがいる工房に現れた。
「せっかくの夏休みなのに工房と学生会室と寮の往復だけじゃつまらないだろ。遊びに行こうぜい!」
鈴懸台先輩がそう切り出す。
「でも私が危険だから学園外には極力出ないほうが良いって言われているんじゃないですか。まあ私が危険なら、私を置いていけばいいだけなのですが」
「香緒里さんを一人残すのもそれはそれで危険なのですわ。ですから行くのは皆一緒ですわよ」
「自衛隊の基地司令に話をつけてきたわ。可愛い女子高生3人で差し入れ持ってお願いしたら、簡単にOKしてくれたの」
由香里姉はそう言ってウィンクして見せる。
まさか魔力で脅迫していないよな。
ふとそう思ったが取り敢えずそれは言わない。
俺もいい加減この生活に飽きていたからだ。
「修はそのままで良いわね。香緒里の水着は取り敢えず用意したわ」
水着とは? それに自衛隊と話をつけてきたとは?
「久しぶりにこの車を動かすけれど大丈夫?」
「勿論、強いて言えばそろそろ軽油を使い切って新しいのを入れておいた方がいいです」
「わかったわ。帰りに入れればいいでしょ」
俺は頷く。
◇◇◇
「それじゃあ乗るわよ」
との事で皆でキャンピングカーに乗り込む。
例によって俺は助手席で由香里姉が運転席。
俺はリモコンで工房のシャッターを開ける。
「それでは、出発!」
香緒里姉はエンジンをかけた。
かつての金曜夕方のように学校を出る。
今回は坂をおりて港方向へ。港の岸壁で加速してから急上昇。
港の外れの大岩を超えてから、進路をやや左に向ける。
「今日の行先は」
「司令には聟島諸島内で許可を貰っているけどね、とりあえず今日は北之島かな。航空写真で見るとちょうどいい砂浜があるみたいだし」
既に北之島は見え始めている。
直線距離では10kmない。
なお聟島列島は魔法特区の聟島以外は全て無人島。
当然北之島にも住民はいない。
5分もしないうちに車は北之島に到着。
南西を向いた細長いビーチに駐車する。
「ここなら安全でしょ」
由香里姉の意見に俺は頷く。
背後は30m近い崖。左右は大岩。海側は岩が点在していて大きな船では接岸不可能。
来るなら小型ボートか俺達のように空からかしか方法がない。
運転席を出て後部スペースへ出るなり由香里姉は服を脱ぎだす。
「由香里姉、何を」
「ビーチなら水着でしょ」
だからといって俺の前で着替えないでくれ。
俺は慌てて外に逃走。
そこには笑っちゃうくらい手付かずの白い砂浜。
そして南国らしい水色に近い海が広がっていた。
既に由香里姉以外の3人は水着に着替えてそれぞれ海を楽しんでいる。
岩場のあちこちを見回しているのは月見野先輩。
黒のシンプルなワンピースの水着だが、細かいところに色々装飾的な穴があいているのがちょっと微妙に下着っぽくてエロい。
砂浜の手前でバチャバチャやっているのが香緒里ちゃん。
由香里さんが用意したと聞いてとんでもない水着の可能性も考慮していたが、普通に可愛らしい白地に水色の花模様が散りばめられたビキニだ。
ビキニと言っても肉感的な奴でなく、上も下もひらひらな布がついた可愛い系。
かなり遠い所で潜ったり息をしに水面に出たりしているのが鈴懸台先輩だろう。
常に水に浸かっているので水着は不明。
以前食糧難で魚捕りをした時、皆から海に入れない理由を色々聞いた気がする。
あれは俺の聞き違いだったのだろうか。
皆、海を楽しんでいるようにしか見えない。
まあ深く追求する必要はないけれど。
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