機械オタクと魔女五人~魔法特区・婿島にて

於田縫紀

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第5章 香緒里の護身具製作記

22 これで完成、最強護身具!

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 香緒里ちゃんがキャンピングカーに入ったまま、5分位経っても出てこない。
 だから俺は様子を伺ってみることにした。

「おーい香緒里ちゃん、大丈夫か?」

 キャンピングカーの中へ呼びかける。
 応答がない。

「おーい、大丈夫か?」

 やっぱり応答がない。

 嫌な予感がする。

 俺は開いたままの扉からキャンピングカーの中を覗き込む。
 まず見えたのは床の上に放り投げられたビキニの上下とタオル。
 そしてテーブルに広げたスケッチブックに向かって何かを書き連ねているような姿の香緒里ちゃん。
 全裸だ。

 全てを察した俺は気づかれないようにキャンピングカーから離れた。

 状況は大体想像がつく。
 おそらく香緒里ちゃんは何か作りたいものを思いついて、メモを取りたくてマイクロバス内へ来たのだろう。
 そしてメモを取ろうといつものスケッチブックとペンを取り出す。
 しかし思いつきの内容が長くてテーブルに向かって書きたくなる。

 でも水着が濡れていて直にシートに座るのはちょっとためらわれた。
 そこで水着を脱ぎ捨てタオルで体を拭いた後、思いつきを忘れないうちにと急いでメモを書き始めた。
 とにかく忘れたくなくて時間を惜しんで。

 謎は全て解けた!

 紳士な俺は何も見なかったことにしする。
 幸い香緒里ちゃんは俺に気づかなかったようだし。
 凄い集中力だ。

 俺は砂浜に腰掛ける。
 ちょっと向こうに気絶中の2人が見える。
 肩と腹の動きからちゃんと呼吸をしているのが分かる。
 うん大丈夫だ。

 しかしそれを見て、ふとさっき見てしまったものを思い出してしまう。
 小さくてもぷるんとした形のいいおっぱい
 ちょっととんがったその先。
 そして足の付け根に見えた薄い毛の茂み。
 いやいやまずい、まずいって。

 俺は海へ入り、海水で体を冷ましながら。
 ただひたすら時が経って落ち着くのを待つのだった。

 ◇◇◇

 そして3時間と少し経過した後。
 予想通り由香里姉と鈴懸台先輩が起きてきたので、俺達は無人島を後にして学校へと帰った。

 車に戻った時には既に香緒里ちゃんはメモを書き終えていた。
 ちゃんと服も着ていたし水着も片付いていて一安心だ。

 そして翌日午前10時頃。
 凄くにこやかな表情の香緒里ちゃんが由香里姉を連れて工房へ俺を呼びに来た。

「どうしたんだ、今日は」

「ついに思い通りの護身具が完成したんです」

 なるほど。
 昨日俺が帰った後完成させたのだろうか。
 だとしたら随分と早い出来だ。
 昨日朝の時点では概念設計すら出来ていなかった筈だから。

 何というか、嫌な予感がする。
 それでも確かめないより確かめたほうがいい。

「わかった。今行く」

 工房を閉めて、そして2人に就いていく。

「何処へ行くんだ?」

「学生会室です」

 なら階段を上ってすぐだ。
 その階段を途中、ふと俺は香緒里ちゃんのバックの紐部分に小さなファン付きの機械が付いているのを見つけた。
 旧式の野外用蚊取り器具っぽい形状だ。

「香緒里ちゃん、それは何だ? 屋外用蚊取り装置か」

 香緒里ちゃんは笑う。

「そんなものです。害虫処理用ですよ」

 そんな事を話しながら学生会室へ。
 鈴懸台先輩と月見野先輩が自席に座っていた。
 なので俺も同様に自分の席へと座る。

「じゃあ今日は、ついに香緒里の護身具が出来た件からだ」

 由香里姉がいつもの会議の時と同様に話し始めた。

「でも香緒里、今日はまだ演習場を借りていないけれどいいのか」

 香緒里ちゃんは頷く。

「ええ、あの路線で攻撃力を上げるのは止めました。威力が大きいと扱いにくくなりますし、筐体も大きく重くなりますから。まあ今までの護身武器も持ち歩いてはいるのですけれど。こんな感じで」

 ワンアクションでマジカルステッキを取り出して伸ばした。
 動作がかなり早くなっている。

「あとはこれですね」

 拳銃の取り出しも早い。

「この時点で既に護身は充分なんじゃないか?」

 俺のその言葉に、香緒里ちゃんは首を横に振った。


「こういった武器だと両手を塞がれたりした場合役に立たないです。だから両手を塞がれた場合でも、私の魔力を通すだけで発動する護身具を作りました」

 香緒里ちゃんのその言葉とともに、ふと部屋の照明が白くなった気がした。
 いや違う、この感覚は。
 思考力が、意識が少しずつ薄れていく……

「散布した加工済の魔力を使って、血液中に何か物質を作る魔法なのですね。確かにこれなら両手が使えなくても意識さえあれば起動できますわ」

 これは月見野先輩の声だ。かろうじてなんとか聞き取れる。

「流石月見野先輩ですね。この魔法でも影響なしなんですね」

「強制睡眠や麻痺の魔法を開発しているとね。どうしても薬物耐性が異常に強くなってしまいますのよ。バックに付けたその機械が散布機なのですね。そして血液中に作る物質は……この感じはプロポフォールでしょうか。わりと良心的な麻酔薬をお使いですね」

「そこまで分かるですか。流石です……」

 香緒里ちゃんと月見野先輩が話しているが俺にはこれ以上聞きとれない。
 既に俺の意識も消える寸前。

 確かにこれは最強かも……しれ……な……
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