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第13章 冬の終わり頃の、ある記念日に
59 単なる期末試験の日
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2月14日水曜日。学期末試験2日目。
俺は基本的に試験勉強はしない主義だ。
試験期間は、試験中に思い出せなかったり失敗した部分を復習するだけ。
だからいつもより勉強時間は少ないし、一夜漬け等からも無縁だ。
今日も試験時間前だが、まったりとパソコンで、対戦型ライフゲームの生存アルゴリズムをいじっている。
セルオートマトン型の放置型対戦ゲームだが、これがなかなか奥深くて面白い。
なお世間では2月14日はバレンタインデーとされているらしいが、あまり俺には関係ない。
今まで関係者全員配布型を含め、もらった相手は片手で計上可能だ。
ちなみに2進数を使えば0から31まで片手で数えられる。
使う必要は無いけれど。
魔法工学科の面々も、理系な為かあまりチョコ収集しているような感じはない。
むしろ皆で牽制しあっているような空気すらある。
5人しかいないクラス内女子も、甘い雰囲気を出している感じはまるでない。
まあこのクラスにはクラス内カップルがいないせいもあるけれど。
そんな空気のまま、3限までの試験時間が微妙に重苦しく過ぎていく。
本日は学生会もお休み。
なのでテストが終わっても行き場所がない。
むしろ学校内に残っていると、テストに関して不正が疑われる可能性すらある。
そんな訳でのんびり1人でマンションへ。
校内のあちこちで、渡したり渡されたりの儀式が行われている。
でも気にしてはいけない。
リア充死ねとか思ってもいけない。
むしろ生温かい目で見てあげるのが正解だろう。
彼らはきっとこの先、色々といらぬ苦労をするのだろうから。
彼らと彼女らの行く末に、呪いあれ。
あ、ちょっと本音が出てしまった。
幸いうちのマンションの台所は、今朝もチョコレートの臭いはしなかった。
多分俺とバレンタインとは縁がないのだろう。
例年通りだと、由香里姉と香緒里ちゃんからチョコを貰って終わり。
まったりのんびり帰ってみると、まだ誰も帰ってきていない。
4限まで試験がある香緒里ちゃんやジェニーはともかく、由香里姉は帰っていてもいいのだが。
特にやることもないので、自分の部屋で、今日のテストの反省箇所の復習でもすることにする。
◇◇◇
気づくと陽が大分傾いていた
時計を見ると午後4時30分。
リビングから複数人の気配がする。つまりもう皆帰ってきているのだろう。
俺も復習が一通り終わったので、机の上を片付け、リビングに向かう。
扉を開けた途端、俺は甘い香りに襲われた。
しかも妙に部屋の中が涼しい。
そしてリビングには、いつもの新旧学生会幹部ご一同が勢揃いしている。
どうやら何か作業していたのを片付けている様子だ。
お湯入りボールとかキッチンペーパーの箱とか、色々とテーブル上に残っている。
「惜しいな、あと3分待ってくれれば完璧だったのだが」
Tシャツホットパンツにエプロン姿の奈津希さんが、そう言って俺の方を見た。
何をやっていたかなんて甘い匂いですぐわかる。
間違いなくチョコレートの匂いだ。
「修も出世したわよね。こんなにたくさんの女の子から、手作りチョコを作って貰えるなんて」
「去年は由香里姉からの1個だけだったけどな」
その1個は味について、大変コメントしにくい代物だった。
チョコレートとは、こんな苦味とエグみをもった代物だったのか。
そう再認識してしまう程に。
「今年は講師の先生を招いて、材料配分から温度管理までしっかりやったから美味しいわよ」
講師の先生とは奈津希さんの事だろう。
確かに魔法で温度管理は自在だし、普段の料理の腕から見ても上手そうだ。
「さて、まずは私達からだな」
「いつもお世話になっていますからね」
と鈴懸台先輩と月見野先輩。
「すみません、ありがとうございます」
2人からはスマホ大のピンクのラッピング済み物体を頂く。
「次は私でしょうか」
風遊美さんのは少し高さのある箱。
「じゃあ私のも貰ってくださいれす」
ジェニーからは逆に平たい文庫本くらいの箱だ。
「今年の私のは自信作だぞ」
由香里姉のはファッション雑誌大の平たくて大きい箱。
「私のです」
香緒里ちゃんのは風遊美さんと同じ高さのある箱だった。
「さて、どうせならここで全部開封して中身を見てみない」
「いいね。ついでに少しずつ試食でも」
これは由香里姉と鈴懸台先輩。
確かにこの量のチョコは俺一人では食べ切れない。
「あれ、奈津希はチョコレートは無いのですか」
風遊美さんが気づく。
実は俺も気になっていたのだ。
奈津希さんからはまだチョコレートを貰っていない。
「後でわかるさ。それより修の貰ったチョコレートの見分会やろうぜ。修宛てじゃないけど僕のも放出するから」
そう言って奈津希さんは、どさどさと十数個のチョコレートを出す。
どう見ても今、俺が貰った分より遥かに多い。
「ちなみにこれが今日僕がもらった分。一緒に食べようぜ」
まあ、確かに奈津希さんはボーイッシュだし見た目もいいし、女の子受けしそうだ。
彼女がいた時期もあると聞いているし。
「いいのこれ」
「今は特定の彼女はいないしね。一応貰った子はちゃんと控えているし、ホワイトデーには手作りクッキーでもお返しするさ。その時は手伝ってやるから修も一緒に作ろうぜ」
俺は基本的に試験勉強はしない主義だ。
試験期間は、試験中に思い出せなかったり失敗した部分を復習するだけ。
だからいつもより勉強時間は少ないし、一夜漬け等からも無縁だ。
今日も試験時間前だが、まったりとパソコンで、対戦型ライフゲームの生存アルゴリズムをいじっている。
セルオートマトン型の放置型対戦ゲームだが、これがなかなか奥深くて面白い。
なお世間では2月14日はバレンタインデーとされているらしいが、あまり俺には関係ない。
今まで関係者全員配布型を含め、もらった相手は片手で計上可能だ。
ちなみに2進数を使えば0から31まで片手で数えられる。
使う必要は無いけれど。
魔法工学科の面々も、理系な為かあまりチョコ収集しているような感じはない。
むしろ皆で牽制しあっているような空気すらある。
5人しかいないクラス内女子も、甘い雰囲気を出している感じはまるでない。
まあこのクラスにはクラス内カップルがいないせいもあるけれど。
そんな空気のまま、3限までの試験時間が微妙に重苦しく過ぎていく。
本日は学生会もお休み。
なのでテストが終わっても行き場所がない。
むしろ学校内に残っていると、テストに関して不正が疑われる可能性すらある。
そんな訳でのんびり1人でマンションへ。
校内のあちこちで、渡したり渡されたりの儀式が行われている。
でも気にしてはいけない。
リア充死ねとか思ってもいけない。
むしろ生温かい目で見てあげるのが正解だろう。
彼らはきっとこの先、色々といらぬ苦労をするのだろうから。
彼らと彼女らの行く末に、呪いあれ。
あ、ちょっと本音が出てしまった。
幸いうちのマンションの台所は、今朝もチョコレートの臭いはしなかった。
多分俺とバレンタインとは縁がないのだろう。
例年通りだと、由香里姉と香緒里ちゃんからチョコを貰って終わり。
まったりのんびり帰ってみると、まだ誰も帰ってきていない。
4限まで試験がある香緒里ちゃんやジェニーはともかく、由香里姉は帰っていてもいいのだが。
特にやることもないので、自分の部屋で、今日のテストの反省箇所の復習でもすることにする。
◇◇◇
気づくと陽が大分傾いていた
時計を見ると午後4時30分。
リビングから複数人の気配がする。つまりもう皆帰ってきているのだろう。
俺も復習が一通り終わったので、机の上を片付け、リビングに向かう。
扉を開けた途端、俺は甘い香りに襲われた。
しかも妙に部屋の中が涼しい。
そしてリビングには、いつもの新旧学生会幹部ご一同が勢揃いしている。
どうやら何か作業していたのを片付けている様子だ。
お湯入りボールとかキッチンペーパーの箱とか、色々とテーブル上に残っている。
「惜しいな、あと3分待ってくれれば完璧だったのだが」
Tシャツホットパンツにエプロン姿の奈津希さんが、そう言って俺の方を見た。
何をやっていたかなんて甘い匂いですぐわかる。
間違いなくチョコレートの匂いだ。
「修も出世したわよね。こんなにたくさんの女の子から、手作りチョコを作って貰えるなんて」
「去年は由香里姉からの1個だけだったけどな」
その1個は味について、大変コメントしにくい代物だった。
チョコレートとは、こんな苦味とエグみをもった代物だったのか。
そう再認識してしまう程に。
「今年は講師の先生を招いて、材料配分から温度管理までしっかりやったから美味しいわよ」
講師の先生とは奈津希さんの事だろう。
確かに魔法で温度管理は自在だし、普段の料理の腕から見ても上手そうだ。
「さて、まずは私達からだな」
「いつもお世話になっていますからね」
と鈴懸台先輩と月見野先輩。
「すみません、ありがとうございます」
2人からはスマホ大のピンクのラッピング済み物体を頂く。
「次は私でしょうか」
風遊美さんのは少し高さのある箱。
「じゃあ私のも貰ってくださいれす」
ジェニーからは逆に平たい文庫本くらいの箱だ。
「今年の私のは自信作だぞ」
由香里姉のはファッション雑誌大の平たくて大きい箱。
「私のです」
香緒里ちゃんのは風遊美さんと同じ高さのある箱だった。
「さて、どうせならここで全部開封して中身を見てみない」
「いいね。ついでに少しずつ試食でも」
これは由香里姉と鈴懸台先輩。
確かにこの量のチョコは俺一人では食べ切れない。
「あれ、奈津希はチョコレートは無いのですか」
風遊美さんが気づく。
実は俺も気になっていたのだ。
奈津希さんからはまだチョコレートを貰っていない。
「後でわかるさ。それより修の貰ったチョコレートの見分会やろうぜ。修宛てじゃないけど僕のも放出するから」
そう言って奈津希さんは、どさどさと十数個のチョコレートを出す。
どう見ても今、俺が貰った分より遥かに多い。
「ちなみにこれが今日僕がもらった分。一緒に食べようぜ」
まあ、確かに奈津希さんはボーイッシュだし見た目もいいし、女の子受けしそうだ。
彼女がいた時期もあると聞いているし。
「いいのこれ」
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