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第2章 ケカハの土地神 第5話 受け入れの準備
22 衛生対策と通貨用金属と
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現在は村の設計をしながら、あちこちを整えている。
この村のコンセプトは、『21世紀日本の基準からみても、住み心地がいい異世界』とした。
その為に重視した点のひとつは、衛生面。
重要なのは水だ。
上水と下水をしっかり分ける事。そして清潔を保つこと。
上水、生活用水は、極力魔法で出してもらう方針にする。
近くに用水等があれば、魔法の出力制限にひっかかる事はまず無いそうだ。
それに魔法で出した水は、細菌やウィルス等を気にしなくていい安全なものらしい。
トイレの場所や浸透装置等は、極力生活用水から離して設置。
あと肥えの肥料としての使用は、禁止する。
効果がある事はわかっているけれど、流行病等が出た時に致命的だから。
肥料は堆肥を作ったり、緑肥を活用したりで何とかして貰おう。
生活雑排水、たとえば調理や風呂、洗濯で使用した水は、排水施設を整備して最下流の溜め池へ。
この辺は薪炭林やオリーブ林の水源となるとともに、農作業や生活用の水を魔法で出す際の水源として活用する予定。
あとはやっぱり風呂で、身体を清潔に保つこと。
風呂は新たな魔法によって、実現可能となった。
この魔法、元はちょっとした思いつきだ。
魔法で使用出来る熱量は、1,200kcalまで。
しかし程よく乾燥させた狭葉樫の薪は、燃やすと1kgあたり4,800kcalの熱量を発生させる。
なら乾燥させた薪を代償にして、発生する熱を他に移すという魔法は可能だろうか。
すぐに全知が反応した。
『前例はありません。ですが理論上は可能です……問い合わせが完了しました。熱量交換魔法として定義しました。
① 薪などの代償となる物質を所持し、
② 対象となるものと必要な温度を認識して
③ 熱量交換魔法を認識すると
④ 必要な熱量の分、代償となる薪等が燃え尽きた状態となり
⑤ 対象となるものが必要な温度となります
⑥ ただし代償が必要な熱量に足りない場合、その範囲内での熱量が使用されることになります
この熱量交換魔法なら、神力の消費を10kcal以内に抑えて、それなりの出力の熱魔法を起動可能です』
これで薪と水があれば、風呂釜がなくても風呂を沸かす事が可能になった訳だ。
ただ幾つか気になった事があったので、確認しておきたい。
まずは今の、『問い合わせ』とは、何だろう。
『回答出来ません。維持神以上の専権事項です』
回答拒否は、はじめてだ。
何かある気がするけれど、今は追及する必要はあまりないし、追及材料も足りない。
とりあえず拒否にあった事を覚えておいて、次の疑問を考える。
今の用例では熱量交換魔法を、対象を加熱するのに使用した。なら対象を冷やすのにも使用出来ないだろうか。
『可能です。ただし冷やす場合は、移動する熱量より2割多い熱量を、薪等で消費することとなります』
なら冷やす場合であっても、薪が灰になる事はかわらない訳か。
『その通りです』
微妙にどこかひっかかる。
でもとりあえず、これで風呂の熱源問題は解決だ。
浴槽と排水装置は、各家に造っておけばいい。
そして風呂以外の事についても、あれこれ考えて準備する。
住民に与える魔法について、風呂関係以外も考慮して決めるとか。
鍋釜や農具、武器に必要な鉄を得るため、砂浜を歩いて砂鉄を採取したりとか。
住宅地と排水路、排水貯水池を整備したりとか。
ある程度水が恒常的に得られた場所に樹木を植えたりとか。
全知でもわからない事は1日1回の食事会で、アルツァーヤやキンビーラに尋ねる。
あとセキテツとの境と新しく作った村の間に、道路を作った。
これは移住者移動用の他、村がある程度栄えだしたら、商人を呼ぶ為だ。
アルツァーヤによると、セキテツ内で通用する貨幣があり、小規模ながら商業も存在しているそうだ。
「貨幣は金属性の硬貨です。セキテツには幾つか金属の原料となる鉱石が出る場所がありますので、私が採掘して精錬し、硬貨やインゴットを作っております。
主要な作物や金属製品については、町や村ごとに交換レートが決まっています。村や町の場所によって交換レートが異なりますので、その分が商人の儲けとなる仕組みですわ」
『セキテツでは金、銀、銅、鉄のいずれも算出します。ですがケカハでは、浜で集める砂鉄以外に、算出する金属はありません』
本当だろうか。
前世の香川県には、確かに金銀銅どれも鉱山は無かった。
しかし戦時中には、坂出のすぐ側にある金山で、ボーキサイトを採っていたのだ。
こういった、この世界ではまだ使われていない金属の鉱石が採れる場所が、ケカハにはないだろうか。
『アルミの原料となるボーキサイトなら、此処から北東5kmにある山の北側で採取可能です。人間は精錬できませんが、神なら全在で精錬が可能です』
アルミか。
これも香川県と同じだけれど、軽いし、硬貨としてはどうだろう。
元日本人の私としては、どうしても一円玉のイメージが強くて、安物という感じしかしない。
『金属としては柔らかく軽く融点が低いですが、他にはない金属ですので、偽造防止という意味では有効です。ただし現在流通していない金属ですから、価値は未知数です』
なるほど。
取り敢えず信用通貨として、ケカハ内だけで流通させる分にはいいだろう。
1,000人程度では、通貨の必要性は無い気がするから、使うかどうかはわからないけれど。
※ 坂出のボーキサイト
坂出の街の南東部にあり、今はハイキングコースがある金山の、山頂近くに分布する赤褐色の粘土層から採取された。
ただし戦時中、南方を抑えられてアルミ資源が不足した時代に採取されただけで、戦後はあっさり廃鉱。
なお金山は、鉱物としてはボーキサイト(を構成する主要鉱物であるギブス石)よりも、サヌカイト(カンカン石)で有名。
この村のコンセプトは、『21世紀日本の基準からみても、住み心地がいい異世界』とした。
その為に重視した点のひとつは、衛生面。
重要なのは水だ。
上水と下水をしっかり分ける事。そして清潔を保つこと。
上水、生活用水は、極力魔法で出してもらう方針にする。
近くに用水等があれば、魔法の出力制限にひっかかる事はまず無いそうだ。
それに魔法で出した水は、細菌やウィルス等を気にしなくていい安全なものらしい。
トイレの場所や浸透装置等は、極力生活用水から離して設置。
あと肥えの肥料としての使用は、禁止する。
効果がある事はわかっているけれど、流行病等が出た時に致命的だから。
肥料は堆肥を作ったり、緑肥を活用したりで何とかして貰おう。
生活雑排水、たとえば調理や風呂、洗濯で使用した水は、排水施設を整備して最下流の溜め池へ。
この辺は薪炭林やオリーブ林の水源となるとともに、農作業や生活用の水を魔法で出す際の水源として活用する予定。
あとはやっぱり風呂で、身体を清潔に保つこと。
風呂は新たな魔法によって、実現可能となった。
この魔法、元はちょっとした思いつきだ。
魔法で使用出来る熱量は、1,200kcalまで。
しかし程よく乾燥させた狭葉樫の薪は、燃やすと1kgあたり4,800kcalの熱量を発生させる。
なら乾燥させた薪を代償にして、発生する熱を他に移すという魔法は可能だろうか。
すぐに全知が反応した。
『前例はありません。ですが理論上は可能です……問い合わせが完了しました。熱量交換魔法として定義しました。
① 薪などの代償となる物質を所持し、
② 対象となるものと必要な温度を認識して
③ 熱量交換魔法を認識すると
④ 必要な熱量の分、代償となる薪等が燃え尽きた状態となり
⑤ 対象となるものが必要な温度となります
⑥ ただし代償が必要な熱量に足りない場合、その範囲内での熱量が使用されることになります
この熱量交換魔法なら、神力の消費を10kcal以内に抑えて、それなりの出力の熱魔法を起動可能です』
これで薪と水があれば、風呂釜がなくても風呂を沸かす事が可能になった訳だ。
ただ幾つか気になった事があったので、確認しておきたい。
まずは今の、『問い合わせ』とは、何だろう。
『回答出来ません。維持神以上の専権事項です』
回答拒否は、はじめてだ。
何かある気がするけれど、今は追及する必要はあまりないし、追及材料も足りない。
とりあえず拒否にあった事を覚えておいて、次の疑問を考える。
今の用例では熱量交換魔法を、対象を加熱するのに使用した。なら対象を冷やすのにも使用出来ないだろうか。
『可能です。ただし冷やす場合は、移動する熱量より2割多い熱量を、薪等で消費することとなります』
なら冷やす場合であっても、薪が灰になる事はかわらない訳か。
『その通りです』
微妙にどこかひっかかる。
でもとりあえず、これで風呂の熱源問題は解決だ。
浴槽と排水装置は、各家に造っておけばいい。
そして風呂以外の事についても、あれこれ考えて準備する。
住民に与える魔法について、風呂関係以外も考慮して決めるとか。
鍋釜や農具、武器に必要な鉄を得るため、砂浜を歩いて砂鉄を採取したりとか。
住宅地と排水路、排水貯水池を整備したりとか。
ある程度水が恒常的に得られた場所に樹木を植えたりとか。
全知でもわからない事は1日1回の食事会で、アルツァーヤやキンビーラに尋ねる。
あとセキテツとの境と新しく作った村の間に、道路を作った。
これは移住者移動用の他、村がある程度栄えだしたら、商人を呼ぶ為だ。
アルツァーヤによると、セキテツ内で通用する貨幣があり、小規模ながら商業も存在しているそうだ。
「貨幣は金属性の硬貨です。セキテツには幾つか金属の原料となる鉱石が出る場所がありますので、私が採掘して精錬し、硬貨やインゴットを作っております。
主要な作物や金属製品については、町や村ごとに交換レートが決まっています。村や町の場所によって交換レートが異なりますので、その分が商人の儲けとなる仕組みですわ」
『セキテツでは金、銀、銅、鉄のいずれも算出します。ですがケカハでは、浜で集める砂鉄以外に、算出する金属はありません』
本当だろうか。
前世の香川県には、確かに金銀銅どれも鉱山は無かった。
しかし戦時中には、坂出のすぐ側にある金山で、ボーキサイトを採っていたのだ。
こういった、この世界ではまだ使われていない金属の鉱石が採れる場所が、ケカハにはないだろうか。
『アルミの原料となるボーキサイトなら、此処から北東5kmにある山の北側で採取可能です。人間は精錬できませんが、神なら全在で精錬が可能です』
アルミか。
これも香川県と同じだけれど、軽いし、硬貨としてはどうだろう。
元日本人の私としては、どうしても一円玉のイメージが強くて、安物という感じしかしない。
『金属としては柔らかく軽く融点が低いですが、他にはない金属ですので、偽造防止という意味では有効です。ただし現在流通していない金属ですから、価値は未知数です』
なるほど。
取り敢えず信用通貨として、ケカハ内だけで流通させる分にはいいだろう。
1,000人程度では、通貨の必要性は無い気がするから、使うかどうかはわからないけれど。
※ 坂出のボーキサイト
坂出の街の南東部にあり、今はハイキングコースがある金山の、山頂近くに分布する赤褐色の粘土層から採取された。
ただし戦時中、南方を抑えられてアルミ資源が不足した時代に採取されただけで、戦後はあっさり廃鉱。
なお金山は、鉱物としてはボーキサイト(を構成する主要鉱物であるギブス石)よりも、サヌカイト(カンカン石)で有名。
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