神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀

文字の大きさ
50 / 84
第11話 乾期を前にして(第2章エピローグ)

50 エピローグ

しおりを挟む
 ミョウドーのというか、ナハルの後始末が一段落した12月。
 ケカハの方は、これ以上ない位に順調だ。

「豆や芋は想定以上に豊作でした。これは魔法のおかげで、1人1人が作業できる面積が大幅に増えた事、畑が1年目なので土質がいい事が理由だと思われます」

「猪や鹿、その他の野生動物で肉もかなりの量を確保して貯蔵出来ています。何というか、去年の秋までが嘘だったようです」

「食料の貯蔵量は、500人が初夏の収穫期まで過ごすのに充分な程度です。ですが肉類は長くても半年しか持ちません。この辺りについては、島嶼部やセキテツ、ミョウドー等へ交換に行ってもいいかと思われます」

 以上、ビブラム、クエルチェ、そして倉庫番のエイダンによる報告だ。

 雨期に入ったおかげで、各所に造った溜め池にはきっちり水が貯まっている。洪水の兆候も今のところない。
 曲がりくねった川を直線にして、浚渫して、高い堤防を造る。これだけでもかなりの洪水抑止効果があるようだ。

 ◇◇◇

 ミョウドーの方も、それなりに手を入れた。
 ミドチ川とナガ川とカツーラ川それぞれの本流と大きめの支流について、できる限り直線化し、川底を浚渫し、高い堤防を造った。

 あとミドチ川の中流、ニシゴーと呼ばれていた地域にダムを造った。イメージ的には吉野川の池田ダムだ。

 ミドチ川の上流側はトサハタの領域だから、早明浦ダムに相当するダムを勝手に造る事は出来ない。

 なので池田ダム相当の場所にあるニシゴーダムは、日本に実在する池田ダムを越え、早明浦ダム並に巨大なものとさせて貰った。

 此処からケカハ用水が、ケカハ側へと延びていて、その先はこの村をはじめとしたケカハ平野一帯へと通じるように造ってある。
 
 ミョウドーの統治組織についても手を出した。
 此処は太政官庁と神祇官庁という2つの官僚組織で統治していた。
 しかし神祇官庁は、世襲の長官が神勅を好き勝手に発令してやりたい放題。太政官庁も長官をはじめ、重臣の3割が腐っていた。

 なので神の強権を発動。神祇官庁は廃止し、太政官庁の重臣も能力や性格、言行に問題無い者にすげ替え。
 あとは基本的に替えた者によって、改革を進めて貰うという方針だ。 

 元神祇官庁長官とか元重臣連中が反乱を起こそうとしたので、山奥の辺境に造った幾つかの村へさっくりと移動させて隔離。
 隔離した以外の全住民に魔法を授与し、使用方法や使用上の注意等を神託で伝えた。

 その後も全知である程度は様子を見ておくけれど、ここから先は基本的には現地任せ。

 強いて言えば通貨のデザインを造り替えたことくらいだ。
 この世界では通貨は神が製造して、人に下賜するものとなっている。
 神の信用のもとに流通するという意味があるらしい。

 そしてミョウドーの現在の通貨、具体的には大金貨、小金貨、大銀貨、小銀貨、銅貨のデザインは、表がナハルの横顔で、裏が金額を表す数字。

 太政官庁の皆様は、可能な限り早期にナハルの横顔から変更したいと主張した。
 よっぽどナハルは嫌われていたようだ。 

 しかし自分の顔なんて、硬貨にまでして流通させたいと思わない。
 太政官庁の担当者にせっつかれ、硬貨にちょうどいい円形のデザインとして思い浮かんだのが、前世の『うどん県県章』だった。
 具体的に言うと丼に入ったうどんのマークだ。

 他に思いついたのが、ヤドン入りのポケモンマンホールとかだったので仕方ない。
 この世界では任天堂に怒られる事はないと思うけれど。

 絵柄については『かつて私がいた神の国で一般的だった食事を図案化したもの』と説明しておいた。
 そんな訳で現在は、うどん県っぽいケカハではなく、その隣のミョウドーにうどん県県章入り通貨が流通している。

 ◇◇◇

 ミョウドーで太政官庁と神祇官庁に手を出した事は、ビブラム達、ケカハの村の幹部にも伝えている。

「9月に来るケカハの元住民についても、リーダーや統治体制に問題あると判断した場合、神の強権を発動して貴方達をトップやそれに準じる地位につける可能性があります。そのことは今のうちに承知しておいてください」

 先遣隊の幹部の皆さんは、それなりに能力があるし、人格的にも問題はない。
 本人達、具体的にはビブラム、イルザ、エイダンあたりが複雑そうな表情だったけれど、諦めて貰うとしよう。

 そんな感じで、ケカハとミョウドーの内政側は順調だ。少なくとも私の全知が関知する限りは、だけれども。

 現在は基本的に顕現1体で、ロシュやブルージュと暮らしている。
 後は昼間にセキテツとの境での昼食会に1体、他には必要に応じてケカハ各地やミョウドーの各地、ミョウドーの元ナハル居所に造った神社に顕現を出すという形で。

 一日に得られる神力も、何と4,000を超えた。ナハルと対決した頃の10倍以上で、その気になれば大規模土木工事等も思うがままに行える。

 ただ大規模工事はほとんど終わったので、今やっているのは工事の手直しと、金属精錬が主だ。

 ミョウドーはケカハより遙かに広く、鉱山資源が多い。
 なので貨幣に使用可能な金と銀、用途が多く使用量が多い鉄と銅を中心に、全在を使用して採掘、精錬してインゴットにする。

 これら金属は私がやる工事に使用したり、硬貨にしたり、村やミョウドーの太政官庁へと卸したり。
 私には全知と全在があるので、思い浮かべるだけで採掘からインゴット化まで出来る。
 だからまあ、そうたいした仕事じゃない。

 そんな感じで取り敢えず忙しくない程度にお仕事があり、それでいてロシュやブルージュとのスローライフも出来る。

 6日に一度のお休みの日に、ロシュ達、日によってはサレラやアルトラ、クエラといったロシュの友達も連れて、村の外へドライブ&ハイキングに行くなんて事もしている。

 神社の醸造試験所で作っている味噌や醤油、酒、みりんも、まもなく出来上がりそうだ。
 そうすればいよいよ、うどんを全村民に広げる事ができる。

 私にとって、理想的な生活だった。このまま延々と続いて欲しいと思っていた位に。

※ うどん県県章
  香川県の県章とは別物。具体的な形は、以下のページを参照。
 https://www.my-kagawa.jp/photo/10000446

※ ヤドン入りポケモンマンホール
  香川県の各地に存在する。以下のページによると18種類存在する模様。
 https://local.pokemon.jp/manhole/kagawa.html
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

スローライフ 転生したら竜騎士に?

梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。   

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

処理中です...