神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀

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第17話 セート海域攻防戦

70 セート海域防衛戦 ⑵

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 攻撃を仕掛けても、避けられてしまったら神力が無駄になる。
 神は全知と並列思考を使えるから、思考の隙をつくのは不可能に近い。
 ナハルくらい単純ならば話は別だろうけれど。

 攻撃するなら、あの刀で攻撃を仕掛けた時だろう。
 使用中なら急に収納したり位置を変えたりする可能性は低い。
 
 怪しまれてはまずいから、こちらから挑発等はしない。
 それでも機会を逃さないよう、並列思考のひとつと全知で常に奴を監視しておく。
 自領から見える範囲に居続けてくれるよう祈りつつ。

 なお見えている奴の神力は55万ちょっと。予想よりも15万以上高い。
 そして此処にいるキンビーラの神力は40万ちょっと。私の神力と、あと木材分の魔力をあわせてもぎりぎり奴には届かない。

 それに神を倒すのは困難だ。
 見えている顕現を倒しても、他に顕現がいるか現場が自分の領地だったりした場合は、消滅せず復活が可能だから。

 だから私達がすべき事は、モ・トーの心を折って戦闘から撤退させること。
 そう思った時だった。
 
『ハヤシマの東側海上上空に、巨大な山が出現しました』

 目視出来る場所だ。ただちに収納を念じつつ、近くに顕現を追加で出す。
 目視出来る範囲が広がったから、収納できる範囲そのものは広くなった。しかし神力が増えた訳ではないから、収納できる速度は変わらない。

 最初に出した山は、海底に着くまでに消し終えた。しかしその頃には既にその向こうに、同程度の山が出現している。
 その山を消し終える直前に、手前に山を出された。これでは奥の、より速く着底しそうな山を消せない!

「コトーミは見える範囲でいいから収納してくれ。海底近くは私がやる」

「わかりました」

 分散思考、更には顕現を更に西に出して収納作業を続ける。
 海が時に土で赤く濁るが、そちらにかまっている余裕はない。
 私とキンビーラの神力を合わせたより、モ・トーの方が神力は上だ。だから少しずつ、海上に落ちる土や岩が増えてしまう。

 どれほどの土や岩をモ・トーは収納しているのだろう。このまま出尽くすまで、耐えられるか。それとも埋められて終わるか。

 埋められてもそこで終わりという訳ではない。後でまた削るという選択肢は残っている。
 だから今はまず、収納に徹することだ。そう思いつつ、必死で収納を仕掛ける。

 だが、やはりモ・トーの方が早い。ビシューとハヤシマの間は、確実に埋め立てられていく。
 キンビーラは全力で収納をかけつつ、並列思考で高波を出して新たな土地を削っている。
 それでも、埋め立ての方が早い。

 結果、ハヤシマとビシューの間は、幅2km以上に渡って埋め立てられてしまった。
 更には東西に巨大な堤防まで出来て、高波ですらおいそれと削れない状態になってしまう。
 
「それではタケヤ様が為に、モ・トー、参る!」

 モ・トーの姿が消え失せる。
 次の瞬間、埋め立て地のハヤシマ直近端、最初に私達がいた場所のすぐ先に出現。
 そこで奴は、刀を横なぎに振るった。
 ハヤシマの標高30m以上くらいの部分が斬られて、崩れる。

 これを放置した場合、崩れる土砂で谷向こうに広がる畑や家、港が埋まってしまう。
 私は刀の延長を避けつつ、とっさに崩れた土砂を収納してしまった。
 その分海側の土砂を収納する速度が遅れ、更に埋め立ては進んでしまう。

 失敗したかもしれない。
 今はきっと、あの刀を狙うべきだった。
 このままあの刀と埋め立て攻撃を同時進行されてはまずい。

 そう思ったところで、モ・トーが刀を構えた。

「避けたか。ならば更に低く削るまで」

 刀を振るうその瞬間、私は攻撃を起動した。

『ふりゆくものは我が身なりけり』

 私自身を一本の槍と化す、一番突破力が高い攻撃。
 ただし今回はただの槍ではない。

『薪3,000,000本の高熱!』

 ちょうどいい和歌を思い出す余裕が無かったので、直接的で趣がない。
 なんて思うとほぼ同時に、モ・トーの太刀とわたしはぶつかった。強烈な衝撃。ほぼ全力でぶつかったのだから当然だ。

 熱が太刀を赤熱させて曲げ、そして折った。それを感じた直後、私は元の場所へ移動するとともに、いつもの姿に戻る。

『モ・トーの太刀は折れ曲がりました。これで神器として威力を発揮出来ません。ただしコトーミも今の攻撃と自ら受けた被害で、神力と薪を大量に消費しました。残り神力は29,216。薪は残り512本です』
 
 一万以上の神力と、薪のほとんどを持って行かれた。
 被害甚大ではあるが、これでもう刀による攻撃は使えまい。
 さて、これでモ・トーは諦めて撤退するだろうか。

 モ・トーの埋め立て攻撃が止まった。
 ただ見た限り諦めというより、茫然自失という感じだ。
 すかさずキンビーラからの攻撃が奴を襲った。
 奴は倒れかかるが、そこで踏みとどまる。

『モ・トーの顕現は422,913まで減少しましたが、すぐに500,000まで回復しました。領地や他の顕現から神力を補充したと思われます。
 なお右にいるキンビーラの顕現は351,214です。おそらく現在の全力に近いと思われます』

 私の神力は3万残っていない。神力の差は歴然としている。
 そしてモ・トーが撤退しそうかというと……
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