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開発中止:猛暑
今日は開発お休み。夏、暑すぎ。朝からむわっとした空気が部屋にこもって、昼にはもう何もやる気が出なくなっていた。エアコンはとっくに全開、カーテンも閉めきって、室内は薄暗い。もういくつ目か、アイスをふたりで分け合いながら、それでも汗ばんでいるのは、テオドールがぴったり膝の上に座っているからだ。
「だーーーりん」
「テオドーーール」
呼び合う声もどこか間延びしている。テオドールはTシャツ一枚、下は短パンすら履いていない。腿が汗ばんで、肌と肌がしっとり貼りついている。抱え込むように腕を回しているから、余計に暑い。それでも膝の上から降りようとする気配はない。
「暑いんだけど」
「……膝の上から退けばいいんじゃないか?」
ごく当たり前の指摘をしたら、すぐに反論が飛んできた。
「夏だからってオレのこと捨てるんだ!?」
ギャンッと吠えるやいなや、腕にぎゅっとしがみついてくる。汗ばんだ肌がさらに密着し、こちらの体温がまた上がる。
「はー……誰が捨てるなんて言った」
「言ったも同然だ。オレは冷房より膝の上がいいの」
甘える声はやや鼻にかかっている。暑さでぐったりしながらも、こういうときだけはしっかり絡んでくるあたりがテオドールらしい。普段気が乗らないときはすぐに逃げるくせに。しかも、半溶けのアイスを口に含んではこちらに押しつけてくるものだから、さらに厄介だ。
「んー、ちょっとだけ冷たいでしょ……舐めて」
不意に顎を引いて、艶っぽい目を向けてくる。唇の端に滴ったアイスがつっと伝うのを、思わず指先でぬぐってしまう。甘やかしすぎている気もする。いやほら、いまベタベタになると、俺まで被害が、うん。
「……暑いんだろ」
「だから、こうして冷やすの」
何とも理屈の通らない甘え方だ。だが、ひと撫でしてやれば、気持ちよさそうに喉を鳴らすし、そうしてまた密着してくるのだから、結局は拒めずにいる。
「だって、こうしてるほうが落ち着くし、安心するし、夏でもくっついていたいし……ね、オレなんか悪い?」
「悪かねぇよ」
ぬるつく肌を重ねながら、だらだら、どちらともなくキスしたり。それで十分だった。俺は、十分だったけど。
「……ねー、ダーリン♡」
耳元に甘ったるい声が落ちてきた。汗ばんだ体を擦り寄せてくるテオドールは、どうにも暑さにやられてテンションが妙に低く、妙に甘い。そのくせ、ついさっきまでは「暑い」「しんどい」と文句ばかり言っていたくせに、アイスで冷えた唇をそっと首筋に当ててきたりするものだから、こちらの理性が危うい。
ちらりと見下ろせば、頬はほんのり上気し、瞳はとろんと色づいている。密着しているせいで、柔らかな体温と汗の匂いが、鼻をくすぐる。アイスの甘い香りも相まって、暑さのなかに淫靡な空気が漂ってきた。
「無理」
だからといってヤル気はない。手で額をぐい、と押さえて距離を取ろうとするが、テオドールはしなだれるようにさらに腕のなかに収まってくる。
「えー、なんで……♡ダーリンのちんぽ、ちょっと硬くなってるの、知ってんだけど♡」
Tシャツ一枚の恋人がこの距離だぞ。どうしたって反応してしまうのは仕方ない。けれど、さすがに今日ばかりは無理だった。
「……熱中症で腹上死はダサすぎる」
息も絶え絶えになりながら吐き出す。室温は下げているはずなのに、テオドールの熱っぽい甘え方とべったりした肌触りで体温は上がるばかりだ。こんな状態で抱き合って事に及ぼうものなら、どちらが倒れてもおかしくない。というかテオドールが死にかねん。
「確かに? ダーリンに抱かれて死ぬとかウケる、やめとこ。でも撫でて、いいでしょ」
「撫でるくらいで済むならな」
言いながら、ゆっくりと背中を撫でてやる。ふにゃりと甘えた声を漏らしながら、ますます膝の上でくつろいでいくテオドールに、頭を抱えつつ、夏の熱帯夜はまだまだ続きそうだった。
「だーーーりん」
「テオドーーール」
呼び合う声もどこか間延びしている。テオドールはTシャツ一枚、下は短パンすら履いていない。腿が汗ばんで、肌と肌がしっとり貼りついている。抱え込むように腕を回しているから、余計に暑い。それでも膝の上から降りようとする気配はない。
「暑いんだけど」
「……膝の上から退けばいいんじゃないか?」
ごく当たり前の指摘をしたら、すぐに反論が飛んできた。
「夏だからってオレのこと捨てるんだ!?」
ギャンッと吠えるやいなや、腕にぎゅっとしがみついてくる。汗ばんだ肌がさらに密着し、こちらの体温がまた上がる。
「はー……誰が捨てるなんて言った」
「言ったも同然だ。オレは冷房より膝の上がいいの」
甘える声はやや鼻にかかっている。暑さでぐったりしながらも、こういうときだけはしっかり絡んでくるあたりがテオドールらしい。普段気が乗らないときはすぐに逃げるくせに。しかも、半溶けのアイスを口に含んではこちらに押しつけてくるものだから、さらに厄介だ。
「んー、ちょっとだけ冷たいでしょ……舐めて」
不意に顎を引いて、艶っぽい目を向けてくる。唇の端に滴ったアイスがつっと伝うのを、思わず指先でぬぐってしまう。甘やかしすぎている気もする。いやほら、いまベタベタになると、俺まで被害が、うん。
「……暑いんだろ」
「だから、こうして冷やすの」
何とも理屈の通らない甘え方だ。だが、ひと撫でしてやれば、気持ちよさそうに喉を鳴らすし、そうしてまた密着してくるのだから、結局は拒めずにいる。
「だって、こうしてるほうが落ち着くし、安心するし、夏でもくっついていたいし……ね、オレなんか悪い?」
「悪かねぇよ」
ぬるつく肌を重ねながら、だらだら、どちらともなくキスしたり。それで十分だった。俺は、十分だったけど。
「……ねー、ダーリン♡」
耳元に甘ったるい声が落ちてきた。汗ばんだ体を擦り寄せてくるテオドールは、どうにも暑さにやられてテンションが妙に低く、妙に甘い。そのくせ、ついさっきまでは「暑い」「しんどい」と文句ばかり言っていたくせに、アイスで冷えた唇をそっと首筋に当ててきたりするものだから、こちらの理性が危うい。
ちらりと見下ろせば、頬はほんのり上気し、瞳はとろんと色づいている。密着しているせいで、柔らかな体温と汗の匂いが、鼻をくすぐる。アイスの甘い香りも相まって、暑さのなかに淫靡な空気が漂ってきた。
「無理」
だからといってヤル気はない。手で額をぐい、と押さえて距離を取ろうとするが、テオドールはしなだれるようにさらに腕のなかに収まってくる。
「えー、なんで……♡ダーリンのちんぽ、ちょっと硬くなってるの、知ってんだけど♡」
Tシャツ一枚の恋人がこの距離だぞ。どうしたって反応してしまうのは仕方ない。けれど、さすがに今日ばかりは無理だった。
「……熱中症で腹上死はダサすぎる」
息も絶え絶えになりながら吐き出す。室温は下げているはずなのに、テオドールの熱っぽい甘え方とべったりした肌触りで体温は上がるばかりだ。こんな状態で抱き合って事に及ぼうものなら、どちらが倒れてもおかしくない。というかテオドールが死にかねん。
「確かに? ダーリンに抱かれて死ぬとかウケる、やめとこ。でも撫でて、いいでしょ」
「撫でるくらいで済むならな」
言いながら、ゆっくりと背中を撫でてやる。ふにゃりと甘えた声を漏らしながら、ますます膝の上でくつろいでいくテオドールに、頭を抱えつつ、夏の熱帯夜はまだまだ続きそうだった。
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