王のはばたき

薄龍

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王の翼

トムラの伝説(ソーマの出港)

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ジンであるソーマは王の命でトムラに1番近い国、ヨム王国に行くことになった。ヨム王国はトムラ王国とは近しい仲で、トムラ王国を大飢饉が襲った時もヨム王国とその隣国のリク王国だけが長い間食料を支給してくれ、ヨム王国もリク王国も強国に引けを取らないだけの軍事力を持っていた。だが、今回のことは首を縦に振るか横に降るのかはソーマには分からなかった。龍をヨム王国やリク王国が守ってくれたとしてもヨム王国やリク王国にそれに見合うだけの見返りを出してやれないのだ。龍から贈られたものには限りがあり、ついこないだまで大飢饉が起こっていたトムラではそんなにたくさんの見返りを出すことはできないのだ。そのことがソーマを不安にさせ。また、船での航海はソーマの不安を日が経つごとに増幅させた。航海から3日も経つと夜がなかなか眠れなくなった。「ソーマ様しっかりしてください。もしソーマ様がこの交渉に失敗しても何の心配もいりません。私たちが全力でセキリュウを守ります。」何と心強いことだろう…さっきまで不安でいっぱいだったはずなのに今は交渉に成功することしか頭にない。それからの航海の日々は冒険のような気分だった。そして出港から7日間がたち太陽がちょうど頭の真上に来た頃、ヨム王国の港に着いた。
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