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肆ー禁断の逢瀬ー
しおりを挟む柳の左大臣と四の宮が結納の儀を行い、
一月が経ったある日ー。
宮「柳様、今宵も月が綺麗ですね」
柳「あぁ...そうだなぁ...」
宮「今宵は屋敷に泊まっていかれますか?」
柳「...宮も疲れてたであろう、今宵は我が屋敷に戻る」
宮「わかりました。では仕えの者に見送らせましょう」
柳「ありがとう」
宮「...っ!」
柳「どうした?」
宮「いえ...何も...」
柳「どうしたのだ?」
宮「よいのです。さぁ夜風も冷とうなります」
柳「あぁ...」
わかっているー。
宮が考えている事を。
結納の儀を行い、一月が経つが1度も
宮の家に泊まっていないー。
通い婚が常、1度も妻と夜を過ごさず帰るのは
宮にとっても心が痛むものだろうー。
柳「はぁ...心労が減らぬなぁ...」
ガサっ!!
柳「誰かそこにおるのか?」
葵「あ...」
柳「葵...ではないか」
葵「夜も深い時間にどこへお行きになられるのですか」
柳「...いや...」
葵「あぁ、四の宮様の屋敷が近うございましたね」
柳「...そうだ...そういうそなたは何をしておる?」
葵「女御様の寝付きが良くなく御薬を取りに」
柳「そうか...そなたも大変だな」
葵「仕えている身として当然でございます」
柳「宮中はどうだ?」
葵「女御様が御薬を待っておられます。わたくしはこれで」
柳「あぁ、すまぬ」
葵「柳様も夜道は暗うございますからお気をつけて」
ガっ!!
気づいたら葵の腕を握っていたー。
葵「...!?何をなさるのです?」
柳「葵...わたしはそなたのことがずっと...」
葵「おやめください。あなたは四の宮様の」
柳「静かにせよ」
葵「今すぐおやめを。」
柳「そなたを好いておるのだ...初めて会ったあの日から...」
葵「....っ!?」
柳「すまぬ...」
葵「わかりました...まずは女御様に御薬を渡して参ります」
柳「あぁ...」
目の前に葵がいるー
ずっと待ち焦がれた其の人がー。
葵「柳...様...」
柳「そう、かしこまるな葵」
そっと葵を抱き寄せたまま夜がふけたー。
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