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東京で借りているアパートについて、少し休憩を入れる。まだ暑さのある朝で、スーパーも開いていないから一旦眠ることにした。
「んん……、れん、らく、しとかない、と……」
一度、ベッドに横になるとすぐに眠気はやってきて、半分目を閉じたような状態でスマホをつつく。しかし、眠気に抗えずに気が付けばスコンと眠りに落ちてしまっていた。



「あ、寝てた……」
しばらくして自然と目が覚めて。グッと伸びをして起き上がると、すでにお昼ごろで、部屋の中はとても暑くなっていた。冷房を入れようと思い、リモコンを押す。そのまま寝汗をかいてしまったので着替えて買い物へ行く用意をした。
「さて、買い物行きますか」
リュックにマイバッグを詰め込んで、お財布の中身を確認し、玄関を閉めて家を出る。ここは共同玄関はオートロックではない普通のアパートなので、鍵を持っていなければ危険だ。スーパーまでの道のりを、これから後期になるなぁ、とかたくさん考え事をして歩いていく。スーパー内はひんやりとしていて、道中暑いとわかっていてカーディガンを着ていたけれど、あってよかったと思いながら買い物を始めた。
「今日はあれが安いな、あ、あとこれも」
ものによっては高いものもあって、買いづらい。大学生にもう一度なってから決めたことがある。それは自炊をできるだけすることだ。お弁当を買わないように気を付けている。本当に些細なことだけど、難しいことで。めんどくさいと思うこともたくさんあるし、どうしてもお弁当じゃないといけないときもあるから毎日必ずというわけではない。それでも、努力はしている。
「うん、これでよし」
すべての買い物を終わらせて、また帰路につけば、炎天下。さすがに歩く気力も失せる。それでも歩いて来ることのできる距離ではあるので、日傘をさして歩きだす。
「あっつい……」
もうすぐ9月になるというのに恐ろしい暑さだ。こんなとき、車を持ってくればよかったなんて思うことはある。なんとか遅くなりそうな歩みを一定にして歩き続け、家についた。部屋へ入るとほどよく冷えた空気が身体にあたって、冷房って涼しいと改めて思ってしまう。汗もたくさんかいてしまったので、服をすべて脱いで洗濯籠へ放り込み、お風呂に飛び込む。


「あ、そういえば連絡入れてないような……」
お風呂から上がり、髪の毛をタオルで拭いていると、そういえばと思い出した。連絡が返ってきていないから、とスマホを閉じて買い物に来た。でもよくよく考えてみると、私が送っていないだけかもしれないということに気が付いた。
「あ、やっぱり……」
案の定、送っていなかったので仁人さんと両親にメッセージを送り、買い物したものを片付ける。冷蔵庫に入れるべきものはお風呂に入る前に片付けておいたので、ほぼ、片付けるものはなかったが。
「仁人さん、今終わったんだ」
片付け終わってベッドに腰掛け、スマホをつついていると仁人さんからちょうどのタイミングで連絡がきた。
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