男装従者と転生悪役令嬢の受難

高福あさひ

文字の大きさ
9 / 57

09

しおりを挟む
「わぁ!!とっても綺麗な場所!」
「お嬢様、こちらに入るにあたっての許可証はお持ちでしょうか?」
「え、許可証?何それ?」
「このサロンは権限ある生徒様しか入ることはできません。どうぞ、お引き取りくださいませ」
 あの、ベインズ嬢が、この上流階級専用サロンにいる。ここは侯爵家以上の家格の子息令嬢しか利用できないようになっている。現時点で利用ができるのは全校生徒を合わせても両手ほどの人数だ。このご令嬢は伯爵令嬢だからここには入れない。
「えぇ~、ちょっとくらいいいでしょぉ?」
間延びしたような、特徴的な話し方をするベインズ嬢。これは追い返すのに骨が折れそうだと思う。
「ジュリア・ベインズ様、ね。ごきげんよう、わたくしはイザベル・ダンフォードと申しますわ。ノアも言っている通り、ここは伯爵家以下の貴族位の方は使用できないサロンなの。あなた方の使用できるサロンは別の場所にあります。そちらを今後はお使いになって?場所は違うけれど、どちらも素敵なサロンよ」
「あ、あんた!!悪役令嬢のイザベル!!ここにいるってことはランドルフ様もカーティス君もキースさんもいるってことね!?」
「イザベル様、お下がりください。ここは私が」
 顔色が少し悪くなったイザベル様をそっと背に庇い、前へ出る。まさか第一王子の婚約者で公爵令嬢のイザベル様をあんた呼びし、悪役と叫ぶとは。非常識にもほどがある。さっきの言葉で、一瞬にして後ろにいた主様方の機嫌が悪くなったのはここにいても感じられるほどだ。
「モブは引っ込んでてよ!!あたしはこの国の聖女様なんだよ!?」
「何をおっしゃられているのか、私には理解に苦しみます。聖女というのも現在ではおとぎ話の中だけのお話・・・、どこかお加減でも悪いのですか?」
敬うに値しない、と感じてからは言葉の端々に毒を乗せてみたが、このベインズ嬢には一切効かない。というより、自分にとって都合の悪い言葉は聞いていないような印象だ。まるで、世界の中心は自分とでも言いたげだし。
「なによ!!使用人の分際で!!」
顔を真っ赤にしたベインズ嬢が手を振り上げた、さすがにその手を防ぐのは従者という身分ではやりすぎか、とも思った。すでに無礼な口調はしているので遅い気もするけども・・・。
「そこまでだ、ベインズ嬢」
「っな!!」
イザベル様の侍女さんが先生を呼んできてくれたおかげで叩かれることはなかったが、少々反撃しすぎたか、と自己嫌悪する。どちらも傷つけるつもりはなかった。
「ノア、大丈夫か」
「私などのことよりも、イザベル様が・・・。申し訳ありませんでした」
「ノア、あなたのせいじゃないわ。それにあなたはちゃんと私を庇ってくれた。ありがとう」
「俺からも、礼を言う。ありがとう、ノア」
「申し訳ありません・・・。ふがいないばかりに・・・」
もう少し、やり方はあったはずだ。最善選べなかった、それは私の責任。
「ノア、もういい」
「はい・・・」
主様にも呆れられた。これじゃあオルブライト家にもアークライト家にも泥を塗ってしまう。塗ってしまったが最後、私は主様のお側にはいられない。なんとしても挽回しなければ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

わたしのヤンデレ吸引力が強すぎる件

こいなだ陽日
恋愛
病んだ男を引き寄せる凶相を持って生まれてしまったメーシャ。ある日、暴漢に襲われた彼女はアルと名乗る祭司の青年に助けられる。この事件と彼の言葉をきっかけにメーシャは祭司を目指した。そうして二年後、試験に合格した彼女は実家を離れ研修生活をはじめる。しかし、そこでも彼女はやはり病んだ麗しい青年たちに淫らに愛され、二人の恋人を持つことに……。しかも、そんな中でかつての恩人アルとも予想だにせぬ再会を果たして――!?

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...