私にだけ見える選択肢が人生強制終了しかないんだけど

高福あさひ

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「わたしは、あなたにふさわしくない」

思い切って、はっきりと口にする。あの人たちの血が入っている私という存在が、私は認められないし好きになれない。

「それを決めるのは、俺だよ。そもそも、ふさわしいかふさわしくないかは、問題にすらならない」

前世以前は長く生きられた時もあればそうでなかったときもあるけれど、どの人生も必ず愛されて育った。その記憶があればなんだって乗り越えられる、そのはずだった。

現実は、全然乗り越えられなかった。悔しいほどに力のない自分、助けてもらえない自分、何よりも愛してもらえない自分が、大嫌いになるしか生きる術がない現状。

「千鶴、何が、君をそうさせているの」

「……言えません」

「なぜ」

「言いたくないから」

ループしてました、なんて話、誰も信じられない、荒唐無稽すぎる。でも、その話をしなければ私がどうしてこんな考えをしているのかは言えない。

「そう」

押し倒されて逃げ場がないけど、顔を見ないようにわざと視線を横へそらす。そして透さんの顔が視界に入らないように意識する。

「んぅっ!」

少しの沈黙が場を支配し、やっとこの話は終わりかと思った時だった。突然、手の力が緩んだので透さんも諦めてくれたと、顔を上げた瞬間に、唇を塞がれた。

「っふ、あ」

強引に口を割って入り込んでくる舌、その感覚が何とも言えないし、息もうまくできなくて自然と涙が浮かぶ。

「俺が、ここで君を愛するよ、ずっと。千鶴がほかの奴らを気にしなくてもいいように、ここから出ない生活を送ってもらう。ちょっと息苦しいかもしれないけど、すぐ慣れるから」

「まっ、て!」

そんなの監禁じゃない、と言葉が出かけた時に、ふと声が聞こえた気がした。

【だから言ったでしょ、透からは離れられないって】

【君は選択肢を間違えた。こうなった透の機嫌を直すのは難しいよ】

選択肢だ、透さんとのやり取りはもう二度と選択肢を出さないと、怒った選択肢。その選択肢が現れたというよりは声を届けに来たようだ。

【まあ、助けてあげてもいいけど】

その選択肢バーに私は後を考えずに飛びついた。絶対ロクな選択肢なんて出ないと、冷静ならわかるのに。

【デッドオアデッド☆ドキドキデスマッチ! 「私はあなたが嫌い」→イケメン拒否する奴は死ね】

【「ごめんなさい、私……本当は……透さんが好き……」→わーい、ハッピーエンドが一番だよ(その一)】

【「透さん、私を愛してくれるの……?」→ひゃっほーい! ハッピーエンドが一番だよ(その二)】

待て、その一とその二ってなんだ。いや、一番上は選択肢としては選べない。こうなると一か二になるわけだけど……。その、あの、ハッピーエンドのその先の展開が怖すぎるんですけど。

ええい、女は度胸、と私は二番を選ぶことにした。もうどうにでもなーれ☆ってやつである。

「透さんは、私を愛してくれますか」

「何度もそう言ってるよ、もちろんずっと君を愛する。君がもう嫌だって言ったって、逃げたって、逃がしはしない」

【セリフ指定あり→「透さんを、信じます。だから、どうか、私を……愛してください」】

【セリフ指定なし→死ぬ】

ゾッとするような言葉が聞こえて、なんて返事をしようと迷った瞬間、選択肢が出てきた。ナイスタイミングだ、それでこそ私の求めた選択肢。

「透さんを、信じます。だから、どうか、私を……愛してください」

セリフ指定通りに言葉を紡ぐ。だってこんなところで死にたくないんで。

「ああ。約束する、後悔はさせない」

そこからは、私が望んだ結果ではなかったけれど、最終的には幸せな時間だったように思う。好きな人と繋がれる、その喜びを、私は知ったから。

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