4 / 11
夏
ペンステモン
しおりを挟む
***
梅雨に入って、雨の日が多くなった。
こういう時期はあまり好きじゃない。
でも、そんな憂鬱な気持ちが吹き飛んだ。
……彼が来店されたから。
「いらっしゃいませ!」
いつもより声が大きい私に目を見開いて、そのあとやさしく笑った。
「今日はあいにくの天気ですが、元気がいいですね」
「雨の日はお客様があまりご来店されないので……つい、」
時間が経って後悔した。
恥ずかしすぎるでしょ、こんなの。
「ペンステモンをお願いします」
「はい」
これまたコアな花を……
「お好きなんですか? お花」
「…好きですよ」
「じゃあ、花言葉もご存知ですか? ペンステモンは…」
「“あなたに見惚れています”」
「え?」
「ですよね?」
「は、はい…よく、ご存知で」
「好きですから」
意味深な言葉と笑顔を残し、ペンステモンを大事そうに抱えて帰っていった。
梅雨に入って、雨の日が多くなった。
こういう時期はあまり好きじゃない。
でも、そんな憂鬱な気持ちが吹き飛んだ。
……彼が来店されたから。
「いらっしゃいませ!」
いつもより声が大きい私に目を見開いて、そのあとやさしく笑った。
「今日はあいにくの天気ですが、元気がいいですね」
「雨の日はお客様があまりご来店されないので……つい、」
時間が経って後悔した。
恥ずかしすぎるでしょ、こんなの。
「ペンステモンをお願いします」
「はい」
これまたコアな花を……
「お好きなんですか? お花」
「…好きですよ」
「じゃあ、花言葉もご存知ですか? ペンステモンは…」
「“あなたに見惚れています”」
「え?」
「ですよね?」
「は、はい…よく、ご存知で」
「好きですから」
意味深な言葉と笑顔を残し、ペンステモンを大事そうに抱えて帰っていった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる