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夏
ペンステモン
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***
梅雨に入って、雨の日が多くなった。
こういう時期はあまり好きじゃない。
でも、そんな憂鬱な気持ちが吹き飛んだ。
……彼が来店されたから。
「いらっしゃいませ!」
いつもより声が大きい私に目を見開いて、そのあとやさしく笑った。
「今日はあいにくの天気ですが、元気がいいですね」
「雨の日はお客様があまりご来店されないので……つい、」
時間が経って後悔した。
恥ずかしすぎるでしょ、こんなの。
「ペンステモンをお願いします」
「はい」
これまたコアな花を……
「お好きなんですか? お花」
「…好きですよ」
「じゃあ、花言葉もご存知ですか? ペンステモンは…」
「“あなたに見惚れています”」
「え?」
「ですよね?」
「は、はい…よく、ご存知で」
「好きですから」
意味深な言葉と笑顔を残し、ペンステモンを大事そうに抱えて帰っていった。
梅雨に入って、雨の日が多くなった。
こういう時期はあまり好きじゃない。
でも、そんな憂鬱な気持ちが吹き飛んだ。
……彼が来店されたから。
「いらっしゃいませ!」
いつもより声が大きい私に目を見開いて、そのあとやさしく笑った。
「今日はあいにくの天気ですが、元気がいいですね」
「雨の日はお客様があまりご来店されないので……つい、」
時間が経って後悔した。
恥ずかしすぎるでしょ、こんなの。
「ペンステモンをお願いします」
「はい」
これまたコアな花を……
「お好きなんですか? お花」
「…好きですよ」
「じゃあ、花言葉もご存知ですか? ペンステモンは…」
「“あなたに見惚れています”」
「え?」
「ですよね?」
「は、はい…よく、ご存知で」
「好きですから」
意味深な言葉と笑顔を残し、ペンステモンを大事そうに抱えて帰っていった。
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