お嬢様は恋を知らない

皇 晴樹

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お嬢様と執事

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「麗さま!」 

「お嬢さ……七瀬さん。先生と呼びなさいって何度言ったらわかるのかな?」

「ごめんなさーい」

「謝る気ないよね?……それで、僕に何か用事?」

「今日の放課後、みんなで遊びに行くことになったからよろしく!」

「……お嬢様、それはいけません。ご学友の方々と仲を深めることは良いことですが、貴女は七瀬家のご令嬢ですよ? 万が一のことがあったら…」

「大丈夫だって! 私だってもう子供じゃないんだから! ちゃんと門限には帰る」

「ちょっと、お嬢様!」

麗さまはたまに意地悪だけど、やさしい人だからきっと許してくれるって思ってたのに!
反対されても行っちゃうんだからね!!


「春菜ちゃん。許可とれた?」

「うん!」

「よし! これで全員だな!」

放課後が楽しみ!!


***


“カラオケ”ってよくわからないけど、好きな曲を歌えばいいみたい。

「はい。七瀬の番」

「う、うん」

少し緊張しながらマイクを受け取った。
イントロが流れて誰かが呟く。

「七瀬さんっぽい選曲だね」

その声に周りのみんなも頷いた。


歌い終わると、拍手の音が響いた。

「七瀬さん、歌上手い!」

「思わず聴き入っちゃった!」

「私なんて涙出てきちゃったよ」

「ありがとう」

すごく嬉しい!

歌うことは好きだったけど、いつも褒めてくれるのは大人ばかり。
だから、同い年の人に褒められることは新鮮で不思議な気分。

……やっぱり、来てよかった。

 
「春菜ちゃんはこの後どうする?」

「どうって?」

「あれ、聞いてなかった? みんなでご飯食べに行くんだけど、春菜ちゃんも行く?」

「えっと…」

時計をみると門限の6時まであと30分。
急いで帰らないと間に合わない。

でも……みんなとご飯食べに行きたい!
友達と外食なんてしたことないもん!

少しくらい遅れても、大丈夫だよね……?

「私も行く!」

そう返事をした時、麗さまから電話がかかってきた。

今電話に出たら、絶対麗さまに怒られる。

無視しているのに、何度も何度もかかってくる。

もう! うるさい!

ムカついた私はスマホの電源を切った。
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