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蓮くん
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”カララーン”
「ちわーっ」
お店入り口の自動ドアが開き、黒髪短髪の男の子が入ってくる。
彼は先日の仕事先で偶然出会ったお寺さん子だが、度々、遊びにやってくるようになったのだ。
「手土産」を持って。
「ミツリさーん、いるー?」
声で彼だと分かったので、特に急ぐことも無いかと、私は手元の魔導具をいじる手を休めない。
「この仕組みだったら、せめて肩から掛けないと、持ち運びが不便だよね‥」
私が手にしているのは、ウエストベルトに下げる小型の収納用魔導具だ。
ユーリに頼んで高値で買い取ってもらったのに、如何せん不良品だった。
小さく収納出来るのに重さは変化しないので、入れた分だけドンドン重たくなってしまう。
「そもそも収納庫の筈なのに、沢山入れること前提で作ってないとか有り得ないでしょ‥」
手の平サイズの魔導具を、四方八方から眺めて独り言を呟いてしまう。
「ミーツーリーさんっ。だから、俺来たって!」
元気な中学生男子は声がデカい。
いつの間にか私の隣に来ていた蓮くんが、私の耳元でがなり立てる。
キーンとする耳を押さえながら、蓮くんに「収納魔導具」を差し出す。
「あ、丁度良かったっ!これ、ベルトに吊り下げると結構重たくない?下手したらズボンも下がっちゃうよね‥」
蓮くんが制服を着ていたので、ウエストベルトに魔導具を付けてみる。
よろけるように一歩後退した蓮くんは、焦った表情で、「な、な、」と言い、次の言葉をすぐには繋げずにいる。
「何すんだよ、急に‥」
真顔で、急に声のトーンを落として話す蓮くんは、明らかに恥ずかしがっている。
私だって年齢は15歳だが、同年代の中で育っていないせいか、感覚的に良く分からない。
蓮くんみたいな思春期っぷりは、私の目には新鮮にさえ映る。
ちなみに、蓮くんには、私の本当の年齢は伝えていない。勝手に少し年上くらいに思ってくれているみたいだ。
「ミツリ、蓮くんに絡むのはやめなさい」
いつもは、ウナギの寝床のように長い店舗の1番奥で、長い足を組んで優雅に座っているはずのユーリがやってきた。
「あ、ユーリさんっ!あのさ、すんげーもんあったから、持ってきた!」
日本育ちなのに、日本語力の怪しい蓮くんが、尻尾を振る犬のようにユーリを見て目を輝かせる。
「あのさぁ、これ、この中に入ってる物から、何か出てるんだよ!」
蓮くんは、どうやら念的な力を感じられるらしく、普通の人には見えない物も見えたりするらしい。
そもそも、ユーリの持つ魔力に気づかれてしまったり、隠形魔術を見破られてしまったのが蓮くんという変わった能力を持つ少年を知ったきっかけだしね。
「あー、確かにこれは、魔力を溜め込む物だね」
ユーリは布に包まれた物を取り出し、目線の高さに持ち上げて眺めると、そう言って手の平に乗せた。
「これは、護身具、かな。持っていると攻撃を受けてもダメージが少ない」
ユーリの広い手の平に乗っているのは、薄い青色の宝石をトップに使った、ペンダントだった。
「おそらく、高貴な身分の女性に贈られたものだろうね。この魔石は多くの魔力を溜め込める高価な物だから、これを送った人物は余程の心配性か、独占欲の強い人物だったのだろう」
ユーリが呆れたような顔をしながらペンダントの分析をしていく。
「独占欲が強いと、効果の強い護身具を贈るものなの?」
護身具と独占欲の繋がる意味が分からない。
「あぁ、アクセサリーを付けている人物を強化するからね。圧が強くなって、気の弱い男は簡単にこれを身に付けた女性には近づけなくなるよ。あと、実力行使しようとも、男は弾かれる」
「実力行使?」
「ミツリさん!何んで繰り返してるんですか!もー、ユーリさんも、一応ミツリさん女性なんですから、そういう話はちょっと気まずいですって」
いや、私は全く気まずくは無いのだが、何だろう?このソワソワした感じは。
「思春期だなっ」
私はポンッと手を打ち鳴らし、納得する。
「え?ちょっ、やめてくださいよぉ、恥ずっ」
「ミツリ、しばらく黙ってなさい」
蓮くんが来ると、何かソワソワした感じが楽しいな。
「ちわーっ」
お店入り口の自動ドアが開き、黒髪短髪の男の子が入ってくる。
彼は先日の仕事先で偶然出会ったお寺さん子だが、度々、遊びにやってくるようになったのだ。
「手土産」を持って。
「ミツリさーん、いるー?」
声で彼だと分かったので、特に急ぐことも無いかと、私は手元の魔導具をいじる手を休めない。
「この仕組みだったら、せめて肩から掛けないと、持ち運びが不便だよね‥」
私が手にしているのは、ウエストベルトに下げる小型の収納用魔導具だ。
ユーリに頼んで高値で買い取ってもらったのに、如何せん不良品だった。
小さく収納出来るのに重さは変化しないので、入れた分だけドンドン重たくなってしまう。
「そもそも収納庫の筈なのに、沢山入れること前提で作ってないとか有り得ないでしょ‥」
手の平サイズの魔導具を、四方八方から眺めて独り言を呟いてしまう。
「ミーツーリーさんっ。だから、俺来たって!」
元気な中学生男子は声がデカい。
いつの間にか私の隣に来ていた蓮くんが、私の耳元でがなり立てる。
キーンとする耳を押さえながら、蓮くんに「収納魔導具」を差し出す。
「あ、丁度良かったっ!これ、ベルトに吊り下げると結構重たくない?下手したらズボンも下がっちゃうよね‥」
蓮くんが制服を着ていたので、ウエストベルトに魔導具を付けてみる。
よろけるように一歩後退した蓮くんは、焦った表情で、「な、な、」と言い、次の言葉をすぐには繋げずにいる。
「何すんだよ、急に‥」
真顔で、急に声のトーンを落として話す蓮くんは、明らかに恥ずかしがっている。
私だって年齢は15歳だが、同年代の中で育っていないせいか、感覚的に良く分からない。
蓮くんみたいな思春期っぷりは、私の目には新鮮にさえ映る。
ちなみに、蓮くんには、私の本当の年齢は伝えていない。勝手に少し年上くらいに思ってくれているみたいだ。
「ミツリ、蓮くんに絡むのはやめなさい」
いつもは、ウナギの寝床のように長い店舗の1番奥で、長い足を組んで優雅に座っているはずのユーリがやってきた。
「あ、ユーリさんっ!あのさ、すんげーもんあったから、持ってきた!」
日本育ちなのに、日本語力の怪しい蓮くんが、尻尾を振る犬のようにユーリを見て目を輝かせる。
「あのさぁ、これ、この中に入ってる物から、何か出てるんだよ!」
蓮くんは、どうやら念的な力を感じられるらしく、普通の人には見えない物も見えたりするらしい。
そもそも、ユーリの持つ魔力に気づかれてしまったり、隠形魔術を見破られてしまったのが蓮くんという変わった能力を持つ少年を知ったきっかけだしね。
「あー、確かにこれは、魔力を溜め込む物だね」
ユーリは布に包まれた物を取り出し、目線の高さに持ち上げて眺めると、そう言って手の平に乗せた。
「これは、護身具、かな。持っていると攻撃を受けてもダメージが少ない」
ユーリの広い手の平に乗っているのは、薄い青色の宝石をトップに使った、ペンダントだった。
「おそらく、高貴な身分の女性に贈られたものだろうね。この魔石は多くの魔力を溜め込める高価な物だから、これを送った人物は余程の心配性か、独占欲の強い人物だったのだろう」
ユーリが呆れたような顔をしながらペンダントの分析をしていく。
「独占欲が強いと、効果の強い護身具を贈るものなの?」
護身具と独占欲の繋がる意味が分からない。
「あぁ、アクセサリーを付けている人物を強化するからね。圧が強くなって、気の弱い男は簡単にこれを身に付けた女性には近づけなくなるよ。あと、実力行使しようとも、男は弾かれる」
「実力行使?」
「ミツリさん!何んで繰り返してるんですか!もー、ユーリさんも、一応ミツリさん女性なんですから、そういう話はちょっと気まずいですって」
いや、私は全く気まずくは無いのだが、何だろう?このソワソワした感じは。
「思春期だなっ」
私はポンッと手を打ち鳴らし、納得する。
「え?ちょっ、やめてくださいよぉ、恥ずっ」
「ミツリ、しばらく黙ってなさい」
蓮くんが来ると、何かソワソワした感じが楽しいな。
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