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石を見つけましょう
凄い石でした?
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リュシアン念願の運命の鉱石。
私もリュシアンならオリハルコンとかアダマンタイトとかの、異世界ファンタジーあるあるの鉱石で伝説の剣とか作って貰うんだろうなぁて、思ってた。
種族が希少種の神狼族だし。
でも、ディナールの町の宿でゴロンとテーブルの上に転がし出した鉱石は、なんて言うかちょっと黒っぽい岩?みたいなものだった。
私の「鑑定」よりも下位スキルの「目利き」スキルを持つセヴランの見立てでは、「鉄とか錫とかいろんな物がごちゃ混ぜになった・・・ただの石」。
リュシアンも強い魔獣と戦った後に手に入れた物なので、「ただの石」発言にがっくりと項垂れていたそう。
でもね、私の「鑑定」で見ると、やっぱり「鉄、その他」って見えるんだけど、よぉーく目を凝らして見るとそれだけじゃなくて「???」と表示されたの。
つまり、未知な物である可能性も捨てられないのよ!
ガストンさんならこの鉱石の価値がわかるかも!いやいや、わかるはず!
リュシアンがガストンさんに促されて、渋々机の上に魔法鞄か取り出した鉱石の欠片をちょこんと置く。
実際には、リオネルの体ぐらい量の石を持っているんだけど。
「これは?」
ガストンさんは机の上に置かれた石を指で摘まんで持ち上げ、ためつすがめつしている。
「うん?ううーん?」
眉間にめっちゃシワを刻んで、唸り始めた。
片目にルーペを装着して、さらに上から下から石を観察。
リュシアンがゴクリと唾を飲み込む音が、聞こえた気がした。
「こりゃ・・・」
「・・・どうだ?」
コトンと石を机の上に置くガストンさん。
「・・・わからん」
「「は?」」
わからないの?
この石って、やっぱりただの石なの?
「見たこともない鉱石だ。なのに魔力が・・・魔力?・・・この力はなんだろうな?ただこれっぽちの石なのに膨大な量の力が含まれている」
ガストンさんは腕を組んで首を捻る。
私たちは互いの顔を見合わせた。
どうしよう?リュシアンの武器は作ってもらえないのかしら?
「とりあえず、この石で剣を作ってもらうことは頼めますか?」
「頭イカレてんのか?エルフ野郎。これっぽちの石で剣なんか作れるか」
ちょっとガストンさんって、アルベールに対して喧嘩腰なんだよねぇ・・・。
リュシアンは慌てて魔法鞄からドサドサと残りの鉱石を出して机に並べる。
・・・あれ?思っていたよりももっと沢山あるんだけど、この正体不明の石。
「ず・・・ずい分、量があるんだな・・・」
ほらぁ、ガストンさんもこの大量の鉱石に若干引いてるわよ・・・。
「ああ。実は・・・」
リュシアンはどうやってこの鉱石を手に入れたのか、ガストンさんに説明した。
その説明を聞いてガストンさんの顔色が変わる。
「まさか・・・。いや、もしかしたら。それにこの量なら・・・」
ちょっとガストンさんの目が怖い。
マニアというか、コレクターみたいな、少し狂気が混じった目で鉱石を見つめだし、さわさわと石を撫で始めた。
神の捨てた武器。
ドワーフの鍛冶師たちの間で語り継がれている、昔話だそうだ。
創世記。
神々が地上の覇権を争い戦っていた時代。
その神が手にしていた武器が、相手の神の攻撃で壊れると、そのまま地上に捨て置かれていったという。
壊れて捨てられたといっても、その武器は神が愛用していたもの。
素材は極上品。
まさに鍛冶師、垂涎の的だ。
しかし、その武器の欠片は、いままで微量にしか発見されず、他の鉱石と混ぜて使うことしかできなかった。
それだけでも、作った武器に絶大な効果を齎した。
ガストンさんも死ぬまでに、その「神の捨てた武器」にお目にかかりたい!できるなら扱ってみたい!と思い続けていた。
でも、もう諦めていたという。
引退気分で田舎のゴダール男爵領地に居を構え、のんびり趣味の範囲で鍛冶をしていた。
ちょっと気に入った冒険者には、破格の値段で武器を拵えてやったりと、その暇つぶしが・・・まさか・・・念願の・・・。
「・・・神の捨てた武器の欠片が・・・こんなにいっぱい」
ガストンさん、男泣きです。
え?でも、決まったわけじゃないよね?この大量の石がその「神の捨てた武器」とかいうレア鉱石だって?
あんぐり口を開けて呆けていたら、アルベールに横っ腹をちょんちょんと突かれた。
あ!「鑑定」ね、「鑑定」!
「あ゛っ!」
例の「???」の箇所が「神の大剣(破損)」て表示に変わっている。
こりゃ、ホンマものです。
私は無言でアルベールに頷いてみせた。
「ガストン。この鉱石には、その大層な鉱石の他に鉄とか錫とかも混ざっているみたいですが?」
「ああ。ぐすっ。不純物を取り除いて残る量がどれだけになるかわからんが、そのときは坊主が持ってきたアダマンタイトとかと混ざて作ればいいだろう。それでも凄い量が取れるぞ!」
過去に見つかった中で一番多かったのは、ディナールの町の鉱山ダンジョンとは別の鉱山ダンジョンからで、量は塩ひとつまみ分ぐらいだそう。
そのちょっとを混ぜて作った剣は、ある国で「勇者の聖剣」として国宝扱いだそうです。
テンション爆上がりのガストンさんに連れられ、リュシアンも採寸作業へと。
全てが終わり男爵邸まで帰ってきたときには、とっくに日は沈んでいました。
みんなの武器ができるのは、早くても1ヶ月はかかるとのこと。
それまではゆっくりリュイエの町で過ごしてましょう。
・・・て、リュシアン!いつまで魂飛ばしてんのよっ!
いい加減、現実に戻ってきなさーい!
私もリュシアンならオリハルコンとかアダマンタイトとかの、異世界ファンタジーあるあるの鉱石で伝説の剣とか作って貰うんだろうなぁて、思ってた。
種族が希少種の神狼族だし。
でも、ディナールの町の宿でゴロンとテーブルの上に転がし出した鉱石は、なんて言うかちょっと黒っぽい岩?みたいなものだった。
私の「鑑定」よりも下位スキルの「目利き」スキルを持つセヴランの見立てでは、「鉄とか錫とかいろんな物がごちゃ混ぜになった・・・ただの石」。
リュシアンも強い魔獣と戦った後に手に入れた物なので、「ただの石」発言にがっくりと項垂れていたそう。
でもね、私の「鑑定」で見ると、やっぱり「鉄、その他」って見えるんだけど、よぉーく目を凝らして見るとそれだけじゃなくて「???」と表示されたの。
つまり、未知な物である可能性も捨てられないのよ!
ガストンさんならこの鉱石の価値がわかるかも!いやいや、わかるはず!
リュシアンがガストンさんに促されて、渋々机の上に魔法鞄か取り出した鉱石の欠片をちょこんと置く。
実際には、リオネルの体ぐらい量の石を持っているんだけど。
「これは?」
ガストンさんは机の上に置かれた石を指で摘まんで持ち上げ、ためつすがめつしている。
「うん?ううーん?」
眉間にめっちゃシワを刻んで、唸り始めた。
片目にルーペを装着して、さらに上から下から石を観察。
リュシアンがゴクリと唾を飲み込む音が、聞こえた気がした。
「こりゃ・・・」
「・・・どうだ?」
コトンと石を机の上に置くガストンさん。
「・・・わからん」
「「は?」」
わからないの?
この石って、やっぱりただの石なの?
「見たこともない鉱石だ。なのに魔力が・・・魔力?・・・この力はなんだろうな?ただこれっぽちの石なのに膨大な量の力が含まれている」
ガストンさんは腕を組んで首を捻る。
私たちは互いの顔を見合わせた。
どうしよう?リュシアンの武器は作ってもらえないのかしら?
「とりあえず、この石で剣を作ってもらうことは頼めますか?」
「頭イカレてんのか?エルフ野郎。これっぽちの石で剣なんか作れるか」
ちょっとガストンさんって、アルベールに対して喧嘩腰なんだよねぇ・・・。
リュシアンは慌てて魔法鞄からドサドサと残りの鉱石を出して机に並べる。
・・・あれ?思っていたよりももっと沢山あるんだけど、この正体不明の石。
「ず・・・ずい分、量があるんだな・・・」
ほらぁ、ガストンさんもこの大量の鉱石に若干引いてるわよ・・・。
「ああ。実は・・・」
リュシアンはどうやってこの鉱石を手に入れたのか、ガストンさんに説明した。
その説明を聞いてガストンさんの顔色が変わる。
「まさか・・・。いや、もしかしたら。それにこの量なら・・・」
ちょっとガストンさんの目が怖い。
マニアというか、コレクターみたいな、少し狂気が混じった目で鉱石を見つめだし、さわさわと石を撫で始めた。
神の捨てた武器。
ドワーフの鍛冶師たちの間で語り継がれている、昔話だそうだ。
創世記。
神々が地上の覇権を争い戦っていた時代。
その神が手にしていた武器が、相手の神の攻撃で壊れると、そのまま地上に捨て置かれていったという。
壊れて捨てられたといっても、その武器は神が愛用していたもの。
素材は極上品。
まさに鍛冶師、垂涎の的だ。
しかし、その武器の欠片は、いままで微量にしか発見されず、他の鉱石と混ぜて使うことしかできなかった。
それだけでも、作った武器に絶大な効果を齎した。
ガストンさんも死ぬまでに、その「神の捨てた武器」にお目にかかりたい!できるなら扱ってみたい!と思い続けていた。
でも、もう諦めていたという。
引退気分で田舎のゴダール男爵領地に居を構え、のんびり趣味の範囲で鍛冶をしていた。
ちょっと気に入った冒険者には、破格の値段で武器を拵えてやったりと、その暇つぶしが・・・まさか・・・念願の・・・。
「・・・神の捨てた武器の欠片が・・・こんなにいっぱい」
ガストンさん、男泣きです。
え?でも、決まったわけじゃないよね?この大量の石がその「神の捨てた武器」とかいうレア鉱石だって?
あんぐり口を開けて呆けていたら、アルベールに横っ腹をちょんちょんと突かれた。
あ!「鑑定」ね、「鑑定」!
「あ゛っ!」
例の「???」の箇所が「神の大剣(破損)」て表示に変わっている。
こりゃ、ホンマものです。
私は無言でアルベールに頷いてみせた。
「ガストン。この鉱石には、その大層な鉱石の他に鉄とか錫とかも混ざっているみたいですが?」
「ああ。ぐすっ。不純物を取り除いて残る量がどれだけになるかわからんが、そのときは坊主が持ってきたアダマンタイトとかと混ざて作ればいいだろう。それでも凄い量が取れるぞ!」
過去に見つかった中で一番多かったのは、ディナールの町の鉱山ダンジョンとは別の鉱山ダンジョンからで、量は塩ひとつまみ分ぐらいだそう。
そのちょっとを混ぜて作った剣は、ある国で「勇者の聖剣」として国宝扱いだそうです。
テンション爆上がりのガストンさんに連れられ、リュシアンも採寸作業へと。
全てが終わり男爵邸まで帰ってきたときには、とっくに日は沈んでいました。
みんなの武器ができるのは、早くても1ヶ月はかかるとのこと。
それまではゆっくりリュイエの町で過ごしてましょう。
・・・て、リュシアン!いつまで魂飛ばしてんのよっ!
いい加減、現実に戻ってきなさーい!
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