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6、トイレで……⁉︎

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___やられた……。

体育が終わって、屋上に来た。
……はるちゃんが、いない___。
いつも僕より早くここに来てたのに、今日に限って僕より遅いなんて、考えられない。
………星野まりあ……アイツの仕業か……!
ガチャッ!

「はる!」

「遥香!」

伶と陸人が来た。

「……いないよ……。きっとアイツらだ……!」

「弁当は、後で取りに行くと面倒だから、持ってきた。」

伶の手には、はるちゃんの弁当もあった。

「弁当ここに置いて、早いとこ遥香を探しに行こうぜ……!」

「ああ。3人で手分けすれば早く見つかるはず!」

僕たちは、はるちゃんを探し始めた。
……普通に考えて、「来ない」ってことは、どこかに閉じ込められてる可能性が高い。それなら、人目のつかない所……。
空き教室……は、ドアを叩けば誰かが気づくはず……。ドアを叩いても気付かれにくい所………?
__まさか………トイレ……⁉︎……でもそこしか思いつかない……。
………とりあえず、行ってみよう……。
一番人目につかないトイレか……?



入り口に、不自然な『立ち入り禁止』の紙が貼ってある……。ここで、間違って無さそうだな……….
ガチャッ……
こういう場合は、一番奥の個室だよな……。
……!閉まってる………。カギがかかってるわけじゃないのに……!……このニオイ、まさか___⁉︎……接着剤で、ドアを閉められたのか……?
……上から入るか………。
僕は、ドアと天井の間の隙間から、個室の中に入った。はるちゃんは、口をガムテープで塞がれて、縛られていた………。
まるで、監禁じゃないか!
僕は口のガムテープを剥がして、手足を縛っていた紐を切った。はるちゃんは、目を開かない。

「はるちゃん!はるちゃん‼︎」

僕ははるちゃんの肩をつかんで、必死で呼びかけた。

「ん……」

「はるちゃん!」

「……せ、い……くん……?」

「そうだよ!はるちゃん!助けに来たんだ!テープも紐も、全部外したよ。だから、もう大丈夫だよ。」

「星……くん……!」

はるちゃんは、泣き崩れた。僕はそれを、しっかり受け止めた。

「ありがとう………!星くんの顔見たら、すごい安心した………。」

はるちゃん……

「とりあえず、個室から出よっか。」

「うん、でも、接着剤で__」

バン‼︎
僕は、はるちゃんが言い終わる前に、ドアを蹴破った。

「開いたよ!」

「え………⁉︎」

「護身用に習っててよかった。空手に合気道。それらを掛け合わせたジークンドー。」

「す、すごい……!私、体育終わってすぐに閉じ込められちゃったから……心細かったけど、もう、大丈夫になった。だって……星くんが来てくれたから……。」

はるちゃんは、そう言って笑顔を見せてくれた。
好きになってくれてたりしてないかな………って、あ……。__私、体育終わってすぐに__……そうだった。僕は、とんでもないミスをしでかしたんだ………。

「……星くん?どうした__」

「__体育終わってから、すぐに行けなくてごめんね………。あんなに、助けるって、守るって、偉そうに言ったのに………!__僕にはもう、はるちゃんを好きでいる資格なんてないよ………。ごめんね、はるちゃん………。」

僕はそう言って、はるちゃんに背を向けた。



__ううん………違うよ、星くん………。星くんのせいじゃないよ。星くんは、いつもニコニコ明るくて、優しくて、味方になってくれて、私のことを……好きでいてくれて……。
私の__王子様___。

「誰かを好きでいることに、資格なんていらないよ………!ごめんねなんて、言わないで………!」

「はるちゃん……でも___」

もう止まらない__!

「だって私も、星くんが、好き………」



__星くんが、好き__
___今の、僕の聞き間違い……?

「⁉︎は、はるちゃん……。ホントに………?」

僕がそう聞くと、はるちゃんはコクリとうなずいた。

「僕なんかで、いいの……?」

「……星くんだから、いいの……」

「じゃ、じゃあ、はるちゃん、僕の彼女に、なってくれるの……?」

僕ははるちゃんに手を差し出した。



「……もちろん、なりたい……です…」

私は、差し出された手の上に、はにかみながら自分の手を重ねた。

「じゃっ、そろそろ出ないと。伶も陸人も、きっとはるちゃんが心配であちこち探し回ってると思うからさ。」

「そうだね……心配かけちゃった……。」

トイレから出ると、伶くんと陸人くんがいた。

「あー、やっと出てきたー!ちょっと星夢、はるを独り占めなんてズルい!」

「まさか、トイレの中で両想いになるなんて、誰も想像つかないだろうな……」

聞かれてたの⁉︎恥ずかしい………。

「あ~⁉︎ま、まさか、全部聞いてたな⁉︎お前らいつからここにいるんだよ!」

「星夢がドアを蹴破った時から。」

「バン!ってでかい音したから、オレも伶もここに来たんだよ。」

「入ろうとしたんだけど、2人がラブシーンしてたから、気をきかせて外で待ってた。」

「それはありがたいけど……」

「でも、伶くんも陸人くんも、心配かけちゃってごめんね。本当にありがとう!……あ、あと、星くん!」

「ん?」

「ずっと気になってたんだけど、星くん、一人称『俺』の方がいいと思う!」

そう、これ、ずっと前から気になってたんだ。

「あー、確かに。星夢、最近ちょっと怖くなってるし。」

「オレ様キャラになりつつもあるしな。」

「うん、自分でも納得。『俺』にしよっと!」

やった!星くんがさらにカッコよくなる!

「じゃ、お弁当食べに行こ!」

「うん!私もうお腹ペコペコ!」

星くんが手を差し出したから、私はそれに自分の手を重ねて、手を繋いだ。

「あーあ、ラブラブしてんな。」

「なあ伶、オレら、この2人のボディーガードしたら良くね?」

「あ、いいな、それ!さんせー!」

後ろでは、そんな会話がされていた。
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