4 / 19
第1章 マフィア編
第4話 魔族
しおりを挟む
「これは少々厄介だ」
別に魔族が強いから厄介という訳では無く、魔物と違って魔族は素材になる部位がないため、倒したところで無意味なのだ。
それに比べてグリフォンは優秀だ。その翼は矢の羽として、爪は武器の素材、魔石は風魔法に対して親和性がかなり高い。そして肉もかなり美味いため、グリフォンの買取価格は同レベル帯の魔物たちと比べて頭一つ飛び抜けて高い。
「俺はグリフォンだけでいいから、お前は帰ってもいいよ」
「帰るわけないだろ!ここ数年この森で魔物を乱獲している人間はお前だよな?」
「そこまで乱獲しているつもりは無いんだが……大体1週間で数百体程度だしなぁ」
「それを乱獲っていうんだよ!!」
俺は1週間でまとめて数百匹魔物を狩れば、1ヶ月は魔物を狩ることをしないから、魔物の繁殖力があれば元の生態系に戻っている。だから気にする必要はないと思うんだが。まあそこは人間と魔族の理解の違いか。
「乱獲したところで問題あるのか?俺は特に困らないぞ。ちゃんと1ヶ月経てば元に戻る計算で狩ってるからな」
「人間らしく自己中心的な考え方だ。魔物を狩っている人間はお前1人じゃないんだぞ」
「それは知らないな。俺は環境に配慮しているけど、ほかの奴が配慮していない結果魔物が減っている。結果俺は悪くないQ.E.D.」
「何が証明完了だ!自分の行いを正当化するための言い訳じゃないか!!」
ふむ、何故か言い分だけを客観的に聞いてみると俺が悪者じゃないか?まあ魔族が悪ってのは人間から見た立場であって、魔族側から見たら人間が悪になるだろうから、決めつけるのはいけないが……俺は自分のことを正義と思っていないし、悪だとも思っていない。ただ俺が考えているのは自分の利益になることだけだ。
逆に言えば、俺は自分の利益になることなら正義にもなるし、悪にもなる。
「今急いでるから、帰るか、俺と戦うか決めてくれ」
「逃げるわけないだろ」
「言質とった」
俺はその言葉を聞いた瞬間に魔族との距離を詰めて、光属性の魔力で覆った剣を首目掛けて振るった。武器そのものの切れ味と俺の魔力があれば魔族の首であろうと豆腐のように簡単に切り落とせる。
胴体と顔を繋ぐ首を切られた魔族は、グリフォンの上でバランスを崩し、地面に叩きつけられた。
主人を失ったグリフォンは本能のまま空へと飛び立とうとしたが、俺は金になるグリフォンを逃すつもりは無い。まずグリフォンの翼を切り落として機動力を奪い、後は心臓を狙って確実に命を奪った。
「ふぅ、グリフォンのおかげでかなり目標金額まで近付いたな。あとはオーガの群れでも見つけられたら終われるんだが……やっぱり俺は運がいいみたいだ」
俺の目の前に現れたのは、普通の個体に比べて全身の筋肉が発達しているムスケルオーガに率いられた五匹のオーガの群れだ。ムスケルオーガは普通の個体と違い武器は持っておらず、その肉体で勝負するという特徴があるが、その脅威度はオーガの数倍高い。オーガと違ってムスケルオーガは筋肉の密度が数倍あるとされ、俺の剣でも魔力を流さなければ切る事は出来ない。
だが、その分ムスケルオーガの魔石や角はかなり高額買取になるため今の俺には適している相手だ。
「とりあえず取り巻きを倒すか」
取り巻きのオーガとの距離を詰めた。俺の事を見失ったであろうオーガの首を切り落とした。やっと気付いたオーガたちは俺の命を狙って金棒を振り下ろしてきたが、その速度は遅く、見てから避けるのが容易である。そのまま流れるようにオーガの首を落として行った。
最後に残ったオーガは俺から逃げるようにムスケルオーガの方へと走って行った。オーガにも生物としての恐怖心があるんだろうな。だがムスケルオーガのある特徴によってオーガは殺されてしまった。ムスケルオーガは武人としての自分に誇りを持っており、敵前逃亡は許さない魔物なのだ。
「これで一体一だ」
『グォォォォォ!!!!』
その叫びは森の中に響き渡ったような声量だった。
別に魔族が強いから厄介という訳では無く、魔物と違って魔族は素材になる部位がないため、倒したところで無意味なのだ。
それに比べてグリフォンは優秀だ。その翼は矢の羽として、爪は武器の素材、魔石は風魔法に対して親和性がかなり高い。そして肉もかなり美味いため、グリフォンの買取価格は同レベル帯の魔物たちと比べて頭一つ飛び抜けて高い。
「俺はグリフォンだけでいいから、お前は帰ってもいいよ」
「帰るわけないだろ!ここ数年この森で魔物を乱獲している人間はお前だよな?」
「そこまで乱獲しているつもりは無いんだが……大体1週間で数百体程度だしなぁ」
「それを乱獲っていうんだよ!!」
俺は1週間でまとめて数百匹魔物を狩れば、1ヶ月は魔物を狩ることをしないから、魔物の繁殖力があれば元の生態系に戻っている。だから気にする必要はないと思うんだが。まあそこは人間と魔族の理解の違いか。
「乱獲したところで問題あるのか?俺は特に困らないぞ。ちゃんと1ヶ月経てば元に戻る計算で狩ってるからな」
「人間らしく自己中心的な考え方だ。魔物を狩っている人間はお前1人じゃないんだぞ」
「それは知らないな。俺は環境に配慮しているけど、ほかの奴が配慮していない結果魔物が減っている。結果俺は悪くないQ.E.D.」
「何が証明完了だ!自分の行いを正当化するための言い訳じゃないか!!」
ふむ、何故か言い分だけを客観的に聞いてみると俺が悪者じゃないか?まあ魔族が悪ってのは人間から見た立場であって、魔族側から見たら人間が悪になるだろうから、決めつけるのはいけないが……俺は自分のことを正義と思っていないし、悪だとも思っていない。ただ俺が考えているのは自分の利益になることだけだ。
逆に言えば、俺は自分の利益になることなら正義にもなるし、悪にもなる。
「今急いでるから、帰るか、俺と戦うか決めてくれ」
「逃げるわけないだろ」
「言質とった」
俺はその言葉を聞いた瞬間に魔族との距離を詰めて、光属性の魔力で覆った剣を首目掛けて振るった。武器そのものの切れ味と俺の魔力があれば魔族の首であろうと豆腐のように簡単に切り落とせる。
胴体と顔を繋ぐ首を切られた魔族は、グリフォンの上でバランスを崩し、地面に叩きつけられた。
主人を失ったグリフォンは本能のまま空へと飛び立とうとしたが、俺は金になるグリフォンを逃すつもりは無い。まずグリフォンの翼を切り落として機動力を奪い、後は心臓を狙って確実に命を奪った。
「ふぅ、グリフォンのおかげでかなり目標金額まで近付いたな。あとはオーガの群れでも見つけられたら終われるんだが……やっぱり俺は運がいいみたいだ」
俺の目の前に現れたのは、普通の個体に比べて全身の筋肉が発達しているムスケルオーガに率いられた五匹のオーガの群れだ。ムスケルオーガは普通の個体と違い武器は持っておらず、その肉体で勝負するという特徴があるが、その脅威度はオーガの数倍高い。オーガと違ってムスケルオーガは筋肉の密度が数倍あるとされ、俺の剣でも魔力を流さなければ切る事は出来ない。
だが、その分ムスケルオーガの魔石や角はかなり高額買取になるため今の俺には適している相手だ。
「とりあえず取り巻きを倒すか」
取り巻きのオーガとの距離を詰めた。俺の事を見失ったであろうオーガの首を切り落とした。やっと気付いたオーガたちは俺の命を狙って金棒を振り下ろしてきたが、その速度は遅く、見てから避けるのが容易である。そのまま流れるようにオーガの首を落として行った。
最後に残ったオーガは俺から逃げるようにムスケルオーガの方へと走って行った。オーガにも生物としての恐怖心があるんだろうな。だがムスケルオーガのある特徴によってオーガは殺されてしまった。ムスケルオーガは武人としての自分に誇りを持っており、敵前逃亡は許さない魔物なのだ。
「これで一体一だ」
『グォォォォォ!!!!』
その叫びは森の中に響き渡ったような声量だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる