好きなんて、ウソつき。

春茶

文字の大きさ
35 / 57
関村ver2

真実

しおりを挟む





そして次の日事件は起きた。

いつも通り未菜におはようって言ったのに無視された。
しかもあのキノコが話しかけてきたせいで未菜を追いかけられなかった。

「…なんで怒ってんだあいつ」

「なに、ケンカでもした?」

「なんかしたっけな…」

「なんもしてないんじゃない?」

「お前に言ってない」

「ずいぶんでかい独り言だね」

なにやら髪の毛をとかしながら興味津々で目を輝かせるキノコ。

「っるせーな。おっきくてもちっさくても俺が独り言だと思ったら独り言なんだよ」

「で?どうしたの」

「…無視されただけだ」

「えー?可哀想!慎也にそんなことする彼女いるんだね」

「…ちょっと未菜のとこ行ってくる」

このままじゃ、イライラしてまともに授業もうけれねぇし。

そのあと未菜のクラスに行き、なんやかんやといろいろ話し合った結果ヤキモチだったんだと。

本人から言われるとなんとも言えない嬉しさと愛しさが俺の体温を上げる。

やきもちかぁ。
可愛よなぁそういうところ。
時々理性がぶっ飛びそうになるけど学校では流石に保ってるつもり。
だめだな、彼女にこんな悲しい顔させちゃ。

もっと彼氏らしくしなきゃな。
そう思っていたのに、また事件が起きた。


「じゃじゃーん!お昼だよ慎也!起きて起きて」

寝ている俺の耳元で叫ぶキノコ。

「…ったく、なんだようるせーな」

…って、もう昼か。
やっとあいつの顔見れる。
うるさいキノコを無視して立ち上がりクラスから出ようとするとそれを遮るように目の前に立ち塞がるキノコ。

「あ、待って。はいっ!これ」

「…なにこれ」

渡されたのは女子って感じの可愛い弁当箱。

「慎也のために作ったんだぁ!」

「いや、なんで俺?」

「だっていっつも売店で買ってるんでしょ?そんなの体に悪いよ!」

彼氏でもない俺のことを心配してくるこの女の考えてることがよくわからない。

「俺なんかの心配しないでその彼氏につくってあげればいんじゃねーの?」

「っるさいなぁ。ほらっ、あたしは行くね!」

「おい待てっ…」

おれの言葉を待たずに風の如く消えていった。
手にはピンク色のお弁当袋。

…昼飯まだ買ってなかったから丁度よかったけど、こんなの受け取ってよかったんだろうか。
まぁ…弁当作るのも簡単じゃないしせっかく作ってくれたんなら食うか。

とりあえず未菜を迎えに行って、いつも通り屋上に行く。

「あれ?お母さん今日は作ってくれたんだ!珍しいね」

違うって、素直に言えばよかったのに

「…ん、まぁ」

とっさに嘘をついてしまった。

隣で無邪気に笑う未菜。
嘘をついてしまったという罪悪感のせいか胸が苦しくなり、結局お弁当に手をつけなかった。

別に隠すことじゃねぇだろ。
あー、なんで受け取っちまったんだ俺。
自分の押しの弱さを反省しながらも未菜の寝顔をみてすこしほっとした

…のは、つかのまで。

トイレから戻りドアを開けようとすると2人の話し声が聞こえたきた。

…この声、ナナ?

「だめだね。あなたがわかってることあたしがわかってないなんて」

…なんのことだ?
未菜だよな今の声。

「…ほんとだよね。私の方が関村のことわかってるかも?」

…まさか今のあいつが言ってんのか?

「…別れてよ。私のほうがお似合いだし関村のこと未菜ちゃんより想ってる。関村だって私に愚痴ってるぐらいだもん疲れてるんだよ」

耐えられなくてドアを開けた。
この状況が全く理解できない。
だけど、未菜が泣いている。
走り出す未菜の背中を追いかけようとするとナナに腕を掴まれた。

「ねぇなんでお弁当食べてくれなかったの?これ手もつけてないよね」

もう、限界だった。
力任せにナナを壁に押し付けて顔の横に拳を叩きつけた。

「きゃ…っ」

自分の怒りを必死に沈めようとした。
握りしめる拳がキリキリと音を立てる。

「てめぇなに考えてんだ?私の方がお似合いだ?笑わせんなよ。なんでそんなこと未菜に言えんのかなぁ?」

怒りで声が震える
せっかくまた元に戻れたと思ったのに。
また拗れた。
また泣かせた。

「俺がいつお前に未菜のこと愚痴った?未菜のことでてめぇに真剣に相談したことなんてあったか?お前になんかによぉ」

ナナの体が小刻みに震える。

「弁当もあいつが嫌な思いすんの知っててわざと渡したのか?」

「…ごめんなさい…。」

「…もうこれ以上、俺たちの邪魔してくんじゃねぇぞ。また余計なこと言って未菜のこと傷つけたら女でも許さねぇからな」

「怖い…」

うつむき泣き出すナナから離れた。

「ごめんなさい…ほんとはウソなの。彼氏いるなんて」

「…で?」

「好きって伝えたら友達でいられなくなるってわかってた…。それに彼氏でもいるって言わないと慎也仲良くしてくれないから」

女の涙は嫌いだ。
いままで幾度となく見てきたけど、泣く姿を見るたびに胸が痛くなる。
そのたび、苦しくなる。

「だからって、未菜を傷つけていい理由にはならないから」

「あたしだって…辛くて悩んだよ、たくさん。でも慎也に気持ち伝えられないのに誰に言えっていうのよ…っ」

…そうか、俺のせいか。
俺の言葉でこいつを余計辛くさせて、未菜にまで被害が及んだのか。
じゃあ未菜を傷つけたのは…俺のせいだ。

「あたし…このままじゃ慎也のこと諦められないっ。ちゃんとケジメつけてもらわないとまた未菜ちゃんに迷惑かけちゃうかもしれない」

「は?」

「そしたら慎也…流石に振られちゃうかもね」

こいつの考えてることが本当に分からない。
でも、もうこれ以上俺たちの邪魔はしてほしくない。
ほんとに、ただそれだけ。
俺は未菜と普通に笑って過ごしたいだけなんだ。

「…わかった」

「…え?」

「言いたいこと、今俺に言え。ちゃんと聞いてやる」

「なんでも…いいの?」

「あぁ」

「じゃあ…」















『あたしを抱いて』






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敏腕SEの優しすぎる無償の愛

春咲さゆ
恋愛
26歳OLの木崎茉莉は人生のどん底にいた。上手くいかないことに慣れ、心を凍らせることで自分を守る毎日に絶望した祭りは、雨の夜に終わりを願う。そんな茉莉に手を差し伸べたかっこいい彼。茉莉は、なぜか無償の愛のような優しさをくれる不思議な男性に少しずつ救われ、前を向いていく。けれど、疑ってしまうほど親切な彼には、親切であり続ける理由があって……。雨の夜の出会いがもたらした、優しくも切ない物語。

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

今さらやり直しは出来ません

mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。 落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。 そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

恋が温まるまで

yuzu
恋愛
 失恋を引きずる32歳OLの美亜。 営業課のイケメン田上の別れ話をうっかり立ち聞きしてしまう。 自分とは人種が違うからと、避けようとする美亜に田上は好意を寄せて……。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛

ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。 そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う これが桂木廉也との出会いである。 廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。 みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。 以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。 二人の恋の行方は……

処理中です...