私と７人の龍たち

プロローグ

「へへっ。お嬢ちゃん、こんなところに一人でどうした？」
 
スキンヘッドで目に大きな傷を負った大男が、路地裏に迷いこんだのか、キョロキョロと周りを見渡している少女に優しく声をかけた

「……っ」
 
少女はほっとしたように振り返えるが、男の顔を見て、サァーと青ざめていく

「兄貴、早く捕まえちまいましょうぜ？」
 
スキンヘッドの部下だろうか、細身でガラの悪い男が少女を睨み付けながら物騒な言葉をはく

「あぁ、そうだな。…ほら、そんなに恐がらないで。痛いこと  なんてしないからよぉ」
 
スキンヘッドが下品な笑みを浮かべながら少女に手を差しだす。しかし、少女はその手を払い、逃げた

「逃げても無駄さ！俺たちの方が足が速いからな！」
 
もう一人の部下らしき男が追いかけながら、声を荒げる
 少女は必死に逃げるが距離は離れるどころかどんどん縮まっていく
 
そしてついに少女は壁際に追い詰められて囲まれてしまった

 少女は恐怖で身体をガタガタと震わせている

「つーかーまーえたぁああ」
 
スキンヘッドが今度こそは逃がさないように、少女の腕をつかもうと手を伸ばす

「いやぁぁああ！！！」
 
少女は心の中で何度も、これはただの夢だ、悪夢だと叫んでいた






こんなことになったのは四十五分前、近所の貸本屋さんで借りた一冊の本が原因だった