比翼連理の異世界旅

小狐丸

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迷宮都市編

迷宮都市ベタントス

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陽が落ちる前にベタントスにたどり着いた。

今回は、馬車のまま並んでる。

「次、ウワァ!こ、これはスプレイニルか?何か証明書は?」門番の兵士が驚いた顔で聴く。

ユートは、マリアの分と合わせてギルドカードを渡し奴隷商の馬車が魔物に襲われ2人の奴隷を保護した事を伝える。

「こっちの詰所で事情を聴かせて貰えるか?」

馬車を待機場に停めて、詰所で事情を詳しく説明する。

「うん、嘘は無いようだな。エミルちゃんの親は、この街で商会を立上げている商人だから、遣いを出しといたから直ぐに迎えに来るだろう。ただ暫定的にエミルちゃんの所有権はあんたにある。」

「イヤイヤイヤ、所有権なんてありえません。解放してあげて下さい。」

「じゃあ、奴隷商も呼んで解放して良いんだな。」

「お願いします。」

ただ、にいちゃん。

「エミルちゃんは、攫われたって事もあるし、この街に親がいるから奴隷商に払う解放の費用も問題ないが、あっちの狐人族の子はそう単純な話じゃ済まないと思うぞ。」

「どうしてですか?」

「その狐人族の子は、口減しで売られたか、自分で自分を売ったかのどっちかだ。今さら村には帰れないだろうな。にいちゃんがしばらくの間面倒みてやってくれないか。それか、後から来る奴隷商に売るかだが。」

「どうする、マリア。」

「此れも縁だから、私達がそのまま引取りましょう。」

「そうだね、分かりました。この子は僕達が引取ります。」

「じゃあ、奴隷商が来たら本契約をしてくれ。」

バタン!「「エミル!」」「パパ!ママ!」

詰所の扉が勢いよく開けられ30代の夫婦が入ってきてエミルを抱きしめる。

「エミルちゃん、良かったね。」

「お兄ちゃん、ありがとう!」

エミルの父親がユートに、
「エミルを助けて頂き、ありがとうございます。それで、エミルを買い取る値段な「ちょっと、待って下さい。」」

「所有権なんて主張しませんよ。解放にかかる費用だけ負担して頂けますか。」

「「本当にありがとうございます。」」

奴隷商が訪れ、エミルを解放して。
「お兄ちゃん、バイバイ!」エミルが手を振って両親と帰って行った。

まだ、意識の戻らない狐人族の少女との奴隷契約に移る。

「首輪か奴隷紋か選べますが。」

「どちらが、目立たないのはどっちですか?」

「奴隷紋ですね、奴隷紋は服で隠れるので。」

「じゃあ、奴隷紋で。」

少女の背中をめくり

「では、こちらに血を一滴お願いします。」

血を垂らすと奴隷紋が浮かび上がる。

「これで、奴隷契約完了です。」

そこで、門番の兵士が、「冒険者のギルドカードは、ギルドに持って行ってくれ。」

挨拶をして、詰所をでる。
少女を馬車に乗せ宿屋を探す。

すると、門から程近い商業区に{金の穴熊亭}という看板が、見えて来た。馬車置き場に馬車を停めてヴァルスを送還して宿屋に入る。

「いらっしゃいませ、食事かい泊まりかい?」

奥からふくよかな、熊の獣人の女性が出てきた。

「3人部屋を10泊お願いします。」

「3人部屋一泊二食付きで銀貨1枚と銅貨5枚。10日分で金貨1枚と銀貨5枚になるよ。」

「じゃあ、これ金貨1枚と銀貨5枚です。」

「はい、確かに。それじゃあこれが鍵だから失くさない様にね。部屋は二階だよ、出掛ける時はフロントに鍵を預けておくれ。夕食は、午後の鐘6つから9つ迄だから遅れない様にね。あたしの名前は、ステラだよ。」

「僕がユート、彼女がマリアです。よろしくステラさん。ひょっとしてコルーニのマーサさんとは、姉妹ですか。」

「あぁ、マーサは妹だよ。部屋でも食事をとれるから、声を掛けてくれたら運ぶからね。」

「お世話になります。」

部屋に入ってベッドに狐人族の少女を寝かせる。

毛布を掛けようとした時に、少女が目覚めた。

「やぁ、身体の具合はどう?」

驚いて起きようとする少女を押し留める。

「状況を説明するね。僕の名前は、ユート。隣りに座っている彼女は、僕のパートナーでマリア。」

パートナー…。少女がつぶやく。

「そうだ、君の名前を教えてくれる?」

「…カスミといいます。」

そして、奴隷商の馬車が魔物に襲われ檻に居た2人以外は死んだ事。その後、もう1人の女の子は両親が迎えに来て解放された事。少女は、今は僕と奴隷契約している事。を説明した。

「それでね、村に帰りたいとか、僕が主人じゃ嫌だとかあれば、今直ぐ解放していいよ。奴隷商に売ったりしないから正直に言っても良いんだよ。」

「解放しないで下さい!」

「村に帰っても家族に迷惑になります。」

それから、少女は自ら奴隷に成ったいきさつを話した。

「ユート様の奴隷で、居させて下さい。戦闘時の盾にもなります。夜伽もします。お側に置いて下さい。」

「いいんじゃない、ユート。パーティーメンバーの補充にもなるし。それと…。」マリアが、少女をじっと見つめる。

「カスミ、あなたユートのこと好きになっちゃった?」

少女は、顔を真っ赤にして俯いてモジモジしている。

どのタイミングで好きになったか分からない。

「フフッ、良いわよ、私のことを正妻として立ててくれれば。」

「マリア、ちょっと!」

「あらっ、この世界じゃ一夫多妻は普通よ。」

いや、比翼連理のタイトル詐欺だよ。

「マリア奥様!私は、奴隷ですので、時々お情けを頂ければそれ以上望みません。」

「やだっ、奥様だって。もう、照れるじゃない。」

「私のことは、マリアで良いわ。それとサツキがユートの奴隷で居ることで安心出来るなら今はそれでもいいわ。何時でも解放出来るんだから。」

なんか、この置き去り感は…。

「ユート様、マリア奥様、末永くお世話になります。」

末永くなんて言っちゃってるよ。
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