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四十話 砂漠の魔物はクセが強い
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空白地帯を横断する僕達は、途中何組かの遊牧民族と遭遇した。
友好的な部族にはレイラを通して、バルスタン氏族との合流を勧めた。
そして空白地帯の東端まで十日で砂漠の入り口へとたどり着いた。
バルスタン氏族の集落が、空白地帯の西寄りに在ったとしても、この空白地帯が結構広い事が伺える。
面積で比べれば、バルディア王国とあまり変わらないくらい広い。周辺国が統治の為に、何度も軍を進めた理由が分かる。
水の心配がない、豊かな穀倉地帯となりそうな土地が広がり、僕は見ていないけど南には海があるらしい。
空白地帯は蛮族さえ何とか出来れば、非常に豊かな土地なんだ。
レイラに空白地帯で活動する蛮族の数を聞いたんだけど、レイラ達にも正確な数は分からないらしい。ただ、僕達が撃退した蛮族のグループは、間違いなく空白地帯最大にして最凶の蛮族なのは間違いないそうで、それが壊滅状態にまで追い込まれた今、ローグはバルスタン氏族の集落周辺の討伐に乗り出すらしい。
これは冗談抜きで空白地帯に国を興す気かもしれない。
「……暑そうだな」
「ふぅにゅぅ~、暑いよシグお兄ちゃん~」
目の前に広がるのは、ただただ岩と砂の風景。ちょっとした小国程の面積のある砂漠が僕の目の前に広がっていた。
「ルカ、このローブを羽織ってごらん」
「ふぉわぁ! 涼しい! 暑くないよ!」
僕の装備や服はイグニート特製なので、暑さや寒さなんて関係ない。常に快適に過ごせるように保たれている。
ルカには僕が創ったローブを羽織らせる。これには温度の調節だけでなく、物理耐性や魔法耐性、耐毒、耐呪のエンチャントがかけられている。
「私達の分はないの?」
「は、ははっ、勿論用意してあるよ」
セレネにジト目で見られたので、セレネやレイラ、ベルグやポーラにも渡しておく。
「はぁ~、快適だわ」
「……凄いです」
「儂らドワーフは暑さには強いんじゃが、快適に過ごせるに越したことはない」
「……お爺、この重ね掛けされたエンチャントに感動するべき」
全員の分のローブを渡し、砂漠へと馬車を進める。
砂漠の暑さには、馬車を引く馬もこのままだと潰れてしまうので、首からかけるタイプの魔道具をポーラに造ってもらった。
暑さに対応する機能だけなので、ポーラ曰く簡単な仕事だそうだ。
当然の事ながらファニールには、この程度の暑さは何でもない。炎を司る龍に砂漠の暑さなんて、暑いうちには入らない。
車輪が埋まり馬車で進むには厳しい砂の砂漠に差し掛かると、僕は馬車一台分を土属性魔法で瞬間的に固めながら先へと進む。
「……シグ殿の土属性魔法の使い方はデタラメじゃのう」
「……お爺、シグ様の魔力が減ってる様に見えない」
火の神印と土の神印を授かる事が多いドワーフのベルグとポーラが、道を瞬間的に固めながら馬車を走らせる僕を見て、遠い目をしている。
馬車の馭者をしていたアグニが、砂の中を近付いて来る魔物の気配を察知して教えてくれる。
「主人、砂の中を近付いて来るモノがある」
「何の魔物だろうね。危ないから打ち上げるね」
僕は砂の中の魔物に対して魔法を行使する。
「土蜘蛛よ、地獄の刃で仇なすものを縫い付けろ! 剣山刀樹!!」
ドォバァァァァン!!
砂を巻き上げ、刃の山で砂中から打ち上げられたのは、デザートスコーピオンと呼ばれる身体を硬い甲殻に覆われた巨大な蠍の魔物。それが腹側に幾つもの穴を穿たれ砂の上へと打ち上げられた。
「まだ生きているのか。しぶといね」
「ウリャァァ!」
砂に打ち付けられたデザートスコーピオンの頭をインドラが龍牙槍で突き刺した。
頭を潰された後も、尻尾を振り回していたが、やがてピクリとも動かなくなった。
「蟲系の魔物はしぶといから要注意だね」
「ああ、確実に頭を潰せば大丈夫だけどな」
「解体を手伝うぞ」
「……ん、何かに使えそう」
「では私も手伝いましょう」
インドラがデザートスコーピオンの解体を始めると、ベルグとポーラが欲しい素材を剥がし始める。ヴァルナも手伝い、3メートルを超える巨大な蠍の解体はあっという間に終わった。
砂漠を東に進む僕達を、砂漠の個性的な魔物が襲いかかる。
その強力な毒は、噛まれたモノを10秒で死に誘うテンセコンドバイパー。その全長20メートル以上の大蛇は、アグニの龍牙大剣で輪切りにされた。
砂に擬態して襲いかかったサンドリザードだけど、そんな程度の擬態で僕達を欺ける筈もなく、ヴァルナにスパンッと頸を斬り落とされていた。
極めつきがサンドワーム。その全長50メートルを超える長さと、直径3メートルの馬鹿でかい砂漠に棲む悪食ミミズ。
「土蜘蛛よ、地獄の刃で仇なすものを縫い付けろ! 剣山刀樹!!」
GUOOOOーー!!
サンドワームの巨体に刃の山が突き刺さるが、致命傷には程遠い。
続けて土蜘蛛の神印の力を解き放つ。
「土蜘蛛よ、刃の花びらで血の華を咲かせろ! 刀華乱舞!」
刃の花が咲き乱れ、サンドワームの体表を傷つける。
セレネとレイラが矢に風をのせて連続して射る。風の魔法で貫通力が増した矢がサンドワームに突き刺さる。
「そこまでだ。ただの大きなミミズよ」
アグニが龍牙大剣を逆袈裟に斬りあげる。刀身に炎を纏った斬撃は、サンドワームを大きく斬り裂く。
「そりゃあ!」
バリバリドッガーン!
インドラの振るう龍牙槍が紫電の光を帯びてサンドワームを穿つ。
「これで終わりです。氷結地獄(コキュートス)」
ヴァルナが氷属性魔法を行使すると、サンドワームが凍りつく。
そこにファニールに跳ね上げられた僕が大上段からから竹割に凍ったサンドワームを真っ二つに切断した。
ズドォォォォーーン!
「ふぅ、大き過ぎだろ」
砂の上に降り立った僕は、頭から尻尾の先まで真っ二つになったサンドワームを確認する。
「……これって美味しいのかな?」
「シグお兄ちゃーん!」
ポフッ!
馬車の中でベルグとポーラに護られていたルカが僕に飛びついて来た。頭をグリグリと擦り付けて甘えてくる。
怖かったのかな?
「シグ殿、サンドワームの肉は美味いと聞いた事があるぞ」
「……皮は魔道具とか防具とか、色々と使える」
ベルグとポーラが嬉しそうに解体用のナイフを持って馬車から出て来た。
「ちょっと待ってベルグ。ポーラも落ち着いて。こんな場所で解体してたら危ないから」
「うーむ、それはそうじゃな」
「……ん、仕方ない。シグ様、これ全部収納して置いて」
砂の中を進んだり、擬態したり、一癖も二癖もある魔物が多い砂漠で、のんびりと解体なんて危なくてしてられない。
僕はサンドワームをダークホールの中に収納する。何処か落ち着いた場所で解体すればいいだろう。
僕達は少し南の方向へ進路を変えて砂漠を進む。
当初の予定よりも早めにローゼン王国側に入国しようという事に決まった。
砂漠の魔物が面倒なのも理由の一つだけど、何より代わり映えしない砂漠の風景に、ルカが飽きてきた事が大きい。
ベルグとポーラは、砂漠で襲ってきた魔物の魔石と魔物素材を手に、何を作ろうかと楽しそうに相談している。僕は時々ファニールに乗ったり、馬車へと戻ったりしながらだったけど、流石に僕も砂漠の風景に飽きてきたその時、前方に魔物の気配を察知した。
「えーと、これはまたサンドワームかな? えっ? それと人間?」
そして見えてきた光景に困惑する僕達。それはそうだろう。砂漠のど真ん中で、サンドワームに襲われる人間の姿を発見するなんて、いっそ何かの罠だと言ってくれた方が納得しそうだ。
友好的な部族にはレイラを通して、バルスタン氏族との合流を勧めた。
そして空白地帯の東端まで十日で砂漠の入り口へとたどり着いた。
バルスタン氏族の集落が、空白地帯の西寄りに在ったとしても、この空白地帯が結構広い事が伺える。
面積で比べれば、バルディア王国とあまり変わらないくらい広い。周辺国が統治の為に、何度も軍を進めた理由が分かる。
水の心配がない、豊かな穀倉地帯となりそうな土地が広がり、僕は見ていないけど南には海があるらしい。
空白地帯は蛮族さえ何とか出来れば、非常に豊かな土地なんだ。
レイラに空白地帯で活動する蛮族の数を聞いたんだけど、レイラ達にも正確な数は分からないらしい。ただ、僕達が撃退した蛮族のグループは、間違いなく空白地帯最大にして最凶の蛮族なのは間違いないそうで、それが壊滅状態にまで追い込まれた今、ローグはバルスタン氏族の集落周辺の討伐に乗り出すらしい。
これは冗談抜きで空白地帯に国を興す気かもしれない。
「……暑そうだな」
「ふぅにゅぅ~、暑いよシグお兄ちゃん~」
目の前に広がるのは、ただただ岩と砂の風景。ちょっとした小国程の面積のある砂漠が僕の目の前に広がっていた。
「ルカ、このローブを羽織ってごらん」
「ふぉわぁ! 涼しい! 暑くないよ!」
僕の装備や服はイグニート特製なので、暑さや寒さなんて関係ない。常に快適に過ごせるように保たれている。
ルカには僕が創ったローブを羽織らせる。これには温度の調節だけでなく、物理耐性や魔法耐性、耐毒、耐呪のエンチャントがかけられている。
「私達の分はないの?」
「は、ははっ、勿論用意してあるよ」
セレネにジト目で見られたので、セレネやレイラ、ベルグやポーラにも渡しておく。
「はぁ~、快適だわ」
「……凄いです」
「儂らドワーフは暑さには強いんじゃが、快適に過ごせるに越したことはない」
「……お爺、この重ね掛けされたエンチャントに感動するべき」
全員の分のローブを渡し、砂漠へと馬車を進める。
砂漠の暑さには、馬車を引く馬もこのままだと潰れてしまうので、首からかけるタイプの魔道具をポーラに造ってもらった。
暑さに対応する機能だけなので、ポーラ曰く簡単な仕事だそうだ。
当然の事ながらファニールには、この程度の暑さは何でもない。炎を司る龍に砂漠の暑さなんて、暑いうちには入らない。
車輪が埋まり馬車で進むには厳しい砂の砂漠に差し掛かると、僕は馬車一台分を土属性魔法で瞬間的に固めながら先へと進む。
「……シグ殿の土属性魔法の使い方はデタラメじゃのう」
「……お爺、シグ様の魔力が減ってる様に見えない」
火の神印と土の神印を授かる事が多いドワーフのベルグとポーラが、道を瞬間的に固めながら馬車を走らせる僕を見て、遠い目をしている。
馬車の馭者をしていたアグニが、砂の中を近付いて来る魔物の気配を察知して教えてくれる。
「主人、砂の中を近付いて来るモノがある」
「何の魔物だろうね。危ないから打ち上げるね」
僕は砂の中の魔物に対して魔法を行使する。
「土蜘蛛よ、地獄の刃で仇なすものを縫い付けろ! 剣山刀樹!!」
ドォバァァァァン!!
砂を巻き上げ、刃の山で砂中から打ち上げられたのは、デザートスコーピオンと呼ばれる身体を硬い甲殻に覆われた巨大な蠍の魔物。それが腹側に幾つもの穴を穿たれ砂の上へと打ち上げられた。
「まだ生きているのか。しぶといね」
「ウリャァァ!」
砂に打ち付けられたデザートスコーピオンの頭をインドラが龍牙槍で突き刺した。
頭を潰された後も、尻尾を振り回していたが、やがてピクリとも動かなくなった。
「蟲系の魔物はしぶといから要注意だね」
「ああ、確実に頭を潰せば大丈夫だけどな」
「解体を手伝うぞ」
「……ん、何かに使えそう」
「では私も手伝いましょう」
インドラがデザートスコーピオンの解体を始めると、ベルグとポーラが欲しい素材を剥がし始める。ヴァルナも手伝い、3メートルを超える巨大な蠍の解体はあっという間に終わった。
砂漠を東に進む僕達を、砂漠の個性的な魔物が襲いかかる。
その強力な毒は、噛まれたモノを10秒で死に誘うテンセコンドバイパー。その全長20メートル以上の大蛇は、アグニの龍牙大剣で輪切りにされた。
砂に擬態して襲いかかったサンドリザードだけど、そんな程度の擬態で僕達を欺ける筈もなく、ヴァルナにスパンッと頸を斬り落とされていた。
極めつきがサンドワーム。その全長50メートルを超える長さと、直径3メートルの馬鹿でかい砂漠に棲む悪食ミミズ。
「土蜘蛛よ、地獄の刃で仇なすものを縫い付けろ! 剣山刀樹!!」
GUOOOOーー!!
サンドワームの巨体に刃の山が突き刺さるが、致命傷には程遠い。
続けて土蜘蛛の神印の力を解き放つ。
「土蜘蛛よ、刃の花びらで血の華を咲かせろ! 刀華乱舞!」
刃の花が咲き乱れ、サンドワームの体表を傷つける。
セレネとレイラが矢に風をのせて連続して射る。風の魔法で貫通力が増した矢がサンドワームに突き刺さる。
「そこまでだ。ただの大きなミミズよ」
アグニが龍牙大剣を逆袈裟に斬りあげる。刀身に炎を纏った斬撃は、サンドワームを大きく斬り裂く。
「そりゃあ!」
バリバリドッガーン!
インドラの振るう龍牙槍が紫電の光を帯びてサンドワームを穿つ。
「これで終わりです。氷結地獄(コキュートス)」
ヴァルナが氷属性魔法を行使すると、サンドワームが凍りつく。
そこにファニールに跳ね上げられた僕が大上段からから竹割に凍ったサンドワームを真っ二つに切断した。
ズドォォォォーーン!
「ふぅ、大き過ぎだろ」
砂の上に降り立った僕は、頭から尻尾の先まで真っ二つになったサンドワームを確認する。
「……これって美味しいのかな?」
「シグお兄ちゃーん!」
ポフッ!
馬車の中でベルグとポーラに護られていたルカが僕に飛びついて来た。頭をグリグリと擦り付けて甘えてくる。
怖かったのかな?
「シグ殿、サンドワームの肉は美味いと聞いた事があるぞ」
「……皮は魔道具とか防具とか、色々と使える」
ベルグとポーラが嬉しそうに解体用のナイフを持って馬車から出て来た。
「ちょっと待ってベルグ。ポーラも落ち着いて。こんな場所で解体してたら危ないから」
「うーむ、それはそうじゃな」
「……ん、仕方ない。シグ様、これ全部収納して置いて」
砂の中を進んだり、擬態したり、一癖も二癖もある魔物が多い砂漠で、のんびりと解体なんて危なくてしてられない。
僕はサンドワームをダークホールの中に収納する。何処か落ち着いた場所で解体すればいいだろう。
僕達は少し南の方向へ進路を変えて砂漠を進む。
当初の予定よりも早めにローゼン王国側に入国しようという事に決まった。
砂漠の魔物が面倒なのも理由の一つだけど、何より代わり映えしない砂漠の風景に、ルカが飽きてきた事が大きい。
ベルグとポーラは、砂漠で襲ってきた魔物の魔石と魔物素材を手に、何を作ろうかと楽しそうに相談している。僕は時々ファニールに乗ったり、馬車へと戻ったりしながらだったけど、流石に僕も砂漠の風景に飽きてきたその時、前方に魔物の気配を察知した。
「えーと、これはまたサンドワームかな? えっ? それと人間?」
そして見えてきた光景に困惑する僕達。それはそうだろう。砂漠のど真ん中で、サンドワームに襲われる人間の姿を発見するなんて、いっそ何かの罠だと言ってくれた方が納得しそうだ。
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