召喚術士は魔物と踊る

小狐丸

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初心者迷宮5

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 翌日、五階層の階段まで真っ直ぐに進む。
 この階層をクリアすると、転移陣を使えるようになるので、次からは六階層へ降りる階段前から始められる。

 ムサシ達は五階層を慎重に進む。

 初心者迷宮には、十階層毎にボス部屋が存在している。
 ミミとルルを連れて大丈夫かとマーティンに相談したが、ムックとフランがサポートするから大丈夫だろうという事になった。


 五階層は四階層と同じ様に天井も高く道幅も広く、ムックの巨体も問題無かった。

 五階層に出現する魔物の種類は変わらなかった。
 お互いの連携も取れ始め、ミミとルルのレベルが上がった事により殲滅速度が速くなり、サーチアンドデストロイで六階層を目指す。

 それほど苦労する事なく六階層への階段にたどり着き、その手前で少しの休憩を取ると六階層へと向かう。

 ムックの参戦で安定度が増したムサシ達だが、アタッカーの必要性を感じたムサシだった。

 マーティンはスケルトンなのに斥候職系。
 フランは回復魔法を使えるスライム。
 ムックは高い攻撃力を誇るが基本的に盾役だ。
 アンナも僧侶系なので回復職。
 ムサシは盾役よりの回復職。
 ミミは弓を使う狩人。
 ルルは斥候職だが、まだ小さいので投擲での牽制役。



 明らかに回復職が過剰なパーティーだ。

「やっぱりいびつなパーティーだよね」

 六階層を探索しながらマーティンへムサシが聞く。

「そうですね~、確かに純粋なアタッカーが欲しいところではありますね」

「そうよね、私が回復職なのは良いとして、フランちゃんとムサシも回復魔法を使うものね。確かにいびつなパーティーよね」

「そうなんだよな。俺が新しい召喚契約をするっていう手もあるけど、仲間にする魔物の種類は良く考えないとダメだしな」

 魔物と召喚契約する為には、魔石や魔物素材が必要になる。
 それに、際限なく魔物を召喚契約する事は出来ないので、仲間にする魔物の選択は慎重にしなければならない。

「おっ、そんな事より魔物です。ゴブリンの上位種かもしれません。ちょっと見てきますね」

 マーティンが魔物の確認に走って行った。



 直ぐにマーティンは戻って来た。

「ゴブリンは五匹ですが、ゴブリンアーチャー二匹とゴブリンメイジ一匹が混じっています。ミミさんとルルさんは、杖を持ったゴブリンを狙って下さい」

「「はい」」

 ミミが矢をつがえ弓を引き絞る。
 ルルもナイフを振りかぶる。

 シュ! ミミの放った矢が、ゴブリンメイジの喉に突き刺さる。ルルの投擲したナイフもゴブリンメイジの顔面に突き刺さり、ゴブリンメイジが倒れる。
 ムックが前進して、ゴブリンアーチャーからの矢を防ぐ。
 タイミングを計っていたマーティンが、ムックの影から飛び出してゴブリンアーチャーを仕とめる。

 アンナもメイスをゴブリンアーチャー目掛け振り下ろし、防ぐ術のないゴブリンアーチャーを葬る。

 ムサシとフランが二匹のゴブリンを倒しきる頃には、他の戦闘も終わっていた。


 ドロップアイテムを拾いながら、マーティンが先程の話の続きをして来た。

「マスターの召喚契約は慎重にしましょう。魔物素材も中級迷宮の方が集まるでしょうし。
 それよりもパーティーメンバーなら奴隷を買うという手もありますよ」

「そうね、ウチにはミミちゃんとルルちゃんが居るから、誰彼なしにパーティーメンバーにするのも嫌だし、奴隷なら私達に危害も加える事も出来ないものね」

 ムサシは解放されたとはいえ、奴隷として売られたミミとルルの前で、その話は不味いんじゃないかと思って、ミミとルルを見るが、ミミとルルは平気そうだ。この辺の感覚が、まだムサシには付いていけない。

 その後、相談しながらも油断なく探索を続け、七階層への階段を見つけ休憩をとった後、七階層へと進む。

 七階層は、基本的に今までの階層と出て来る魔物の種類は変わらないが、一度に出て来る魔物の数が増えた。
 ここではムックが大活躍だった。
 ストーンゴーレムのムックは、矢や初級魔法程度は物ともせず、パーティーの盾になり、攻撃面でも活躍していた。

 ムサシ達は八階層への階段を見つけると、休憩を取り、その日の探索を終えて帰路についた。

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