48 / 48
第2章
第8話 魔法の品
しおりを挟む
その後、街の主要な施設を巡り、三人が塔に戻った頃には夜もすっかり更けていた。
彼女たちは報告のためラテリアの私室へと足を向ける。
エミリーが扉をノックすると中から返事があった。
「只今、戻りました」
「戻りました」
扉を押し開けながら二人はラテリアに声を掛ける。
「戻ったか。随分と遅かったのう」
「すいません。いろいろと見て回ってきたので。すぐに夕食の準備しますね」
エミリーはそれだけ言うと、リアとネンコを残して部屋を出る。
「それで、街の様子はどうじゃった?」
ラテリアは二人に椅子に座るよう促しながら尋ねる。
ネンコはリアの頭から机に飛び降りた。
「とても活気があって、素敵な街でした。でも海の匂いはちょっと苦手です……」
リアは正直な感想を述べる。
今日、三人は海の方へ出向いていないが、港だけあって街中、磯の香りが漂っている。
山育ちの彼女にとって嗅ぎ慣れない独特の匂いは、少々堪えたようだった。
その後もリアは今日あったことを報告する。
エミリーの魔術のせいで恥ずかしい目にあったことは伏せておいたが。
弟子の話を楽しげに聞きながらラテリアは、街について知っておくべき情報を付け足していく。
その間、ネンコは一点を見つめて放心していた。
彼にとって女性二人の買い物に付き合うのはことのほか骨が折れたようだ。
そんなネズミを放置した二人の話は購入した品物の件に及ぶ。
「ふむ、仕事道具についてはエモが用意したものであれば間違いはあるまい。後は武器じゃな」
賢者はそう言うと、おもむろに立ち上がり部屋の中を漁り始めた。
リアは師の意図に気づいて、慌てて立ち上がる。
「旅先で見つけた短剣を持ってますので」
「あれは物は悪くないが、戦いで使うとなると少々心許ない。これからのことを考えるともっとちゃんとした武器が必要じゃろう」
ラテリアはそうやってしばらく室内をかき回していたが、そのうちあったあったと言いながらリアたちの元に戻ってきた。
賢者がリアに差し出してきたのは、革製の鞘に納められた一振りの剣だった。
刃渡りは四十センチ程度と刀剣としては短めだ。
握りの部分には太めの革紐がしっかりと巻かれており、滑りにくくする工夫が施されている。
全体的に凝った装飾のない、質素な作りだ。
リアは、差し出された剣を恐縮しながら受け取り、鞘から抜いてみる。
次の瞬間、リアは感嘆の声を上げた。
その剣の刀身はほのかに光を放っていた。
試しに振ってみると、刀身の通った後に薄く光の筋が残る。
また、リアの持つ短剣より大きさがあるにも関わらず軽かった。
「魔法の剣……」
リアの呟きに、ラテリアは頷く。
この世界には魔法のかかった武具が存在する。
そして、それらは剣であれば、丈夫で、切れ味が鋭いといった具合に通常のものと較べて遥かに性能が良い。
しかし、その数は少なく、市場に出回ることはほとんどない。
作成に高い技術と魔力、触媒、そして多くの時間が掛ることが原因だ。
そのため、魔法の武具の価値は非常に高く、剣士や魔術師にとっては憧れの対象だ。
それはまだ幼いリアにとっても例外ではなく、彼女は目の前の剣の魅力に引き込まれていた。
「遠慮することはない。それは儂がだいぶ昔に付与術の鍛錬がてら作ったものじゃからの。『軽量』と『鋭利』の術を施しただけの単純なものじゃ。まあ、それでも制作に一年以上費やしたがの。当然もっと良いものもあるのじゃが、駆け出し触媒師には十分な品じゃろう」
十分どころではないと心の中で付け加えながら、リアは素直に礼を述べる。
そして、ラテリアが付与術にまで精通していたことに彼女は驚いていた。
付与術とは物品に対して永続的に特別な効果を与える魔法である。
その効果は、単純に対象物を頑丈にする、軽くするといったものから、炎を発する、魔物を召喚するといったものまで様々だ。
かつては多くの魔術師が使いこなしたと言われているが、現在では扱える者は少ない。
莫大な労力と費用に見合うだけの効果が得られないことが、付与術が廃れた理由とされている。
また、人間では、神々の作りし品には到底及ばないことを理由のひとつとして挙げる者もいる。
真の騎士であるアルフォートの持つ長剣『炎の遺志』や聖女ロエルの聖鎚『戦神の拳』は神の創造物だが、あれほどの武器を人間が作ることは不可能だ。
そのことに気付いた付与術者がやる気を失ってしまうのも仕方のないことだと言える。
「ありがとうございます。大切に使います」
リアはひとしきり剣を振るった後、鞘に納めた。
室内にパチンという音が響く。
その様子をにこやかなに眺めていたラテリアの表情が突然曇った。
テーブルの上に座り込んでいたネンコがいつの間にか立ち上がり、じっと自分の方を見ていたからだ。
ネズミの発する雰囲気に何かを察したのか賢者は半歩だけ後ずさる。
「オレのは?」
ラテリアとリアのふたりは、やはりと言った顔をする。
当然、ラテリアは彼が扱えるような武器を準備していない。
「ネンコ殿は、あれじゃ。その豪腕があるではないか。武器など不要では……」
「オレのは?」
ネンコが一歩前に出て、ラテリアが更に半歩下がる。
その時、扉が勢い良く開き、エミリーが入ってきた。
そのままネンコを両手で掴み、ぎゅっと胸に抱く。
「ネンコ様、ご安心くださいませ! 私が貴方のために最高の武器を作って差し上げますわ!」
ネンコは何か言っているようだが、エミリーの胸に押しつぶされており、その声は聞こえない。
「エミリーさんも付与術が使えるんですか?」
意外といった様子でリアがラテリアに小声で尋ねる。
「そうじゃな。あいつの術は」
ラテリアは少し苦笑いすると、同じように小声で返す。
「神の領域じゃよ」
その言葉を理解するまで少し時間がかかったが、そのうちリアは大きく目を見開く。
「何者なんですか? エミリーさんって……」
ラテリアは今度は質問に答えず、ひとり幸せそうにはしゃぐエミリーをただ眺めていた。
その表情はどこか悲しげで、リアはそれ以上質問を続けることができなかった。
彼女たちは報告のためラテリアの私室へと足を向ける。
エミリーが扉をノックすると中から返事があった。
「只今、戻りました」
「戻りました」
扉を押し開けながら二人はラテリアに声を掛ける。
「戻ったか。随分と遅かったのう」
「すいません。いろいろと見て回ってきたので。すぐに夕食の準備しますね」
エミリーはそれだけ言うと、リアとネンコを残して部屋を出る。
「それで、街の様子はどうじゃった?」
ラテリアは二人に椅子に座るよう促しながら尋ねる。
ネンコはリアの頭から机に飛び降りた。
「とても活気があって、素敵な街でした。でも海の匂いはちょっと苦手です……」
リアは正直な感想を述べる。
今日、三人は海の方へ出向いていないが、港だけあって街中、磯の香りが漂っている。
山育ちの彼女にとって嗅ぎ慣れない独特の匂いは、少々堪えたようだった。
その後もリアは今日あったことを報告する。
エミリーの魔術のせいで恥ずかしい目にあったことは伏せておいたが。
弟子の話を楽しげに聞きながらラテリアは、街について知っておくべき情報を付け足していく。
その間、ネンコは一点を見つめて放心していた。
彼にとって女性二人の買い物に付き合うのはことのほか骨が折れたようだ。
そんなネズミを放置した二人の話は購入した品物の件に及ぶ。
「ふむ、仕事道具についてはエモが用意したものであれば間違いはあるまい。後は武器じゃな」
賢者はそう言うと、おもむろに立ち上がり部屋の中を漁り始めた。
リアは師の意図に気づいて、慌てて立ち上がる。
「旅先で見つけた短剣を持ってますので」
「あれは物は悪くないが、戦いで使うとなると少々心許ない。これからのことを考えるともっとちゃんとした武器が必要じゃろう」
ラテリアはそうやってしばらく室内をかき回していたが、そのうちあったあったと言いながらリアたちの元に戻ってきた。
賢者がリアに差し出してきたのは、革製の鞘に納められた一振りの剣だった。
刃渡りは四十センチ程度と刀剣としては短めだ。
握りの部分には太めの革紐がしっかりと巻かれており、滑りにくくする工夫が施されている。
全体的に凝った装飾のない、質素な作りだ。
リアは、差し出された剣を恐縮しながら受け取り、鞘から抜いてみる。
次の瞬間、リアは感嘆の声を上げた。
その剣の刀身はほのかに光を放っていた。
試しに振ってみると、刀身の通った後に薄く光の筋が残る。
また、リアの持つ短剣より大きさがあるにも関わらず軽かった。
「魔法の剣……」
リアの呟きに、ラテリアは頷く。
この世界には魔法のかかった武具が存在する。
そして、それらは剣であれば、丈夫で、切れ味が鋭いといった具合に通常のものと較べて遥かに性能が良い。
しかし、その数は少なく、市場に出回ることはほとんどない。
作成に高い技術と魔力、触媒、そして多くの時間が掛ることが原因だ。
そのため、魔法の武具の価値は非常に高く、剣士や魔術師にとっては憧れの対象だ。
それはまだ幼いリアにとっても例外ではなく、彼女は目の前の剣の魅力に引き込まれていた。
「遠慮することはない。それは儂がだいぶ昔に付与術の鍛錬がてら作ったものじゃからの。『軽量』と『鋭利』の術を施しただけの単純なものじゃ。まあ、それでも制作に一年以上費やしたがの。当然もっと良いものもあるのじゃが、駆け出し触媒師には十分な品じゃろう」
十分どころではないと心の中で付け加えながら、リアは素直に礼を述べる。
そして、ラテリアが付与術にまで精通していたことに彼女は驚いていた。
付与術とは物品に対して永続的に特別な効果を与える魔法である。
その効果は、単純に対象物を頑丈にする、軽くするといったものから、炎を発する、魔物を召喚するといったものまで様々だ。
かつては多くの魔術師が使いこなしたと言われているが、現在では扱える者は少ない。
莫大な労力と費用に見合うだけの効果が得られないことが、付与術が廃れた理由とされている。
また、人間では、神々の作りし品には到底及ばないことを理由のひとつとして挙げる者もいる。
真の騎士であるアルフォートの持つ長剣『炎の遺志』や聖女ロエルの聖鎚『戦神の拳』は神の創造物だが、あれほどの武器を人間が作ることは不可能だ。
そのことに気付いた付与術者がやる気を失ってしまうのも仕方のないことだと言える。
「ありがとうございます。大切に使います」
リアはひとしきり剣を振るった後、鞘に納めた。
室内にパチンという音が響く。
その様子をにこやかなに眺めていたラテリアの表情が突然曇った。
テーブルの上に座り込んでいたネンコがいつの間にか立ち上がり、じっと自分の方を見ていたからだ。
ネズミの発する雰囲気に何かを察したのか賢者は半歩だけ後ずさる。
「オレのは?」
ラテリアとリアのふたりは、やはりと言った顔をする。
当然、ラテリアは彼が扱えるような武器を準備していない。
「ネンコ殿は、あれじゃ。その豪腕があるではないか。武器など不要では……」
「オレのは?」
ネンコが一歩前に出て、ラテリアが更に半歩下がる。
その時、扉が勢い良く開き、エミリーが入ってきた。
そのままネンコを両手で掴み、ぎゅっと胸に抱く。
「ネンコ様、ご安心くださいませ! 私が貴方のために最高の武器を作って差し上げますわ!」
ネンコは何か言っているようだが、エミリーの胸に押しつぶされており、その声は聞こえない。
「エミリーさんも付与術が使えるんですか?」
意外といった様子でリアがラテリアに小声で尋ねる。
「そうじゃな。あいつの術は」
ラテリアは少し苦笑いすると、同じように小声で返す。
「神の領域じゃよ」
その言葉を理解するまで少し時間がかかったが、そのうちリアは大きく目を見開く。
「何者なんですか? エミリーさんって……」
ラテリアは今度は質問に答えず、ひとり幸せそうにはしゃぐエミリーをただ眺めていた。
その表情はどこか悲しげで、リアはそれ以上質問を続けることができなかった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
台風のよる、君ひそやかに、魔女高らかに
にしのくみすた
ファンタジー
【空を飛ぶ魔女たちの、もちもち百合ファンタジー・コメディ!】
台風の夜、魔女はホウキで空を翔け――嵐と戦う!
この街で台風と戦うのは、ホウキで飛ぶ魔女の仕事だ。
空を飛ぶ魔女に憧れながらも、魔法が使えない体質のため夢を諦めたモチコ。
台風の夜、嵐に襲われて絶体絶命のピンチに陥ったモチコを救ったのは、
誰よりも速く夜空を飛ぶ“疾風迅雷の魔女”ミライアだった。
ひょんな事からミライアの相方として飛ぶことになったモチコは、
先輩のミライアとともに何度も台風へ挑み、だんだんと成長していく。
ふたりの距離が少しずつ近づいていくなか、
ミライアがあやしい『実験』をしようと言い出して……?
史上最速で空を飛ぶことにこだわる変な先輩と、全く飛べない地味メガネの後輩。
ふたりは夜空に浮かんだホウキの上で、今夜も秘密の『実験』を続けていく――。
空を飛ぶ魔女たちの、もちもち百合ファンタジー・コメディ!
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる