袁煕立志伝withパワーアップセット おい、起きたら妻がNTRられる雑魚武将になってたんだが。いいだろう、やりたい放題やってやる!

おいげん

文字の大きさ
72 / 78
第二部 198年 北平平定 VS公孫瓚

第72話 大徳は幻想と見受けたり

しおりを挟む
 二頭立ての車が南皮の城内に入ってきたそうだ。
 大層なご入場だが、なんせ相手が相手だしな。ここでトチると歴史そのものがぶっ壊れてしまう可能性がある。

「劉備……玄徳か。ナマで見る機会があるとは、感慨もひとしおだなぁ」

 三国志プレイヤーでは知らない人はいない。
 中国における仁慈の塊であり、人徳を得る大事なキーパーソンだ。
 筵織りから皇帝にまで成りあがったというサクセスストーリーも、庶民に愛される英雄譚の一つなのだろう。

 一説によると耳は自分で見えるほど大きく、手は膝のあたりまで伸びているらしい。そこまでいくとどこかの地方妖怪感があるが、まあ盛りに盛っている逸話だろう。

「殿、玄徳公と側仕えの方がお見えになられました」
「ご苦労さん。それじゃあ早速会いに行くとしようか」
「……お気をつけください。何やらただならぬ気配を感じました故」
「……そうか。心しておくよ」

 従者の陸遜は、顔色を悪くしている。
 白磁のような肌を持っているのだが、この時は一層青白く見えた。

 若干の怯えを潜ませつつも、俺はくだんの劉備の元へ向かう。
 いきなり襲われることはないと思うが、念のため呂威璜を同席させることにした。


 香が焚きしめられ、室内の清掃は行き届いている。
 調度品も成金趣味を抑え、落ち着きのあるようにと指示をだしておいた。それが奏功したのか、非常にリラックスできる空間を演出出来たと思う。

 扉を開け、足を踏み入れた俺は、一人の柔和な人物と対面することになる。
 ――こいつが、劉備玄徳か。

 福耳ではあるが、バケモンみたいに長いわけではない。それに手足はすらっとしていてカッコいい。たくわえられたヒゲも丁寧に切りそろえられており、品の良さを醸し出していた。

「お初にお目にかかります。私は劉、名を備。字を玄徳と名乗るものでございます。此度は袁家のご嫡男様にお会いできて、幸福を噛み締めておりまする」

 落ち着いた所作での拱手。そして一礼。
 衣冠は乱れず、堂々とした立ち居振る舞いだ。

「ご丁寧に挨拶いただき痛み入ります。私は袁家の第二子、袁顕奕と申します。かの高名な玄徳公とまみえ、緊張で言葉が思いつきません」
「ははは、よいのです、よいのです。私は筵織りの成り上がりものでございますので、貴人の前で粗相をしないかどうか戦々恐々としておりますよ」

 これっぽっちも瑕疵がない。
 礼儀作法は板についているし、人を安心させる笑顔を持っている。
 話せば話すほど、もっと続きを……と気になるぐらい懐深いものを感じさせていた。

「おお、ご紹介いたしましょう。こちらにいるのは趙雲、字を子龍と言います。先の戦では不幸にも矛を交えましたが、今はこうして私と共に乱世を終わらせる誓いを立てた次第でしてな」
「……趙子龍でござる。兵家の常とはいえ、袁家に楯突いたこの身をお許し願いたい」
「……左様でしたか」

 いきなりぶっこんでくるね、こいつら。
 劉備が言いたいのは三つ。
 一つは、自分は袁家に役立つ人物なので、このまま陣営に入れてくれということ。
 二つは、趙雲が目を光らせているから、余計なことはするなよということ。
 三つは、色々と水に流し、仲良くやろうぜ、という押し。

 会話の主導権を握られている。
 彼は慇懃だが無礼ではない。そして要求はしっかり言下に匂わせてくる。
 そして袁家が得る利益も換算しているのだ。

「この度、逆賊・曹操に追われ、中原から逃れてきました。生き恥を晒しておりますが、漢朝復興のためにも是非袁家のご助力を願いたい次第です」
「なるほど。しかし我が軍は公孫瓚との激戦にて疲弊しております。ここで新たな戦が起きますと、河北の人々が大きな難を受けましょう」

 多少はハッタリもかましてみるか。
 実は本隊は丸々無傷で残っているし、なんなら袁譚の治める平原と、袁尚の治める邯鄲の軍もある。
 兵力と物資、そっして技術力から、まともに戦っても曹操に対抗できる程度には整っていると思うのだが。

「ははは、左様でございましたか。しかし大いなる皇帝が治める国があれば、天下泰平の屋根の下で、民衆も安楽に過ごすことが出来ましょう」
「そうなると、実に良いとは思いますが――」
「なので、今が踏ん張りどころです。一時の情に流されて大局を見誤ると、乱世は長く続き、大陸は衰えていってしまいますから」

 こいつは……なにを……?

「生き別れになった義兄弟を呼び寄せることができれば、曹操軍との戦いに合力し、粉骨砕身で働きましょう。どうか、この玄徳めを幕下に加えていただけませぬか」
「……一つお伺いしたい。玄徳公は曹操殿と覇を争っておいででしたな。河北で袁家の庇護に入るということは、それ即ち曹操との対決を意味します」
「然り。かの梟雄とは同じ天を仰げぬと判断します」

 兵が足りないから、袁家を使うって魂胆かい、このオッサン。
 言ってることは綺麗事なんだが、やってることはパラサイトなんだよなぁ。
 それに河北の民は今まさに発展の兆しを見せている最中だ。無駄な争いごとで希望の灯を消してしまうのはいただけない。

「酷なことをおたずねするが、玄徳公、貴方を曹操殿に送りつければ、河北は安泰ではないのですかな」
「はっはっは、よいのです、よいのです。その手段も大いにあるでしょうな。ですが一つだけ欠点がございます」
「勉強のためにもお教えいただけますかな」
「ええ。私を孟徳殿のもとに送ってしまうと、将来袁家の禍根になりましょう」

 具体的に言え。こいつは何を考えてるんだ。

「私が孟徳殿のところへ行くと、きっと関羽や張飛、そしてこの趙雲が一つの旗に参集することになりますな。それでは袁家の気苦労も絶えないかと思う次第ですが」
「……そういうことですか」

 袁家に寄りては兵を借り、曹家に寄りては身を売ると。
 この野郎、とんだ詐欺師じゃねえか。
 大きな勢力に、武勇優れる人材を集めて確固たる土台を築く。そして主だった人物を引き抜き、戦争を焚きつけては鎮火させずに逃げていく。

 強力編集だ。
 こいつだけは見ておかなくてはならん。
 俺の中の赤ランプがめっさ点灯してるんだわ。

『強力編集を起動します。ジャーン! ジャーン!』
 相変わらずうるせえ! いいからそういうの。ちょっと今ピキってるんだから、あんまり煽るような真似せんでおくれ。

『主様、そこは触ったら駄目ですぅ♪』
『この命……貴方様に捧げます』
『三国乙女大戦、百花繚乱。来年度リリース! 君主として、恋と国を萌えさせよ』

 飛ばせないコマーシャルやめーや。
 こういうの課金しないと消せないんかね。

 よし、終わったな。じゃあ劉備をチェックだ。

姓:劉
名:備
字:玄徳

年齢:37
相性:75――「¥:「@・※($%#$

武力:73
統率:76
知力:74
政治:78
魅力:999

得意兵科:歩兵
得意兵法:斉射 鶴翼陣 賊徒特効
固有戦法:脱兎 超運 情報隠蔽 寄生 武将懐柔 登用
固有性癖:興味なし
個性:ヤドリギの星は、相手を腐らせる

親愛武将:関羽 張飛 趙雲 公孫瓚 盧植 徐庶 諸葛亮 田豫
犬猿武将:蔡瑁 袁煕

※一部ステータス情報が改竄されています。
お手数ですが、nankarousenn.comまで、お問い合わせメールを送付してください。

 ……なんじゃこれ。

 やべーくらいに危険人物じゃねーか。
 こいつを仲間に引き入れたお姉ちゃんもいかがなものかと思うが、来ちまったもんはしょうがない。
 戦死させると歴史がどう転ぶかもわからんし、さりとて放置するわけにもいかん。
 有能な武将をガンガン引き抜かれては、袁家そのものが瓦解してしまう。

 こいつは目の届く範囲に置かなくてはダメだ。
 下手にどこかに知行地を与え、そこで拠点を作られると反袁紹勢力が出来上がってしまうだろう。

「……すまぬ。少々霞目でしてな。このところ移動が多かったもので」
「よいのです、よいのです。人間体調を崩すときも御座いますから。不調の時にお会いくださりまして、感謝感激です。この良縁を胸に刻み、袁家のお力になれるよう努力してまいりますぞ」

「ああ、そうあってほしい」
「ええ、そうしますとも」

 分かるかな。
 言葉を交わして、「ああ、こいつ嫌いだわ」って思う感覚。
 天下の大徳像がガラガラと音を立てて崩れていくわ。

 曹操に送れば、奴に付く、か。
 天秤にかけられるのは好きじゃない。まあ、乱世は好き嫌いで過ごせるほど安楽でもねーんだが、こればっかりはな。

 劉備玄徳。
 今まではのらりくらりと泳いで来れただろうが、そうはいかん。
 お前の目の前にいる男は、神仙からチートを授かった稀人だぞ。

 通常は不断の努力をすることで仲間の信頼を得ようとした俺だが、もう看過できん。借り物の力だが、時至れば、地獄すら生ぬるいステータスとデバフを付けてやるからな。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

処理中です...