見えない2人。語らない2人。

惠諳

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バス停

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寂れたバス停に2時間に1本のバス。響く鳥の声。静かで自然豊かな場所。

バスを待つ1組の男女は、目を合わせずに、何も話さずに、手を繋ぎ、じっとしていた。

10時のバスが来るまで後30分というところだろうか。
今日は特に暑くもなく、寒くもない日だった。

男の方は一切口を開かず、女の方は一切目を開かなかった。
それなのに2人の間には何かしっかりした絆があった。

左手の薬指を無意識に見る。
指輪をはめていた。これが結婚指輪なのか、婚約指輪なのかは分からない。

しっかり手を握ったまま時は過ぎていった。

口を閉じていた男が、握る手に力を少し入れた。
すると、バスが来た。

2人はバスに乗って行った。
男が女をエスコートする様に。


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